透析回避をめざして・生活の工夫                
「患者による患者のための腎臓病研究室」 矢澤金太郎
(2020.9.25 更新)追加内容・・必須アミノ酸食の具体例
「8-14-3」 「8-14-3-1〜6」
 
目次  
1   初めに、このサイトについて   
 
2  透析を避ける為に         
 
3  ステージ(eGFR)    
3-1 ・・自分のステージ(悪化の程度)を知る 
3-2 ・・慢性腎臓病(CKD)の進行状況を知る  
 
4  専門医にかかるタイミング? 
 
5  食事の工夫          
5-1 ・・食事の管理方法 
5-2 ・・各栄養素の管理方法    
5-2-1 ・・塩分管理  
5-2-2 ・・蛋白(たんぱく)質管理     
5-2-3 ・・カリウム管理   
5-2-4 ・・カロリー管理          
5-2-5 ・・リン管理   
5-2-6 ・・脂質管理   
5-2-7 ・・糖質管理      
5-2-8 ・・栄養管理  
5-2-9 ・・栄養計算の誤差     
5-2-10 ・・週末はご褒美食?     
5-3 ・・腎臓病用食材の買い方      
5-4 ・・冷凍おかず 
5-5 ・・栄養管理はエクセルで 
5-6 ・・旅行に行く時の食事管理 
5-7 ・・定番食の勧め 
 
6  血圧測定、定期検査の工夫   
6-1  家庭血圧の記録  
6-2  検査日の迎え方             
 
7  腎臓に良くないと言われること 
7-1 ・・高血圧 
7-2 ・・アミノ酸スコアの低いたんぱく質の摂取   
7-3 ・・過労                  
7-4 ・・暴飲暴食 
7-5 ・・サプリメント              
7-6 ・・食品添加物               
7-7 ・・抗菌剤、痛み止め、解熱剤 
7-8 ・・睡眠不足 
7-9 ・・ストレス 
7-10 ・・肥満                 
7-11 ・・飽和脂肪酸      
7-12 ・・タバコ          
7-13 ・・糖尿病 
 
 8 私が実行したこと           
(前述と一部重複する記述があります) 
8-1 ・・Ccr..とGFRの勉強、Ccr.を自分で調べる 
8-1-1 ・クレアチニン・クリアランス(Ccr.)を自分で計算する 
 
8-1-2 ・・24時間蓄尿をする  
8-1-3 ・・24時間蓄尿に必要な用具 
8-1-4 ・・採尿手順        
8-1-5 ・・クレアチニン・クリアランス(Ccr)の計算
8-1-6 ・・Ccr.の説明 
8-1-7 ・・GFRとは             
8-1-8 ・・腎臓の濾過(ろか)機能の知識  
8-1-9 ・・Ccr.とは            
8-2 ・・塩分、蛋白摂取量を尿検査から自分で調べる方法
8-3 ・・毎日の尿量を記録する  
8-3-1 ・・外出先での尿量の推定方法 
8-3-2 ・・排便の時刻を記録する  
8-3-3 ・・ベスト体重を知る      
8-4 ・・アレルギー検査を受ける  
8-5 ・・便秘対策  
8-6 ・・全てのサプリメントをやめる  
8-7 ・・軽い運動を始める  
8-8 ・・血液検査・結果の安定化の工夫 
8-9 ・・海外のCKD情報を参考にする  
8-10 ・・朝の血圧の測り方の工夫  
8-11 ・・無駄な体力は使わない  
8-12 ・・毎日一定の水分をとる  
8-13 ・・脂質制限を始める           
8-14 ・・必須アミノ酸を取り入れた食事を始める                
8-14-1・・必須アミノ酸からメニュを考える  
8-14-2 ・・必須アミノ酸からメニュの作り方
8-14-3 ・・必須アミノ酸食のサンプル(new)
8-14-3-1 ・・必須アミノ酸食の定番メニュ(new)
8-14-3-2 ・・野菜炒め・鯵(アジ)(new)
8-14-3-3 ・・牛赤肉焼肉・焼きそば(new)
8-14-3-4 ・・パスタ・餃子(ギョーザ)(new)
8-14-3-5 ・・レトルトカレー・素麺(そうめん)(new)
8-14-3-6 ・・外食の例・スターバックス・カプリチョーザ(new)
8-14-4 ・・トリプトファンを減らす必要性?
 9  その他いろいろ   
9-1 ・・低たんぱく米のこと         
9-2 ・・病院選び 
9-3 ・・健康診断に望むこと  
9-4 ・・早朝高血圧  
 
