<離婚の現状>
アメリカでは今や、離婚率が60%に達しているそうです。
愛し合い、将来を誓って結婚したはずの夫婦のうち、5組に3組が別れるという結末を迎えていることになります。
当然、再婚するカップルも多く、その家族構成はますます複雑になってきています。
最近は日本でも、離婚するということが珍しくなくなってきたように思います。
特に私の住む宮崎県は、全国でも離婚率がかなり高く(沖縄県が第1位だとか)、残念ながら毎年トップグループに入っている状況だと聞きます。
離婚の理由はさまざまですが、離婚に至るまでの心の葛藤は、当の本人たちにしか絶対にわかりません。
好奇心に満ちた周囲の憶測や噂は、何事も自分が経験してみないと実感できない以上、ほとんどが的はずれといえるでしょう。
大人の男と女が出した結論ですから、自分と相性の合わない相手を選んだ責任も含めて、離婚そのものは本人の自業自得です。
相手への非難中傷など、マナー違反は厳に慎むべきです。
失敗の経験を活かし、また次の幸せな結婚生活を求めるなり、独身に戻って自分を見つめ直すなりすればいいことです。
しかし、2人の間に子どもがいる場合は別です。
感情的な男と女ではなく、責任ある父親と母親として、離婚後も傷ついた子どもの心のケアを最優先に、子どもが心身ともに健康に成長できるように、お互いに協力していかなければなりません。
子どもを奪い合ったり、子どもに相手の悪口を言うなど、もってのほかです。
離婚や再婚後も、子どもが自分の本当の親にいつでも自由に会える権利や、よりたくさんの人から愛され、可愛がられる機会を、大人の勝手な都合で奪ってはなりません。
子どもを愛するのは、親権を持つ者だけではないのです。
子どもの心を引き止めておくために嘘をつくなど、親としてしてはならない行為です。
離婚はするべきではない。
特に子どもがいるのなら、離婚してはならない。
しかし人生には、どうしても苦渋の選択をするしか方法が見つからない場合もあるのです。
だとすれば、その後に与えられた条件の中で、最善をつくすしかありません。
それを怠るのは人として無責任であり、親として子どもを育てていく資格に欠けるといえるでしょう。
今の日本は、離婚することだけはアメリカの真似をして、その後の子どもの心のケアや、周囲の理解や協力などが、ずいぶん遅れています。
私は離婚経験者の一人として、この現状を少しずつでも正常なものに変えていきたいと考えています。
この文章は、そのためのほんの小さな提言です。
(2000/3/14)