カメラマン修業
第一回(08.10.4)
日本人はカメラ好きが多い。欧米のマンガによる日本人のイメージは「小柄でメガネでカメラをぶら下げている」姿で描かれている。たしかにそのとおりで旅行にカメラはつきものだ。最近は携帯電話カメラで傍若無人に「取りまくる」姿をよく見かける。あれは写真というより「そこにいた証明」と「興味があるものはコレです!」という気持による突発的な行動に近い。まさに一億総カメラマンである。そういう背景の上で日本のカメラ産業は発達し成り立っている。

私もカメラ(というより撮ること)が好きだ。目前の映像が一枚の写真として固定される不思議さや、撮って「贈呈」したときに相手に喜ばれることから趣味の(大きな)一分野を占めている。ところが、なかなか自分が望んだような写真が撮れないことが多い。たまにうまく撮れることがあるが偶然である。なんとかカメラ撮影の腕を上げて「表情ゆたかな」写真を撮りたいものだと常々思っていた。

インターネットで調べていたら、この分野で才能を発揮している東京のAカメラマンが「カメラスクール」を開催していることを知り、私も受講してカメラマン修業をすることにした。還暦を越えた生徒にA先生は驚かれるかもしれないが、なに、趣味の分野に年齢は関係ない。ここは先生の教えを得て「我がめざす写真修業」に邁進することにした。
青山通り

A先生のスタジオがある港区青山。
国道246号線青山通りはおしゃれなビルが多い。午後1時30分から開講とパンフにあったので、すこし早めに訪問した。店にいた若いアシスタントカメラマンが「授業は2時からですよ」と言う。驚いてパンフを見せると「あ、それは古いパンフなので時間が変更になっています」と言われた。
講習が始まり、各自ニックネームで呼び合うようにと名札をつけた。先生もニックネーム。たしかに堅い苗字よりも語りかけやすい。若い先生らしいアイディアだ。

まず「撮り方姿勢の改善」の実習。これまでの常識を破る「姿勢」に驚いた。
街路の草花
普通は立って前方の被写体に向かってカメラを向けるが、A先生はアーチェリースタイルとでも言うべき「横構え」を推奨する。やってみると確かにそのほうが見た目に格好いい。そして画面の縦サイズ撮りの構えはシャッターポタン位置を下にする。このほうがスマートである。
カメラマンが不細工にカメラを構えるよりスマートに構えたほうが良いのは言うまでもない。

次に「撮り方」。人物撮影の場合は「表情」が大事だ。
しかし、これまでの一般的な撮り方は「被写体」を前に置き、露光関係を調整後に「ハイ!笑って」と号令をかけてシャッターを切る。これだと「よい表情」の瞬間をとらえるのが難しい。そこでこの改善方法として…
TBS前で
A先生が推奨するのが「連写」である。露光構図を適正にしたあと、被写体人物を画面上に固定させず「動かす」のだ。はじめからカメラのほうへ向かせて構えて待つのではない。モデルを動かし(リハーサル要)モデルがその動作に慣れたところで、それを「連写」する。このときモデルと対話しながら「動作」を和ませることが大事だ。連写の中に一枚か二枚まさしく「動きのある瞬間」が記録されることになる。

この実現のためには習熟が必要だ。連写はスポーツ場面だけではない。ポートレート撮影に応用するA先生の着眼は脱帽ものである。
カメラマンの「一生懸命さ」はモデルにも伝染するので、撮影者も〈楽しみながら〉するとよい。
赤坂サカス
次に構図。
たいていは被写体を画面中央に持ってくる。ピント合
わせもラクであるし、モデルの表情も細かく把握でき
る。しかし写真的にこれは「日の丸写真」とも言われ
平凡である。これを打ち破るには井型構図とも言うべ
きものへパターンの変更をするとよい。
ポイントが中央のみ1箇所にあった単純構図から、
4箇所にする。ただしこの場合ビント調節に注意しない
と「ピンボケ」になることがある。私も実際に実習で試
みたがピントの変更を忘れて多くがピンボケになって
しまった。これも用意周到さと習熟が要求される。被写
体に気をとられるとピント調整を忘れる。
新宿末広亭
かれこれしているうちに終了時間になった。
宿題は写真一枚を紙またはデータで次回持参すること。
その写真には先生が言われたことを実現していかね
ばならない。スケジュールの変更もあった。
11月15日(土)→11月22日(土)へ変更。
12月 1日(土)→12月 6日(土)へ。
12月13日(土)→12月20日(土)へ。
講習時間は11時30分〜2時00分。

(この日私が訪れた場所を撮影したものです。)
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