10 ・・失敗だった試み、実験など 
10-1 ・・糖質制限で失敗  
10-2 ・超低たんぱく質制限で失敗  
10-3 ・・BCAAサプリメントで失敗  
10-4 ・・運動しすぎで失敗  
 
11 ・・私と腎臓病   
 
12 ・・私のCKDの推移   
 
13 ・・連絡先     
                                                                                          
                                                                                          
 1 始めに、このサイトについて     (CKD=慢性腎臓病)
 
*この「CKD保存期、生活の工夫」は、私(1946年生まれ・男・ステージG3b 腎硬化症患者)の現在進行形の生活記録です。患者の立場から体験に基づき、私の「CKD保存期(CKD発症から透析に入るまでの期間)の生活の工夫」などを、CKD初心者向けに、できるだけ分かりやすい表現で紹介したいと思っています。
 
工夫の内容は、基本的には日本腎臓学会のガイドラインに従っていますが、ガイドラインにないことに関しては、自分で推測してやるしかないため、間違いがあるかも知れません・・いえ、素人のやることですから必ずあちこちにおかしな点があるはずです・・。
ご指摘頂ければ訂正し、より良い内容にしていきたいと思っております。
 
 又、ネット上に学会や専門家によるガイドラインや解説がある場合には、出来るだけそれらのサイトを紹介させて頂き、リンクするようにしています(リンクしない場合はURLをコピ−&ペーストしてみて下さい)。
 
*この「生活の工夫」の記録は、随時思いついたことをつれづれに書き込んでいますので、重複した記載なることがあります。また前に書いた事と微妙に数値などが違っている可能性があります。疑問な点はお尋ね頂ければ、分かる範囲内でご返事致します。
 
連絡先 k-yazawa*miyazaki-catv.ne.jp 
    (*を@にかえてください)矢澤金太郎
    住所等詳細は一番最後のページにあります
 
*このサイトに特徴があるとすれば、たぶん次の二つのことだと思います。
@Ccr.(クレアチニン・クリアランス)検査を実施していない病院、クリニック等で、通常の血液検査と尿検査から、Ccr.や、食事から実際に食べた塩分、カリウム、たんぱく質の量を調べる具体的な方法の説明。
 
*参照・・8-1  Ccr.とGFRの勉強、Ccr.を自分で調べる)p46 
 
Aたんぱく質制限下での食事メニュを、従来の蛋白質ではなく、必須アミノ酸の量から組み立てる事の意義と、その具体的方法についての説明
 
  *下記を参照下さい・・
   8-14 必須アミノ酸を取り入れた食事を始める・・p76 
 
 
なお、ここで取り上げる内容はCKDに関する全ての事柄を網羅することを目的にしておりません。私の個人的な生活の工夫、治療に対する考えなどを日々徒然に書き留めた物を寄せ集めたものです。
 
 集団検診などで始めて腎臓病の指摘を受けられた方は、まず下記の日本腎臓学会のガイドラインや、市販されている腎臓病の書籍を2、3冊読破され、腎臓病治療の全貌を一通り目を通されてから、このサイトを多少なりとも「疑いの目」を持って見ていただくのが安全かと思います。なお、医学的な内容の部分に関しては、私は医師ではないので断定的な表現ができないことをご了承ください。
 
 繰り返しになりますが、このサイトはCKDの一患者の自己流の生活の記録です。このサイトを見て、何か新しい事を試す時は主治医と相談の上おこなってください。
 特に自己流の厳しい食事制限は危険な摂食障害(栄養障害)に陥り、感染症などを引き起こす可能性がありますので、必ず主治医の指導のもとに行うようにお願い致します。
 
同じ病いをもつ方々にとって一つでも参考になることがありましたら幸いです。そして願わくば一人でも多くの方が早期にCKD保存期の適切な生活に切り替えられ、生涯、透析を回避できることを心から願っております。
 
(参考)
 
*腎臓の働きと検査(広島大学)https://home.hiroshima-u.ac.jp/expertpt/jinzounohatarakitokensa.html
 
