<10年が過ぎた>

シェリー。

小学校の卒業式の日から、もう半年が過ぎてしまったね。
ここに君へのメッセージを書くのは、ずいぶん久しぶりだ。
元気で中学校に通っているんだろうね。

一度だけ、君の制服姿を見たよ。
まだ少し大きめな、グレーの中学校の制服。
一緒に暮らしていた頃の幼い君を思い出すと、本当に時が過ぎるのは早いと感じる。

そのあとも、朝いつもと同じ時間に同じ場所で待ち続けていた。
でも、なぜか登校する君と会えなくなってしまった。
道を変えたのかな、それとも時間が違うのだろうか。

パパは今年から、君の中学校の生徒募集担当になったよ。
自分から希望を出したのではなく、県内に140校もある中から、まったくの偶然。
神様のプレゼントじゃないかと思うくらい、ビックリした。

だからといって、授業中の訪問が多いから、君に会えるわけでも話せるわけでもない。
ただ、ほんのしばらくでも、君と同じ空間で過ごせることは事実。
一生懸命勉強する君のすぐ近くに、仕事をしているパパがいる事実がうれしい。

この半年でいちばん感激したのが、ふみ子姉ちゃんの「かれん」閉店の前日、君が来てくれたこと(7月29日)。
突然だったからパパは会えなかったけど、メッセージカードと花束を持ってきてくれたんだね。
ママかお父さんが気をつかってくれたのかな、本当に感謝している。

パパの心からの願いは、君のママとお父さんと、大人としてのいい関係を築くこと。
いつか必ずわかってくれると、信じている。
じいちゃんとばあちゃんが死ぬ前に、たった一人の孫であるシェリーに会わせてやりたいんだ。

シェリー。
今日で、ママと離婚して10年になる。
10年間経っても、ある意味まだ引きずっているパパがいる。

一度は一生のパートナーとしてパパを選んでくれたママを、幸せにできなかったこと。
最愛の娘である君を、手放してしまったこと。
ずっとずっと、後悔し続けている。

この10年の間には、こんなパパのことを好きになってくれる、とてもすばらしい女性もいた。
でも、心の傷が治っていなかったパパには、その人ともずっと一緒にはなれなかった。
今考えても、ママとシェリーを失ってからのパパは、心のどこがが病気になっていた。

人生最大の過ちから、今日で10年。
ここまで立ち直るまでに傷つけてしまった人たちへ、そしてシェリー、君にも。
心の底からの「ごめんなさい」と「ありがとう」を。

(2007/9/14)

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