<古くなった校舎>

シェリー。

パパが仕事をしている学校では今、校舎を建てかえている真っ最中だ。
古くなった建物が次々と壊されて、新しく洒落た校舎に変わっていく。

日曜日の職員室に、よく君を連れてきた。
パパの机の上にちょこんと座って、ヤクルトジョアをおいしそうに飲んでいたね。
かわいい君を連れて歩くのが、パパは自慢だった。

階段の壁は白い粉がつくから気をつけなさい、と言うと、1ヵ月後に来たときもちゃんと覚えていて、
「さわっちゃいけないんだよね?」
とパパを見上げて、一生懸命階段の真ん中を歩いたりした。
他の人には何ということもない所も、パパにとっても君との思い出がいっぱいつまった特別な場所だ。

その校舎もあの階段も、今はもうない。
いっしょに写真を撮ってもらった中庭も、もうなくなってしまった。
こうして時は流れていくんだろうね。

「高校生になったら、パパの学校に入る!」
といつも言っていたシェリー。
パパはあのときの君の言葉を裏切らないように、毎日がんばっているよ。

いちばんいい先生になって、いちばんいい授業をして、いちばんいい学校にして、君を待っている。

(2002/5)

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