日本腎臓学会のガイドライン(全般)
 https://cdn.jsn.or.jp/data/CKD2018.pdf
 
腎臓学会生活食事ガイド:これを読めば、CKD患者が守るべき生活のほぼ全てが分かります。ただ一般医師や管理栄養士向けですので、やや固い文章です・・
https://www.jsn.or.jp/guideline/pdf/H26_Life_Diet_guidance_manual.pdf
 
                            
 2 透析を避ける為に 
 
*私達が将来、末期腎不全なり人工透析を受けることを避けるには早期発見、早期の食事の改善、早期の治療開始(血圧を下げる等)が重要だと思います。その為には現在健康と思っている人も、年に一度は尿検査を受ける事を強くお勧めいたします(市販の試験紙を使えば自分で調べる事が出来ます)。   
 
(画像は)マイ・ウリエースT (尿蛋白のみ)、
    マイ・ウリエースBT(尿蛋白+尿糖)
他に、マイ・ウリエースKC(尿蛋白+尿糖+尿潜血)
(50枚入り、30枚入り)もあります。
(薬局、楽天・アマゾン等で購入できます)
 
もし尿検査で蛋白尿(+1以上)が出たら、腎臓に異常がある可能性がありますので血液検査を至急受けるべきです。その結果、血清クレアチニン値(Cr.)が1.0mg/dl以上だったら初期の腎臓病の可能性があります。もし初期の腎臓病と診断されたら、出来るだけ早く、一度腎臓病の専門医の診断を受けることをお勧めします。そしてもし、腎生検をしましょう・・と勧められたら、是非受けるべきと思います。
 
腎機能低下の原因を正確に特定しなければ、その後の治療方針が決まらないはずですから・・個人的には自分の腎臓病に対する治療の知識を身につけ・・どうしたら将来の透析を避けられるのかを良く勉強する必要があると思います。 Cr.1.0程度では、大したことない、と家庭医から問題視されないこともあるかもしれませんが、食事や生活の見直し(例えば、塩分や蛋白質を摂りすぎないとか、なるべく激しい運動を避けるとか)を意識して生活した方が良いと思います。
 
国は透析による莫大な出費があるにもかかわらずCKD初期保存期の具体的な指導を医療機関(特に家庭医)に義務付けていないかのように見えますし、本腰を入れて考えようとしていないかのような印象を受けます。年に一度の健康診断を受けているから安心、などと安心せず、もし初期のCKDと診断されたならば、専門医の門を叩くべきですが、ご自分でもCKDの本を読むなりして、食事や生活の改善をすぐ始めないと、将来後悔することになるかもしれません・・腎臓は沈黙の臓器と言われています。 生活の改善をせず、かかりつけ医から「そろそろ専門医を紹介しましょうか・・」と言われた時は、クレアチニン値が2になっていて、将来の透析がほぼ確定したと思われたのかも知れません・・
 
*透析とは(東京女子医科大学病院)・・http://www.twmu.ac.jp/NEP/touseki.html
 
(注1)尿蛋白量とは、尿に含まれる蛋白質の量です。蛋白質は身体を作る大切な栄養素ですから、本来は激しい運動や労働でもしない限り、尿から漏れ出ることはありません。腎臓の糸球体(注2)は血液から有害物を濾しだして尿と共に排出する訳ですが、糸球体とは、いわばコーヒーメーカーの濾し紙の様な役目です。コーヒーメーカーの場合には、濾し紙が傷んで穴があいていたら、そこからコーヒー粒が出てしまうでしょう・・
人体の糸球体という名の血液濾過装置も、糸球体が正常ならば、網の目は非常に小さくて赤血球や分子量の大きな蛋白質などは通ることは本来無いはずです・・
 しかし糸球体が疲弊してくると網の目が破けたりして、蛋白が漏れ出てくると言われています。
 
