<人生のバランス感覚>

英語教師として授業をしながら、資格を取得してカウンセラーとなって3年。
年間の相談件数が約700件だから、すでに2000件ほど関わったことになる。
大小さまざまな悩みやトラブルが、毎日のように来室や電話で寄せられる。

第三者が外から見ると何でもないようなことでも、本人にとっては深刻な問題だったりする。
直球でアドバイスしたくなるのをグッとこらえ、まずはじっくりと話に耳を傾ける。
サポーターに徹し、依存されないよう気を配りつつ、問題解決に向けて本人の行動を促す。

とはいうものの、こちらも一人の未熟な人間。
暗い話や人の悪口を聞かされ続けると、さすがにストレスがたまってくる。
残業を避け、早めに帰宅して家族と過ごし、たまには息抜きでこんな文章も書きたくなる。

私の経験上、うまくいっていない人の多くには、ある共通点があるように思う。
「その原因や責任を、他(人)のせいにする」
家庭や会社、学校で接する人や環境にとどまらず、トラウマ、インナーチャイルド、はたまた風水、前世、悪霊まで。

どれだけ生きにくいことだろう。
この世の中、自分以外はみんな悪いヤツだなんて。
このタイプの人は、仮にその障害のクリアを手伝っても、次々と別の言い訳を探してくる。

うまくいかない理由を自分で引き受けない限り、決して幸せにはなれない。
「私の人生は、すべて他人の気分次第です」と宣言しているのと同じだから。
自分の車のハンドルを、他人にコントロールさせているようなものだ。

だからといって、「すべて私が悪いんです…」という態度もどうか。
自分を許せず責めてばかりいると、落ち込むスパイラルに巻き込まれて、うつ病にさえなりかねない。
ここでのコツは、相手あってこそ生まれた問題なのだから、自分は半分だけ背負えばいいと思い定めること。

何事も極端、極論はいただけない。
要するにバランスが大事で、偏り過ぎがマズイのだ。
以前にも紹介した陰陽シンボルは、東洋の知恵(中庸)を見事に表している。



スピリチュアル系だと思うが、次のような話を聞いたことがある。
「最も相性の悪い男女が、修行のために結婚して夫婦となる」
…フツーに考えて、そんなワケないでしょう(笑)。

上のシンボルにあてはめてみると、白黒=夫婦は「対立」ではなく「調和」している。
お互いの欠点を補うがごとく丸く、白の中に黒、黒の中に白という相手を思いやる心を持ちながら。
しかも二人は、同じ方向を向いて流れているではないか。

「生まれる前に人生は決められている」とか、「自分で決めてくる」なんてのもあるらしい。
私は神ではないから、人前でそんな不思議な断言をするのは、たとえその反論でもオソロシイ。
個人的には冗談じゃないと思うし、決まってるならわざわざ生まれてくる意味ないじゃん(笑)。

一枚の織物は、縦糸と横糸でできている。
人生もまた、同じようなものではないだろうか。
運命で決められた部分もあるのかもしれないが、意志と行動で変えていけるのが人間だと信じたい。

ここで妻曰く、
「今日ワンピースを着るのは運命としても、白にするか黒にするかは、私の自由」
「感情的な親に育てられたのはその子の運命だけど、その連鎖を断ち切るかどうかは、彼の自由」
「他人のせいにするのは不幸だけど、自分のせいにするのも苦しいよね」

すかさずメモをとった私でした(笑)。

(2009/12/12)

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