<しし座流星群>
シェリー。
パパは今、真夜中の空を美しく流れていく「しし座流星群」を眺めている。
今まで見たこともないような大きな流れ星が、次から次へと現れて、夜空を一瞬にして明るく飾っていく。
本当にすごいよ!
パパも生まれて初めて見る、まるで夢のような光景が、目の前に広がっている。
理科の先生から話を聞いていたから、今日は夜中の2時頃から起きて、近所の空き地まで出てきた。
シェリーも見ているのだろうか。
もしパパが君と住んでいたら、今日は早くから寝ておいて、夜中にいっしょに起きてこのすばらしい天体ショーを楽しんだことだろう。
突然でちょっとかわいそうだったけど、たぶんもう二度とない機会だから、じいちゃんとばあちゃんも起こして連れてきた。
外は寒いから、3人ともたくさん着込んで出てきたよ。
「シェリーもいっしょに見せたかったね」と言いながら。
いつかホタルで大喜びしていた君がこの星空を見たら、どれだけ喜んだことだろう。
じいちゃんがつぶやいた。
「子どもの頃、満州でこんな流れ星を見た覚えがある。今思えば、あれも流星群だったのかもな」
じいちゃんにはじいちゃんの、パパも知らない人生の歴史がある。
こんな何気ない会話を、小さな君にも聞かせておきたかった。
美しい風景を見ているとき、美味しい食事をしているとき、楽しいイベントで遊んでいるとき。
いつもシェリーのことを思う。
もしパパといたら、どれだけたくさんのことを君に伝えられたことだろう、と。
君の才能についてもパパがいちばんよく知っているから、今の環境よりずっとその能力を伸ばしてあげられたのに。
一生に一度のチャンスの信じられないほど美しい流星群を眺めながら、パパはそんなことを考えていた。
(2001/11/19)