 (上図を参照ください)
輸入細動脈から糸球体に入った血液は糸球体内部で比較的小さな物質(水分、ナトリウム、カリウム、ブドウ糖、アミノ酸、クレアチニン等)を濾過(濾し出)しますが、尿細管を通って腎臓から出るまでの過程で、ナトリウムやブドウ糖、アミノ酸、と言った有用な物質は、ほとんど尿細管外(間質)に染み出て輸出細動脈に再吸収されます。(下図参照)また水分もその99%が同じように輸出細動脈に再吸収され身体に戻ります。膀胱に落ちるのは、糸球体が濾した水分のほんの1%なんですね・・。糸球体に全ての作業を負わせることなく、糸球体はとりあえず、小さい物質は全部濾過して身体に有用な物質は膀胱に落ちるまでの管(尿細管)から外(間質と呼ばれる組織)に放出し、それを毛細管(輸出細動脈)が吸収して身体に戻す、という作業で血液を浄化しているんですね・・従って糸球体は悪くないけど、尿細管が悪い・・、尿細管の周囲の組織(間質)が悪い(間質性腎炎)・・と言う可能性もでてきます・
 
(注2)糸球体とは・・*腎臓の構造と働き(日本腎臓学会)・・ 
 https://www.jsn.or.jp/global/general/_3227.php
 
 
*1日の尿から排出される蛋白の量が0.3g以下に継続的に抑えられている人は98%の確率で透析には移行しないと言われています。これは大変分かりやすい目安になると思います。尿蛋白定量検査が重要な意味を持つことになります。
ただ注意しなければならないのは、もし生活が乱れだし、蛋白尿が0.5g/dayを越えてしまったら、透析になる確率は増加してしまいますので、生涯にわたり、塩分、蛋白、カロリーコントロールと適度な運動、無理をしない生活、など、制限された人生を送らねばならない・・という、なんともやるせない状況にはなりますが、尿毒症の苦しみや、透析を受けると言うことがどういうことかを知れば、そうした制限された状況にも我慢できることでしょう・・
 
*正確な尿蛋白量を測るには24時間蓄尿(1日24時間の尿を全部容器に貯めること)をして、その一部の尿を病院に持って行って、定量分析(1dL=1デシリットル=100cc当たりの蛋白量を測定)してもらい、その数値(mg/dL)に1日の総尿量(dL)を掛ければ1日の尿蛋白排出量が分かります。
 
mg/dLと言う単位は、尿1dL当たりの蛋白量(mg)ですが、家庭ではccよりもgの方が(キッチンスケールで)正確に測れるので、尿100g当たりと言い換えた方がむしろ正確だと思います。(8−1に蓄尿の詳しいやり方が載っています)。 
 
またそれほど正確ではなくても、毎回の尿量をメジャーカップに取り、毎回の尿量を紙に記録して1日の総尿量(dL)を求め、市販の尿蛋白試験紙を使って起床後(注1)の蛋白の状態(−,±、+1,+2,)を調べ、試験紙に付属の判定表から、1dL単位の蛋白質量(mg/dL)を知り、尿量(dL)を掛ければ大体の尿蛋白量は分かります。一般的には判定表で+1以上になったら病院へ言った方が良いと思います。(もし+2になったら、精密検査(生検)を受けるべきだと思います)
自宅でできる「細長い紙試験紙」による尿検査は、検査時点の尿の状態を見ているので、1回の検査で、1日の総蛋白量を調べるためには、調べる時点の尿の濃縮度が1日の平均的な状態でなければなりません。早朝の尿や午前中の尿は身体の水分不足で濃縮されている事が多いので腎機能の悪い方は蛋白量が多く出る可能性があります。私は寝る前の尿を平均的な濃度の尿として毎日、蛋白のチェックしています。
 
3リットル位入る容器に1日の尿を全部貯めて攪拌して均一化してから(検査紙を入れて色を見れば)より正確な1日の尿蛋白量が分かります。最も正確な方法は24時間蓄尿して病院で尿検査(尿蛋白定量検査)をしてもらうことです。
(蓄尿の方法は8−1に詳しく載っています)
 
 「蛋白検査紙              
 
 
 
 
 
 
「マイウリエースT」  「尿蛋白の評価表・数値はmg/dL」
 
(”尿蛋白試験紙”・・アマゾン、薬局などで手に入ります。蛋白だけの物、蛋白と糖が調べられる物などあります。
病院での尿検査は、腎機能が正常ならば、直前に激しい運動でもしていない限り、尿蛋白が(+1)になるということはまずありません。その意味では、腎機能の低下を発見するには、濃縮されやすい早朝尿を検査した方が見つけやすいと言えるかも知れません。
 
*尿蛋白試験紙の(−)は1〜9mg/dL
         (±) は10〜29
         (+1) は30〜99
         (+2) は100〜299
 
