ヒッタイト事件簿EPOSODE.12

ヒッタイト事件簿EPOSODE.12

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{By ねね特派員・・・ラムセス夜這い編特別レポート}

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{By ソニア特派員・・・カイル夜這いの後で、イルを取材}

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こちら金特派員です

  ただいま新皇帝ムルシリ2世の戴冠式会場前に来ております

  会場広場前にはたくさんの民衆が押しかけ 

  口々にいい時代が来ると歓迎の拍手を送っております

  あ!ただ今即位終了後の陛下の姿が見えました

  おや?イシュタルの姿が見えません

  民衆が苦情を言い出しております

  やっぱり、新皇帝の隣にはイシュタル・ユーリの姿が見えないと

  民衆は落ち着かない様です

  民衆のお出ましコールが地響きとなって国中を揺り動かしているようです

  ただいまイシュタルが姿を現した模様です

  今ムルシリ2世陛下の前にひざまずき祝福のキスを送った様です

  さてこの後、ムルシリ2世陛下の御正妃がどうなるのか?

  気になるところではありますが

  金はこの辺で新しい情報を求める為失礼させていただきます

  情報提供はどこでも出没金特派員でした 




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ただいまわたくしアイラ特派員は、ヒッタイト王宮の進入に成功いたしました

  大声では話せませんが、後宮の奥深いとこまで来ております

  どうやらこの部屋が陛下の寝室の様です

  それでは失礼してのぞかせていただきます

  ちょっとドキドキのアイラです

  ?????陛下がいらしゃいません!

  部屋はもぬけのから状態です、捜してみましょう

  昼間情報収集を怠らなかったアイラの予想では陛下の行き先は

  ユーリの部屋以外には考えられません

  ここがその問題のユーリの部屋です

  おや!誰か窓のそばに貼りついております

  あれは、けいこ特派員の様です

  声をかけてみたいと思います

  「けいこ特派員?」

  「今いいとこだから声かけないで!」

  わ〜今!陛下がユーリにおおいかぶさりキスしています

  ちょっと私には刺激が強すぎます

  陛下の手がユーリの衣服を剥ぎ取っている模様です

  なぜかユーリは抵抗している模様です

  騒ぎを聞きつけ少し後宮内が騒がしくなってきました

  ハディが助けに来た模様です

  ハディに連れられユーリは部屋を出て行きました

  「チェ!」舌打ちしたのはけいこ特派員です

  どうやら陛下のユーリ夜這い事件は未遂で終わったようです

  それでは変わりに私がなんて思ってるけいこ特派員を残し

  アイラ特派員は失礼いたします




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こちらねねです。薔薇...じゃなかった草木も眠る牛三つ時。

今、私は 深夜のヒッタイト王宮におります。

今夜はラムセスさんが 夜這いをするという情報をキャッチしました。

昼のギラギラ照り付ける陽射しが嘘のように冷たく、

静かな風が一層 夜の闇を深めております。」

シーンと静まり返るヒッタイト王宮。おそらく今起きているのは

  少数の見張りの兵とラムセスとそしてレポーターのねねだけであろう。

ガサ、ゴソゴソ。草むらから音がした。

ヒラリ〜 一枚の薔薇の花びらが・・・

そうです。ラムセスの登場です。

抜き足、差し足、忍び足。今夜は夜這いに絶好だ。ユーリ今行くぜ!」

静かなひんやりとした夜とは正反対に ラムセスの瞳は 

昼の太陽と同じくらい熱く燃えていた。

「ラムセスさん、こんな深夜にどちらへ?」

「な、なんだお前は!しっ!見張りの兵に見つかる。何処へって?

ユーリの寝室に決まっているだろう。邪魔しないでくれ!」

「それにしてもラムセスさん スゴイ格好ですね。」

レポーターねねが言うのも無理はない。

ラムセスは この日のために背中に薔薇の刺青をし

あふれんばかり薔薇が入った籠を背負っていたのだった。

「すごい薔薇ですね。薔薇のにおいもプンプンですよ。」

「この薔薇はすべてユーリへのプレゼントさ。 ユーリの喜ぶ顔が目に浮かぶぜ!」

「ほ、ほんとにユーリは喜ぶかしら・・・。」 ボソっとねねが言った。

「なんか言ったか?」

「いいえ、何にも。ラムセスさん頑張ってくださいね。」

ここでラムセスに夜這いを中止されたら 

せっかくの特ダネ映像が撮れなくなる。

ラムセスの夜這い映像などと言ったら 視聴率が上がるのは間違いない。

ここは ユーリやカイルには かわいそうだが 

ラムセスに夜這いを成功させてもらわなくては!

