<設立まで>

1998年、東京の美由、北海道の太田、宮崎の中元の3人は、離婚経験者が集うあるホームページの掲示板で知り合いました。
中元が離婚して子どもに会えなくなったことを書き込み、それに対して美由と太田が励ましのメッセージを送ったことがきっかけです。
今思えば、本当に不思議な「偶然の出会い」でした。

3人はその後もメールで連絡を取り合いながら、同じような悩みを持つ人たちに対して、自分たちの経験から同掲示板でアドバイスを続けました。
人を励ましながら、自分自身も励まされていたのかもしれません。
毎晩のように、パソコンの前に座っていたのを思い出します。

誰にも相談できず、一人だけで苦しんでいた頃、心の傷は深まるばかりでした。
インターネットを通じて励まし合い、「自分だけではない。全国にはたくさんの仲間がいるのだ」と実感することは、大きな心の癒しにつながりました。
実際、離婚によって子どもに会えなくなり、落ち込んでいる人の数は驚くほど多かったのです。

3人のメールのやりとりも、ますます内容が濃くなっていきました。
中元が「これらの文章は、私たちだけで読むのはもったいない。全国の人たちとシェアして、一人でも多くの人の心を癒したい」と提案したことから、「自分たちのホームページを立ち上げよう」ということになりました。

「離婚後も父親であり続けたい」と願う共通の意識を持ち、お互いの今までの経験や知識を結集して、美由・太田・中元は真剣に話し合いました。
その結果、現在の日本の法律における大きな問題点が浮き彫りになってきました。
「離婚すると子どもに会えなくなる」という状況は、海外では例外を除いてほとんど見られないことに気づいたのです。

日本以外のほとんどの国には、離婚後も親子の交流を保障する「法律」があります。
人々はその法律に縛られるのではなく、「そうするのが当然」という意識を持っています。
最近のアメリカの映画などを見ると、一目瞭然です。
それが親として、大人としての良識、いや「常識」になっているのです。

離婚するのは夫婦、つまり「男と女」の問題です。
「親と子」の問題ではありません。
離婚時の感情を引きずり、相手に子どもを会わせないのは、両親の離婚で傷ついた「子どもの存在」を軽視した行為といえます。
このことに気づいてもらうために、今いちばん必要なことは何か?

私たちの出した結論は、「もはや法改正しかない」でした。
「法律のない日本」の悲惨な現状を、一刻も早く国際社会の中で恥ずかしくない形に変えねばなりません。
「ファーザーズ・ウェブサイト」の活動目的が「法改正」となっているのは、そのような事情によります。

「ファーザーズ・ウェブサイト」を始めたのは、たまたま父親たちでした(親権が母親というケースが多いためです)。
サイト名を「ペアレンツ・ウェブサイト」にしてはどうか?という意見もありました。
「子どもに会わせてもらえない母親」も、日本にはたくさんおられるからです。

しかし、ネーミングにかかわらず、多くの女性の方々が、役員や会員ををはじめ、ボランティアとして協力してくださるようになりました。
この活動の原点をリスペクトする、という方が多かったことから、「ファーザーズ」の呼び名のまま、ジェンダー・フリー(性別に関係ない)の理念を定着させることができました。

「ファーザーズ・ウェブサイト」の始まりは、「心の癒し」でした。
法律などに関係なく、本当に子どもの気持ちを最優先した関係になれるように、離婚を選択した親・大人としての良識に訴え続けていました。
しかし、それだけでは根本的な解決にならないことに、海外と比較調査していく中ではっきりとわかりました。

たった3人の父親で始まった小さな法改正運動も、現在では予想をはるかに上回る数の父親・母親・親に会えない子どもたちが集まり、大きな組織に成長しました。
国内はもとより海外のマスコミからも注目されており、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌などに次々と取材を受け、もはや無視できない大きなうねりとなりつつあります。
国際社会の中にある国として、「法改正は必ず成る」と確信しています。

私たちにできることは、2つあります。
(1)法改正が実現するまで、活動を続けること。
(2)全国の仲間と交流できる場を提供し、心を癒してもらうこと。

どちらでも結構です。あなたも、自分の子どもと、これからの日本の子どもたちのために、私たちとともに小さくて大きな第一歩を踏み出してみませんか?

ファーザーズ・ウェブサイトへ

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