尿蛋白0.5g/日というのは、1日の尿量が1.5Lの時、500mg/15dL=33mg/dLなので、試験紙が(+1)になったら危険ということになります。(±)の段階で抑えておきたいものです。尿蛋白の量を減らすには、蛋白が出る原因となっている腎臓病の治療(高血圧など)をする事は勿論ですが、激しい運動や労働をやめる必要があります。運動をやめることは簡単ですが、労働はそう簡単ではないですね・・、私も尿蛋白が+2となっても、仕事を軽減することは出来ませんでした・・
 
たんぱく質を食べる量(摂取量)は、体重1kg当たり0.6〜0.8gに減らす事が腎臓学会で推奨されています。蛋白質は人間の身体を作っている重要な要素ですから、不足したら、食べすぎるよりも深刻な問題が起きるとされています。まず、感染症に弱くなることでしょう・・ちょっとした事で、風邪を引いたり、歯茎が腫れたり、体調を壊す恐れが出てくることでしょう・・
 
*参考・・「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン第1章CKDの診断と意義」   https://cdn.jsn.or.jp/data/CKD2018.pdf        
 
 3  ステージ(eGFR)
 
*診断とステージ(旭化成)・・・大変分かりやすい解説ですhttps://www.asahikasei-pharma.co.jp/health/kidney/ckd/diagnosis.html
 
 3-1  自分のステージ(悪化の程度)を知る
*腎臓病の進行度をステージ(Stage:段階)で表します。 
糸球体ろ過量(Glomerular Filtration Rate = GFR)の頭文字を取ってG1〜G5で表現します。数が多いほど重症です。自分のステージを知り、ステージに応じた、現在の医学が良しとする治療を受け、生活をすることが保存期の基本となります。
 
ステージは、血液中のクレアチニンという物質の量と年齢から計算されますが、推算された(estimated)の頭文字eを前に付けてeGFRと書いています。クレアチニンという物質は運動などで筋肉を使った際に筋肉から(最終代謝物として)放出されると言われている物質ですので、筋肉を激しく使った後には多量のクレアチニンが血液中に溜まります。 検査前2〜3日は大人しくしていないと、検査の度に検査値が大きく変動してしまうと言うことが起こりえるでしょう・・
 
統計的にはG1〜G2は透析(注1)にはならないかも知れないグループと言われますが、40才でCr.1.0の方は既にステージがG2ですし、60才でCr.1.0はステージがG3aです。
 
(注1)透析とは・・機能しなくなった腎臓の代わりに血液を人工的に浄化する作業で、腕の静脈に点滴のように針を刺し血液を抜き、その血液を濾過器に送って老廃物の殆どを濾過、除去し、きれいになった血液を又元の静脈に戻します。
 
 ただ問題は、腕の静脈から大量の血液を抜く針は直径1.6mmもあります。腕の静脈は細いため、そのままでは1.6mmの針を刺し血を抜くことが出来ません。その為、太い静脈が必要ですが、その一方法として、腕の静脈に動脈を繋ぎ、動脈の高い圧力で静脈を太くする血管の接続手術が必要です。動脈に接続して3週間もすると静脈は太い針が刺せるほどに太くなります。太くなった静脈はシャント(Shunt:脇道という意味)と呼ばれます。
このことは何を意味するかというと、シャントは手術して作っても直ぐには使えないと言うことです。従って急患で運び込まれたCKD末期患者は、腕ではなく、首の静脈や太ももの付け根の太い静脈に管(カテーテル)を挿入して、血液浄化をしなくてはなりません。透析は生きるか死ぬかの問題です・・
 
*透析の具体的な解説(画像付き)(府中腎クリニック)http://www.shinshikai.or.jp/clinic/fu_jinfuzen.html
*シャント解説  http://ozone-mec.jp/blog001.html
 
G3b〜G4は、「透析導入を遅延できる可能性がある」、と表現されるように、あたかも将来の透析導入は避けがたく、単に遅延の努力をするしかない、と言っているように聞こえます。常識的には透析になる可能性は「かなり高い」となります。G4は透析が避けられないステージとして透析専門医へ紹介、との記述が多いですが、G4は50才の方がCr.2になった時のステージです。G5は透析に入る、または透析の準備(シャント作成手術)をするステージと言われています。
 
