物想い
窓が暗くて気が沈むとき
テーブルに花を飾り
優しい模様のマットを敷き
温かい紅茶を入れましょう
一人で暗い外を見て
視線はずっと先を見て
見えているものを見て
見えてもいないものを見て
静かな、物音も無い世界に行って
いいえ、かぜのそよ吹く草原に
樹木のざわめく森の中へ
自由自在に求めるままに
あの時見た空のように
あの時聞いた音のように
あの時触れた水のように
あの時感じた風のように
好きなものを次々と想い
見えない視線の先に
いま物想う視線の先に
見えないまでも浮かんでいる
相変わらず外は暗くて
テーブルの上にはお花とお茶と
お気に入りの綺麗なマット
カップの温もりが慰めで
05.3/20 峰 響子