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宮崎のFP(ファイナンシャルプランナー)・マンション管理士事務所
家計のホームアドバイザー
管理組合のためのマンション管理コンサルタント

サイタ FP・マンション管理士事務所

義務違反者に対する措置
区分所有者および占有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の管理または使用に関して、共同の利益に反する行為をしてはならない義務を負ってます。

@区分所有者・占有者に対する違反行為の差止請求
区分所有者または占有者が、建物の保存に有害な行為その他建物の管理または使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をした場合、他の区分所有者の全員または管理組合法人は、その行為の差止め請求をすることができます(区分所有法57条1項)。 状況に応じて、@行為の停止A行為の結果の除去B行為を予防するために必要な措置のいずれかを請求することができます。
行為の差止請求は、裁判外でも裁判でも行使できますが、裁判で行使する場合は、集会の普通決議が必要です(区分所有法57条2項)。
訴訟の提起は、管理組合法人は理事が法人を代表して行いますが、法人化されていない場合は、原則として、他の区分所有者全員が共同で行うことになります。実務上は全員での訴訟追行は困難な場合が多いので、集会の決議により、管理者または特定の区分所有者を指定して、その者に訴訟追行させることもできます(区分所有法57条3項)。この訴訴訟追行による判決の効力は、区分所有者全員に及びます。

A区分所有者に対する使用禁止請求
義務違反者に対して、その行為の差止めを請求するのではなく、専有部分の使用を禁止することもできます(区分所有法58条1項)。使用禁止請求は差止請求より強力な手段なので、@義務違反行為による区分所有者の共同生活上の障害が著しくA差止請求では共同生活の維持が困難な場合に限って認められます(区分所有法58条1項)。なお、差止請求では共同生活を維持することが困難な場合であればいいので、差止請求を行ったが失敗に終わったということは要件とされていません。
使用禁止請求は、裁判上でのみ認められます(区分所有法58条1項)。さらに、区分所有者および議決権の各4分の3以上の多数による集会の特別決議が必要です(区分所有法58条2項)。また、この決議をする際には、あらかじめ義務違反者に対し弁明の機会を与える必要もあります(区分所有法58条3項)。
管理組合法人は理事が代表して訴訟を提起し、法人でない管理組合では原則として区分所有者全員が訴訟を提起する点は、差止請求と同じです(区分所有法58条4項)。

B区分所有権の競売請求
区分所有者である義務違反者に対する措置として、区分所有権および敷地利用権を競売にかけて、区分所有権および敷地利用権を強制的に奪い取ることも認められています(区分所有法59条1項)。共同生活の円満な維持を図るための最終手段です。
競売請求は非常に強力な手段なので、@義務違反行為による区分所有者の共同生活上の障害が著しくA差止請求および使用禁止請求では共同生活の維持を図ることが困難な場合に限って認められます(区分所有法59条1項)。競売請求も、差止請求および使用禁止請求を行ったが失敗に終わったということは要件とされていません。
競売請求は使用禁止請求と同様、裁判外で行使することはできず、裁判上でのみ認められます(区分所有法59条1項)。さらに、訴訟の提起のための決議も、区分所有者および議決権の各4分の3以上の多数による集会の特別決議が必要です。また、この決議をする際には、使用禁止請求と同様にあらかじめ義務違反者に対し弁明をする機会を与える必要があります
管理組合法人は理事が代表して訴訟を提起し、法人でない管理組合では原則として区分所有者全員が訴訟を提起する点は、差止請求・使用禁止請求と同じです(区分所有法59条2項)。
訴えが認められても、自動的に競売手続きが始まるわけではありませんので、管理者等は判決確定後6カ月以内に競売申立てをしなければなりません(区分所有法59条3項)。
この競売においては、義務違反者である区分所有者自身(その区分所有者の計算で他の者が買い受ける場合を含みます)は、買い受けることができません(区分所有法59条4項)。

C占有者に対する引渡し請求
義務違反者が賃借人などの占有者である場合、区分所有者には責任がないので、使用禁止請求や競売請求をすることはできません。そこで、占有者に対する手段として、賃貸借契約を解除して、専有部分の引渡し請求をすることが認められています(区分所有法60条1項)。
引渡し請求も強力な手段なので、@義務違反者による区分所有者の共同生活上の障害が著しくA差止請求では共同生活の維持を図ることが困難な場合に限って認められます(区分所有法60条1項)。引渡し請求も、差止請求を行ったが、失敗に終わったということは要件とされていません。
引渡し請求も裁判上でのみ認められています。さらに、訴訟の提起のための決議も、区分所有者および議決権の各4分の3以上の多数による集会の特別決議が必要です。また、この決議をする際には、義務違反者である占有者に弁明の機会を与えなければなりません(区分所有法60条2項)。賃貸人である区分所有者に弁明の機会を与える必要はありません。
管理組合法人は理事が代表して訴訟を提起し、法人でない管理組合では原則として区分所有者全員が訴訟を提起する点は、差止請求・使用禁止請求・競売請求と同じです(区分所有法60条3項)。
引渡し請求訴訟は、占有者と賃貸人である区分所有者を共同被告として提起されます。判決が認めれた場合には、占有者は原告である管理者等に対して専有部分を引き渡すことになるので、引渡しを受けた管理者等は、その後遅滞なく、当該専有部分を賃貸人である区分所有者に引き渡さなければなりません(区分所有法60条3項)。
*暴力団がマンションの一室を組事務所として賃借し、専有部分および共用部分の不当使用、区分所有者に対する威圧的態度および暴力団同士の抗争などにより、区分所有者の共同の利益に著しく反する行為を行った事案において、最高裁判所は昭和62年に原告管理組合の賃貸借契約解除・明け渡し請求を認める判決を下しました。