ア マ ル ガ ム に 再 注 目 
最 先 端 の 科 学 者
神 経 学 的 に 関 連 性 が な い と 報 告




生物統計学の第一人者であるAlbert Kingman氏をチーフとする国立衛生研究所に属する国立歯科頭蓋顔面研究所(NIDCR)調査チームは,「アマルガム製品が神経機能に影響を与えるという仮説を否定する」と結論した。


この「アマルガムと神経機能」の研究はNeuroToxicology3月号に掲載されたもので,ベトナム(AFHS)の一環として,異常震顫,運動の協調,位置や歩行分析,筋力,感覚,筋肉収縮反応などの一般的な神経機能を評価したものである。


以前から,「末梢神経」は高濃度の水銀の影響を受けると考えられていたが,踵の振動感覚,足の親指をチクッと刺す感覚,足首反射の喪失といった異常な感覚について調べる「末梢神経学」を応用したこの研究においても,他の神経学研究の結果と同様に,アマルガムと末梢神経との関連は見られなかったことから,「成人男性において,アマルガムと臨床的神経麻痺の診断基準となる神経障害や足の親指神経麻痺といった症状との相関は見られなかった。これは軍の中で行われた独特の研究であり,この分野の研究において大きな足がかりとなるだろう」とKingman 氏は述べ,共同研究者であるミシガン医科大学のJames W.Albers 氏も,「最終結論は神経障害の兆候とアマルガムには相関がないということである。つまり,この結果はアマルガムが神経に影響を与えるという仮説に反するものである」と述べている。


「アマルガム充の危険性は全くない」ことを証明するため,NIDCR による研究は行われてきたが,神経系に与える影響の可能性を検討したこの研究から,アマルガムの使用も広まるであろう。ADA Division of Science 理事のDaniel M.Meyer 氏は,「アマルガムは安全な歯科用充材料であると結論したこの研究は,アマルガムは人体に無害であるとした民間非営利団体であるLifeScience Research Office による最近の論文と同様に,アマルガムが無罪であることを科学的に明らかにしたものである」と記している。


(ADA News, vol36 No5,2005年3月7日)
日本歯科医師会雑誌Vol.58 No.4 2005−7