<うれしかった>

シェリー。

今日も会えてよかった。
すごい雨だったね。
本当に短い時間だけど、久しぶりにパパの部屋に連れてくることができた。

パパの部屋には、シェリーの写真がたくさんあっただろう。
パソコンでも見ることができて、喜んでいたね。
パパのホームページの掲示板にも、ちゃんと書き込むことができた。
宇多田ヒカルのホームページも見たね。

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パパおもしろいね
いつもあそぼうね
いっしょにいつもいるよね
いつもいっしょにねてるよね
いつもいつもあそんでるよね
みんなといっしょにたのしくすごしたいだけ
だからいつもいつもみんなといっしょにいたほうがおもしろい
パパもなかまいりー
いっつもなかまいりーね
おわり

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君がずっと前に描いてくれた、パパとシェリーが2人で遊んでいる絵は、ドアのところに張ってある。
毎朝、仕事に行く前に見ているよ。

今日、君が帰る前に、ちょっとしたハプニングがあった。
車に乗ろうとしていた君が、足をすべらせて、道路のわきの溝に落ちてしまったんだ。
雨が降っていたから、自慢の靴がぬれてしまった。

びっくりしたのと、靴がびしょびしょになったことで、めずらしく君が大きな声で泣いた。
パパがだっこしてやっても、パパの胸でわんわん泣いていた。
君には悪いけど、パパは正直言ってうれしかった。

ママと3人で暮らしていたとき、君は本当に手のかからない子どもだった。
病気はよくしたけど、おねしょもしない、わがままも言わない。
ときどき地べたに座り込んで、おもちゃを買ってくれとギャーギャーわめいている子どもを見かけるけど、そんなことは1回もなかった。

パパとママが離婚するときも、離婚したあとも、「本当に子どもなのだろうか?」と思ってしまうくらい、君はパパとママの両方に気をつかって、明るく元気にふるまってくれた。
様子がおかしいとわかっているはずなのに、何も聞かなかった。
新しいお父さんのことも、素直に受け入れていた。

でも、パパと2人きりになったとき、いつも本当の気持ちを聞かせてくれた。
そして、子どもだから思いきり泣けばいいのに、いつも我慢していた。
小さな体が震わせて、涙も少ししかこぼさなかった。

だから、今日は遠慮せずにパパに甘えてくれて、うれしかった。

「会える時間が短すぎる、もっとパパと遊びたい」
パパは絶対にあきらめないで、シェリーのためにがんばるから。
また会おうね。

(2000/5/27)

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