<青空の下で>
シェリー。
今日は本当にいい天気だったね。
1ヶ月の間に、2回も会えるなんて久しぶりだ。
パパのまわりの人たちの励ましがあったからこそ、ここまでやってこれた。
感謝している。
補助輪のない自転車に乗れるようになった君を見て、パパは驚いたよ。
パパの小さい頃よりも早いかもしれない。
さすがはパパの子、運動神経がいい。
何十分もいっしょに走らされたけどね。
今回はトレーニングウエアを着て、完全武装?で行ったから、ジャングルジムだろうがプロレスだろうが、なんでもこいだった。
2時間中動きっぱなし。
テコンドーで体を鍛えていてよかったよ。
普通のお父さんでは、君の動きについていくのはとても無理だ。
こうして君に手紙を書いていると、けっこうよく会っているように感じる人がいるかもしれない。
でも、パパと君は親子だ。
今のままいったとしても、君に会えるのは月にたったの4時間。
それがパパに許された唯一の時間だ。
全体の何パーセントになるというのだろう。
今日、桜はすっかり散ってしまっていた。
愛する娘の日々の小さな成長を見ることができないのは、とても残念だ。
その分、会うたびに君には驚かされるけれど。
パパは、君と暮らしていたときと、面会をしたときの君の、ちょっとした表情やしぐさ、言葉などの小さな場面を、全部細かく思い出すことができる。
いつも短時間で集中して君を見ている。
距離をおいた父親として、娘にしてやれることは何だろう。
ときどき考えることがある。
毎日のように顔を会わせる父親ではできないことが、パパの立場ならできるんじゃないかと。
たぶん、余裕をもって娘の気持ちを理解してやれること、何でも相談できる存在になること、かっこいいパパであり続けること、そんなところだろうか。
パパは最近、以前のよう落ち込まなくなった。
シェリーのおかげだ。
君はときどきパパに弱音をはく。
それが君の本音だろうと思う。
でも、すぐに元気に走りはじめる。
君の明るさに助けられた分、パパも絶対に君を見離さない。
シェリー、いつもはパパのことは忘れなさい。
ずっと思い出さなくてもいい。
パパのことなんか考える暇がないくらい、君には毎日を楽しく過ごしてほしい。
ただ、シェリーが本当に困ったときには、必ずパパが助けてあげる。
もうだめだ、というときにだけ、パパを思い出しなさい。
(2000/4/23)