<久しぶりの学校>
シェリー。
「シェリーちゃんへ 今日はパパはお仕事だから、お昼までじいちゃんとばあちゃんと遊んでから、パパの学校に迎えに来てください。待ってるよ。あとでいっしょに遊ぼうね。 パパより」
今日は、じいちゃんとばあちゃんに迎えに行ってもらった。
パパが頼んでおいた手紙、全部読めたみたいだね。
休み時間に電話してみたら、元気な声で話してくれたので安心したよ。
じいちゃんとばあちゃんの家では、ピアノやお絵かきをいっぱいしたと聞いた。
たった1ヶ月しかたっていないけれど、ずいぶん大きくなったような気がする。
髪も長くなった。
残っていた仕事を手伝ってくれて、何人かの生徒と先生に会ったね。
みんな「かわいい!」と言ってくれたので、君は上機嫌だった。
学校に連れてきたのは久しぶりだったけど、ずっと前に来たときのことも全部覚えていた。
学校の近くの店でホットサンドとジュースを買って、近くの公園のベンチで食べた。
といっても、君の分はほとんどハトにあげていたけれど。
この公園には、君がずっと小さい頃、同じ店でホッとサンドとジュースを買って、日曜日にはよくママと3人で来ていたんだよ。
公園ではいっぱい走ったね!
すぐに友だちができて遊びはじめたので、パパは隣のベンチに眠っているおじさんみたいに、ベンチに横になってみた。
木の枝に枯葉が一枚、秋の風になびいていた。
空も真っ青で気持ちがよくて、ついウトウトしてしまったよ。
ふと目をさまして見ると、君の友だちはもっと増えていて、ジャングルジムで追いかけっこをしていた。
パパには、離婚してずっと娘に会えないままの友だちがいる。
パパが「明日は娘と面会だ」と言ったら、
「面会というのはやめよう。刑務所じゃない、二人とも自由なんだから。ぼくの分も楽しんできて」
と言われた。
本当にその通りだと思ったよ。
パパは今、その人がいつか子どもに会えるように、いっしょにいろいろがんばっているところだ。
今日も公園から帰るときに、車の中で「もっと早く帰る」「もう会えなくなる」と君に言われた。
どうして君がいつもそう言うのかはともかく、これも現実だから書いておく。
誰が何と言おうが、君とパパは仲のいい親子だと思っている。
シェリー、今世紀で君と会えるのは、あとわずか2回だよ。
(2000/10/15)