<小さな傷を大切に>
インディアンは、彫り物の人形があまりにもうまくできてしまったとき、目立たないところにわざと小さな傷をつけると聞いたことがあります。
これは、「完璧なものは、神以外には存在しない」という考えに基づくものだそうです。
「正負の法則」(人生はトータルではプラスマイナスゼロという考え方)によると、新しく家を建てたときなども、もっとこうすればよかったとか、ここはちょっと失敗だったな、という部分があったほうが、その後大きな災難にあうことがなくなるそうです。
ひょっとすると、妙に完璧なものは、人間の生活には合わないのかもしれません。
私は低血圧(45〜95くらい)で疲れやすく、見た目やキャラクターと違って、幼少からひ弱なほうでした。
今まで病院に行った回数は数え切れませんが、その代わり、大きな病気で入院したことは一度もありません。
低血圧の体質と、小さな病気や怪我といった一部のマイナスが、うまく長期的な健康のバランスを保ってくれているような気がします。
欠点のない性格というのも、もちろん人間だからありえないのですが(この事実には意味がありそうです)、もしそういう人がいたら、かえって不自然でしょう。
欠点があるからこそ愛される、個性が光る、長所に気づくことだってあるのです。
自己嫌悪を感じる部分があるからこそ、人の心の痛みもわかるようになり、人格としてバランスがとれてきます。
生活の中で少しお金が足りないとか、ちょっとした人間関係のトラブルなども、自分の本当の幸せへと方向を微調整してくれる、道案内のようなものかもしれません。
財布を落としたり、何かを失ってしまっても、大きな不幸を避けるためのお布施をしたと考える。
駐車場で車をぶつけられたり、スピード違反で罰金を払うような体験も、とり返しのつなかない悲惨な交通事故の可能性を分散させてくれている、という解釈もできる。
一般にマイナスと思われていることは、すべて必要があってそうなっているのかもしれません。
それが存在するおかげで、全体として、長期的に、うまくバランスがとれているという仮説を、私は採用しています。
あなたはいかがですか。
(2004/2/7)