ヒッタイト事件簿EPOSODE.13

ヒッタイト事件簿EPOSODE.13

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by藍特派員

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by藍特派員

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「エーこちら編集長、準備いいですか?どうぞ、応答願います」

あ〜,えっもう?――失礼しましたっ。新人特派員の藍です。

えー…っと,私は今,ヒッタイト帝国アルザワ派遣軍の陣営にようやく潜り込めたところです。

場所的にはアルザワ王宮に臨んだ位置にあります。

といっても,迷っていたせいで,もう明け方近いんですが…。

やはり時間帯が時間帯だけに,兵士の皆さんの多くも眠っていらっしゃるようです。

見回りの兵士がちらほらと見えるだけという感じになっています。

軍の総司令官閣下であるユーリ・イシュタル様はアルザワ王女の強い要望で,王宮内で仮眠をとっておられる模様。

○○特派員からの情報によると,予定では日の出後少しばかり,一段落したら派遣軍は撤退し,ハットゥサへと帰還するとの事です。

あら。喋っている間に変な所へと出てきてしまいました。??なんでしょう?荷物が,…

がばっっ!!

「おねーさまっ!!」

?⇒?☆√π●□★Σα○▲∴??な,何…?

編集長!事態が把握しきれるまでしばらくお待ちください〜。

―――取り乱してしまい,申し訳ありません。

ですが,なんとアルザワ第一王女・アレキサンドラ姫が独占インタヴューに応じてくださるそうです。

「なぁーんだ。あなたおねーさまとは,ぜぇんぜんちがーう」

どうやら私は人違いだったようなのですが・・・。

「ア,アレキサンドラ王女。一体どなたをお探しで?」

「決まってるでしょ。おねーさまよっ」

「おねーさまって仰るのは,ユーリ・イシュタル様のことですよね?なんでまた?」

「だって、おねーさまは今朝帰られてしまうのよ。わたくしも一緒に参ります」

「一緒に、ってイシュタル様は女性、ですよ?」

「おねーさまはそこらの男より500倍は素敵だわ!!」

「(す、すごい迫力・・・)で、でも、王女。いつから荷駄の中に?そしてなんでそんなところに?」

「昨日お母様とおねーさまにおやすみなさい、とご挨拶をしてからよ。悪い?

 ・・・荷駄の中にいたのはまともにお願いしても反対されそうでしょ?

 行ってしまえば、おねーさまもわたくしを連れていってくださると思うの♪」

「・・・案外計算高いんですね」

「何か言った!?」

「いっ、いいえっっ。なんでもっ。そういえば王女。何でまた私に飛びついてきたんです?」

「間違えてしまっただけだわ!!・・・あなたが悪いの。黒い髪だしぃ、背も低いしぃー」

・・・背が低いのは余計なお世話だ

「…あなた。わたくしこう見えても王女なのよ?いちいち無礼じゃない?」

「(地獄耳だし・・・)あっ、あの王女?出発前に見つかったら王宮に連れ戻されてしまうんじゃ?」

「そんなぁ…。せっかく王宮の緊急避難ルートから抜け出してきた意味ない〜・・・。

 ――あなた、黙ってなさいよ」

「ハ、ハイ…」

え〜、アレキサンドラ姫は再び荷駄の中に戻られました。

なんか今度は『おねーさまの声を確認したら飛び出す』、とか意気込んでました。

うまくいくんでしょうかねぇ?

しっかし、仮にも王女が荷物の中でいるなんて、愛って偉大ですねぇ…。

編集長。個人的に気になるので、私も荷駄の中に入り込んで、派遣軍に同行したいと思います。

それではひとまずここらで切り上げます。

あっ、有給つきますか〜?

それは、次の原稿次第だ〜とげきを飛ばしている編集長

それでは皆さん次の報告をお楽しみに




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はーい、こちらそのまま荷駄に入り込んで移動して参りました、藍です。

有給つけていただくためにもせっせとお仕事したいんですが、

実は、アルザワを発って、既に数日が経過してます。

遠征軍はハットゥサへ帰還するはずなんですが、数日前からここで足止め状態です。

兵士達の噂では戦車隊長殿が早馬で首都に向かっているとか・・・。

下っ端の兵士達の間には、詳しい情報は伝わってきてはいません。

なにやら皇太后サイドで動きがみられたのでしょうか?

さて、私がある意味追っかけてきたアレキサンドラ王女ですが、無事、ユーリ様とお会いになられました

今は軍の仮陣営の中を「おねーさま」と慕い、歩いている様子を藍も目撃いたしました。

生まれたての雛鳥が母鳥のあとをついていくような感じです。

それにしても王女。本気だったんですね・・・。

あら。

西の方から何かの一行がやってくるようです。

編集長、私も意を決して、ユーリ様たちがいらっしゃる方へ近付いてみます。

えー。やってきた一行はなんと、アルザワ女王の一団です。

王女を迎えにいらしたんですね。

ユーリ様も、王女も驚いていらっしゃいます。

王女は渋っておられましたが、結局一旦、アルザワへ戻る事になったようです。

でも必ずハットゥサへと来るでしょうね・・・。

あらら。

今度は反対側からすごい砂煙が・・・あっ。カッシュ戦車隊長殿が戻って来ました。

でも、何があったというのでしょう?・・・場が何か騒然としています。

状況が詳しく分かり次第、再び中継をつなげたいと思います。



―――編集長。再び現場の藍です。

カッシュ隊長のもたらした情報はなんと、皇太后がユーリ様の帰還に必要な泉を取り壊す、というものでした。

いやー、相変わらず悪ど・・・、すみませんっ。何も言ってません。

カットしといて下さいっ。まだ、死にたくないです〜(><)

ゴホンッ。気を取り直して。

結局ユーリ様はハディ、リュイ、シャラとカッシュ、ルサファを連れて、ハットゥサへと急行しているようです。

本当に日本へと還ってしまうんでしょうか?

後に残されたイル・バーニ書記官長は複雑な面持ちをなさってますねぇ・・・。

おそらく、残って欲しいという偽らざる本音とユーリ様の気持ちを大切にしたい、という葛藤があるんですね。

イル・バーニは正直でしたが・・・。

本当に今後の展開が気になってしまいますが、私のアルザワレポートもここで終わらせていただきます。



***おまけ***(広い心で読んでください♪)

ツンツン。

なんでしょう?

現場から切り上げる支度をしている藍の服を引っ張るものが・・・。

ア,アレキサンドラ王女・・・。

「ねぇ。おねーさまは何であんなに急いでらしたの?」

「(そうか、いまいちわかんないよね)あのですね、王女。かくかくしかじか・・・。(と説明)」

「・・・、・・・。・・・何?それじゃお願いしてハットゥサへ行っても、おねーさまにはもう会えないか もしれない、というの!?」

「(やっぱりすごい迫力ぅ・・・)そ、そういうことになるかも、というだけですよ。今のところは一応・・・」

「・・・どこ?」

「は?」

「だーかーらーっ。おねーさまのお国はどこなのよっ!?」

「にっ、日本ですっ」

「わかったわ・・・。おねーさまが還られるというなら、わたくしも参ります!

 ・・・ちゃんとお母さまに許可を頂かなくては。・・・・・・こんなのにかまっていられないわ」

(ダッと、アレキサンドラ退場。)

許可、もらえてしまうんでしょーか・・・?本当に行きかねないですよ、あの勢い・・・。

それにしても、つ、つかれた・・・・・・。