*取手の椎貝クリニック(下記サイト)は透析施設を持たない、腎臓病保存期治療の専門クリニックですが、G4になって、「もう為す術がありませんから透析の準備をしましょう、と医師に見放された人達が沢山集まって、透析回避の治療を受けています。日本では数少ない透析施設を持たない「CKD保存期専門」のクリニックです。椎貝クリニックに集まる患者の特長は、医師の指導をきちんと守れる、非常に真面目で透析回避に熱心な人達だそうです。
*椎貝クリニック・・・http://www.shiigai-clinic.jp/
 
*(GFR 計算サイト)https://keisan.casio.jp/exec/system/1210728958
 
*「CKDステージG3B〜5患者の為の腎障害進展予防とスムーズな腎代替療法への移行に  向けた診療ガイドライン」https://cdn.jsn.or.jp/academicinfo/report/CKDG3b-5guideline2015.pdf
 
*(CKD概略解説サイト)https://www.asahikasei-pharma.co.jp/health/kidney/ckd/diagnosis.html
 
*(日本腎臓学会による生活指導マニュアル)https://www.jsn.or.jp/guideline/pdf/H26_Life_Diet_guidance_manual.pdf
 
 3-2 慢性腎臓病(CKD)の進行状況を知る
 
*腎機能の悪化の状況を知るには「血清クレアチニン:Cr.」の逆数(1/Cr.)のグラフを付けると進行状況が分かりやすいと言われています。それはCr.の数値は直線ではなく2次関数的に右肩上がりにカーブを描いて悪化していくものですが、Cr.を分母に持って来たクレアチニン値の逆数「1/Cr.」をグラフにするとほぼ直線的になり、将来の予測がしやすいと言われています。自分の現在の状況と将来の予測を見る上で、グラフに自分の数値(1/Cr.)を置いていくと、自分の進行状況が分かりやすいと思います。
 
(ご注意)一般的な傾向を簡略的に表した図です。常にこの図のような単純な経過を辿るわけではありません。一番最後の12 私のCKDの推移 に私の1/CR.のグラフがありますのでご参照ください。
 
 
 4 専門医にかかるタイミング? 
 
*腎臓学会「専門医への紹介基準」・・https://www.jsn.or.jp/data/180227-001.pdf
*別サイト・・・https://dm-net.co.jp/calendar/2018/027881.php
*腎臓病に関する現在販売されている本を読みますと、かかりつけ医は、患者が血液検査でクレアチニン値が2を越えたら専門医を紹介すると良い、と書かれてある本が多々あります。それらの多くはかなり前に出版され、現在でも書店やネットで販売している物と思われます。現在では腎臓学会の基準をみても、もっと早くから専門医を紹介するように変わってきています。
 私は一般論として若い方(60才未満の方?)がクレアチニン値が2になってから治療を始めるのではかなり遅すぎるのではないかと思っています。かかりつけ医による保存期の管理が十分には出来ない現状を考えると、あたかも、腎機能の悪い患者が出ても直ぐには専門医に回さず、将来の透析がほぼ確定するCr.が2.0になるまで待って、専門医に紹介しましょう・・と言っているようにさえ聞こえます。
 
ここで言う専門医とはどのような医師でしょうか?
腎臓学会の定義によると・・「早期発見から生活指導までを視野に入れて、良好な健康管理予防医学日常診療を任務とする全人的な腎臓病診療を実践する」とあります。
 
 日本の場合、一人の腎臓専門医が一体何人のCKD患者を診なければならないのでしょうか? 2019年5月現在の登録腎臓専門医数は5,317名(透析施設も含む)、それに対して中度以上のCKD患者数は約1330万人(内1100万人以上がステージG3以上)。軽度以上のCKD予備軍は6000万人以上・・国民の約半数にのぼります(注1)。
 
 専門医1名が2500人の中度以上のCKD患者を診なければならない計算になりますが、腎臓学会の登録専門医と言っても、実際には必ずしも本業が腎臓内科というわけではない医師もいらっしゃいます。また実際に患者を診る臨床医ではなく大学の研究者という方もいることでしょう・・なんにしても、全然専門医が足りないと言うことは確かでしょう・・
(注1)CKDの重症化予防と医療連携 https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/104/3/104_556/_pdf
 
