<オーシャンドームとメロンソーダ>

シェリー。

君のお気に入りシーガイアのオーシャンドームが、とうとうなくなってしまうそうだ。
残念だけど、これも時代の流れというものかな。

泳ぐのが大好きで、たまに会うたびに5〜6時間はつき合わされたね。
恐竜の形をした浮き輪を借りて、二人で波乗り。
ちょっと離れたふりをすると、怖がる君がかわいかった。
まだ身長がたりなくて乗り物には乗れなかったから、流れるプールで木の形をした浮き輪につかまって、何回も泳いで回ったね。

プールのすべり台をすべれるようになった日を覚えてる?
怖くてなかなかできなかったけど、やっと勇気をふりしぼってすべれるようになった日、君はうれしくて何十回もくり返して階段を上がっていった。
飽きもせずに「パパ、見ててー!」と叫ぶ君の得意げな顔。

泳ぎ疲れると、ダンサーたちのショーを見て、ビーチサイドのデッキチェアーに座って、いつものハンバーガーとメロンソーダ。
炭酸はヒリヒリしてダメだったのに、君はメロンソーダだけは大好きだった。
今でもパパは外で食事をすると、ついついメロンソーダをいっしょに注文して、あの頃を懐かしく思い出しているよ。

月に1回しか会えなかったし、時間の都合で、いつも行けるとは限らなかった。
でも、これからもずっとシェリーとオーシャンドームに行けることを願って、パパは1年間有効のパスポートを買っていたんだ。

まだ半年以上も使える写真入りのパスポートを残したまま、パパが君と会える月にたった2時間の貴重な時間さえも失ってしまった。

(2002/5)

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