ねねはレポーター使命をかけてそう思った。

「さあ、ラムセスさんが ユーリの寝室前に来ました。どうやって寝室に

忍び込むつもりでしょう。あっ、グラスカッターです。

ラムセスさんはグラスカッターでユーリの寝室のドアを開けました。

古代なのに何故グラスカッターがあるのでしょうか?

細かい事は気にしちゃいけません。

ラムセスさんが 薔薇を背負ってベットに近づきました。

危ない!ユーリ!!!」

「ん?なんか 花の匂いがする・・・。ハディが 花でも生けたのかしら?

でも この匂い・・・もしや!」 ユーリはバチッと目を見開いた。

目の前には 真っ赤な薔薇の花が覆い被さっていた。

「きぁぃややややや。カイルー。」

珍しく(爆)別々の部屋で休んでいたカイル

ユーリの悲鳴で カイルを始め兵達が集まってきた

「おっと 今夜はここでズラかるとするか。またなユーリ!」

ラムセスは 重い薔薇の入った籠を背負って 軽やかに身を翻し

入ってきた窓のほうへ向かった。

「おっと ラムセスさん。今夜はこれでユーリさんを 諦めるつもりらしいです。

まあ、兵が来るとなったら仕方ないでしょう。」

ラムセスは窓枠に足をかけた。

『バンッ!』

「大丈夫か!?ユーリ!」

カイルが血相をかえて 入ってきた。

「やべ!ムルシリだ!」

ラムセスは すぐに窓から外へ出ようとした

だが背負っていた籠が窓枠に突っかかって外へ抜け出す事が出来ない

どうやら 籠が窓枠に引っ掛かってしまったようだ

押しても引いても 引張っても籠は 引っ掛かったまま

それを見たカイルは ニコニコ笑いながら ゆっくりと 窓枠に引っ掛かって

もがいているラムセスに近づいた。

「今日は私の勝ちだなラムセス。」

カイルは ラムセスの引っ掛かった籠をとってやり、

ねこづかみでラムセスの首の部分を持ち上げた。

ラムセスはうつむき ショボンとしている。

「めっ!」

カイルはまるで 小さな子にお咎めをするか 

またはねこにお叱りをするかのようにラムセスを叱った。

「ぶっ、夜這いは失敗だけど これはこれで いい絵かもしれない。」

今回もいい映像が撮れて ねねは満足のようだ

♪おわり

「・・・・」以上でねね特派員からの報告は終了のようです




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こちらソニア特派員は、イル・バーニさんに張り付いています。

ユーリの悲鳴を聞き付けて、イルも後宮に吹っ飛んでやって来たようですが、

彼の部屋って一体どこなんだろ・・?

  何故に悲鳴が・・? イルの部屋には盗聴器でもあるのでしょうか?

それにしてもこんな事態だというのに

、 相変わらず髪をきっちり結っているのが何とも律義です。

寝室の入り口でこっそりハディの様子をうかがってから

偉そうに寝室に入って行きましたが、

やはり今夜の陛下は大層ご機嫌が悪いようで、

さすがのイルも一喝されて出て来てしまいました

ちょっとしょんぼりしていますが、突撃インタビューをしてみましょう。

「イルさま、陛下はどーなさったんですか?夜這いだなんて・・」

「い、いや、ちょっと欲求不満なだけだろう」

「ユーリさんももったいないことを・・」

「そうだな。・・あ、いやいや・・ハハ・・」

「(汗)あっ、あの・・陛下だってお気の毒ですよねぇ。・・あのぉ〜、ユーリさんが

イヤだって言うんなら、ほら、あそこでまだ未練がましく部屋をのぞき見をしているけ

いこ特派員が、ユーリさんの代わりを務めるって言ってますよ。

何なら、私でもぉ〜(ジュルジュルッ)」

「(たじたじ・・)い、いや、お気持ちだけいただいておこう。

陛下はユーリ様以外には興味を持たれないのだ」

「チェッ」

こちらに聞き耳を立てていたけいこ特派員の舌打ちが、再び廊下に響いた。

もちろんソニアも内心地団太踏んだことは、記すまでもない。

「ところでイル・バーニさんは、夜中だというのに綺麗に髪を整えていらっしゃいますが、

お休みの時はもちろんブラッシングするんですよね?」

「もちろん、サラサラヘアは男の命だからな」

「!? は、・・はぁ、そうですね」

「トリートメントとリンスも欠かさないぞ。陛下にもお勧めしたのだ。

陛下の髪もサラサラで綺麗だろう? ・・おっといけない、こんな時間だ。

睡眠不足は美容の敵、あなたがたも早く休んだ方がいい・・」

「はっ、あ・・ありがとうございました」

髪を弄びつつ後宮を去って行くサラサラ・イルの後ろ姿を見送りつつ、

ボーゼンとしたソニア報告をこれで終わります・・。