*一般の病院でCKD治療や指導を受けていても、統計的に、血清クレアチニン値が1から2になるのに10年、2から3までが4年、3から、多くの方が透析に入る8までが2年と言われています。つまり30才でCr.1.0の人は今から真剣な保存期治療を始めないと、多くの人が16年後の46才で透析が必要になる、と言うことになります。専門医への紹介基準をCr.2とすると、紹介された人の多くは6年後には透析に入ることになる可能性が高いと言うことになります。
 勿論これは統計上のことで、私はCr.が2であっても、厳格な食事療法と十分な休息を取り、重労働の仕事をされている方は、負荷の少ない仕事に変更し、腎臓の保護を最優先に考えた生活に切り替えて、本気で腎臓療養をすれば、悪化を大きく遅らし、年齢によっては、透析に入らずに済む可能性が少なからずあると思っています。仕事を変えることは簡単ではありませんが、今変えなければ近い将来透析に入ることになる・・と言うことがどうゆうことかを知り、その問題の深刻さを理解すれば、透析に入らないように精一杯の努力をしようという気持ちが沸いて来ることと思います。
 
*透析患者の平均余命・・https://jinentai.com/doctor_qas/27               
*私は特に若い方が、通常の検診で尿蛋白が+1以上と出たり、血清クレアチニンが1.0mg/dLを超えていたら、或いはeGFRが60ml/min/1.73u以下であったら、かかりつけ医から腎臓病保存期専門医(腎臓内科のある病院)を紹介してもらうべきと思っています。なるべく大きな病院で、腎臓病の種類の確定、栄養指導、生活指導を受けるべきです。体調は絶好調なので大丈夫と楽観視していると、Cr.値は加速度的に透析へと上昇していきます(1/Crは下降していきます)。
 
*多くの総合病院は紹介状がなくても受診出来ます。(紹介状がないと別途手数料5000円程度が掛かることがありますが、その価値はあると思います)
*慢性腎臓病と言われたら、専門医の指示で更なる検査や治療が始まりますが、そちらの方は医師に任せて、私達は自分でできる対策として、次章以降の「食事の工夫」などがあります。
 
(24時間蓄尿を実施していると思われる医療機関の例)
*(東邦大学・大森病院)https://www.lab.toho-u.ac.jp/med/omori/neph/patient/inspection02.html
*(大阪府立急性期総合医療センター)http://plaza.umin.ac.jp/~kidney/kensa.html
*椎貝(しいがい)クリニック(茨城県取手市) http://www.shiigai-clinic.jp/
*松山医院(大分市 腎臓内科)  https://www.matsuyama-iin.com/jinzobyo.html
*泉が丘内科クリニック(富山県高岡市) http://izumigaoka-clinic.webmedipr.jp
*そのほか、ネットで、「24時間蓄尿検査」で検索すると実施している施設が探せると思います。
 
 5 食事の工夫   
(参考)
*食事療法(広島大学)  https://home.hiroshima-u.ac.jp/expertpt/shokujiryouhou.html
*栄養に関する日本腎臓学会のガイドライン「CKDと栄養」    
https://www.jsn.or.jp/ckd/pdf/CKD04.pdf 
*腎臓と食生活(大塚製薬)https://www.adpkd.jp/yomoyama/vol07_01.html
 
 
 
 
 
 
 5-1 食事の管理 
 
腎臓病は食事の管理が大変重要です。Cr.が1.0〜1.4位の軽度なうちは、塩分、たんぱく質、カロリーだけの管理でも良いと思いますが、Cr.1.5以上に悪化した場合にはカリウム(K)、とリン(P)の管理も始めるように主治医から指示があると思います。因みに塩分過多は高血圧、たんぱく質過多は腎臓の負担増、カリウム過多は心不全、リン過多は血管壁の石灰化による動脈硬化の原因になると言われています。(5-2-5リンの管理参照)
 
現在の日本の医療システムでは、食事制限に関する全ての責任は医師や管理栄養士ではなく、その患者自身にある、ということになっています。
 血液検査、尿検査などの結果から、医師から塩分、たんぱく質、カロリー等の指示がありますので、患者はその指示を忠実に守らなくてはなりません。 もちろん守るか守らないかは患者の自由です・・医師は家庭内の料理にまで干渉はできません・・検査の度に医師はアドバイスをしてくれることでしょう、それを聞き入れて守るかどうかも患者次第です。従ってその結果の責任は患者自身にあるということになります。日本の大病院には「CKD教育入院」というシステムがありますので、どういう感じの食事をどれくらい食べたらいいのか、という教育を受けられます。色々な低蛋白食の利用方法なども教えていただけます・・
 
さて、CKD患者のメニュというと、塩分とたんぱく質とカロリーが最も重要とされますが、塩分とカロリーは分かりやすいですが、たんぱく質の摂り方は、単に蛋白質を何グラム以下にする、というだけでは不十分で、体内で蛋白質合成の元となる必須アミノ酸を考慮に入れなければ本当の意味で正確な蛋白質制限にはなりません。或いは、1日3食の中に、肉、魚、卵を各30g(たんぱく質各約5g)と、乳製品を1日150g(たんぱく質約5g)程度を摂り、動物性蛋白質を65%以上摂れば、最善ではないですが、必須アミノ酸は十分摂れると思います。
 
最善ではないというのは、動物性蛋白質を65%もとると、確かに必須アミノ酸は十分取れるでしょうが、9種類の必須アミノ酸のバランスが悪く、「フェニルアラニン」とか特定のアミノ酸が余ってしまうかもしれないからです。その余ったアミノ酸はカロリーとして消費され、その燃えカス(尿素窒素)が血液中に残り、その処理をする腎臓に負荷を掛けることになるからです。必須アミノ酸に関しての詳細は、「8-14 必須アミノ酸を取り入れた食事」をご参照下さい・・
 
*食品の栄養成分はネット上でも調べることが出来ます
*食品名から塩分、蛋白質、カロリー、カリウム、リン、他を調べることができます。 https://calorie.slism.jp/ 
 
(主な食品は、必須アミノ酸の量も分かります・分からない物も多いのですが・・)
*料理名から塩分、蛋白等を調べられます・
https://www.asken.jp/calculate/
 
*本では「腎臓病の食品成分表」と言うのが書店にありますし、アマゾンなどでも手にはいります。
*1日の栄養の合計を表にするには、エクセルが使える人はエクセル表計算を利用するのがよいと思います。エクセルは若い人ならば多くの方が使えると思いますが、高齢者でも、パソコンが使える方でしたら、初歩のエクセル入門書を買って独学すれば比較的簡単に食事メニュー(栄養表)を作成できると思います。
 
まずは1日の栄養素を制限内に押さえるにはどうしたらいいか、ということですが、1日の制限値から既に食べた2食を引けば、差し引き3食目に食べられる塩分量、たんぱく量が計算できます。手計算でもいいですが、エクセルならば手入力ですが計算は自動でやってくれます。
 
*外食をよく利用する人は、手計算、或いはエクセル計算のどちらでも、表を作る際に、1日の食事を朝昼晩ではなく、昼食、夕食、翌日朝食の3食の合計をもって1日分として栄養計算すると、昼食か夕食が外食になってしまった場合でも、翌朝である程度調整ができ、1日3食合計の数値が揃いやすくなります。
     
また、1日の食事を普通の朝昼晩で管理する場合では、朝昼の2食の比重を大きく取り、夕食を少なめにしておくと、突然夕飯が外食になった場合でも対応がしやすいです・・この場合は外食で会話は沢山しても、食事は殆ど食べない、という条件が付きます・・他の人がビフテキを注文しても、自分はサンドイッチとか、その店で最も塩分、たんぱく質が少ないと思われる料理を注文することです・・
 
 私はカロリー補給のために、暖めた低蛋白丸パンや、低蛋白ご飯の海苔巻きを作って持っていったりします・・その際、注文するのは野菜サラダなどです^^肉や魚を食べるときは40g程度(料理の1/3?)で箸を置いた方が無難です・・どうしてもステーキを食べなければならない重要な席の時は、覚悟を決めて食べ、もし120gのステーキだったならば、たんぱく質は16g位(1日の約半分の量)ですから、翌日の肉・魚・乳製品を減らし、たんぱく質量を調整します^^
 
*栄養管理をする上で必要な小道具が幾つかあります。私が使っているものは、
1.秤(はかり)・・2kg用(できれば最小表示0.1g)、500gの携帯用秤(外食の時に使います)、更に、スプーン型の秤などがあると、塩を精密に計る時などに便利です。秤は1台よりも2台あった方が何かと便利です。2kgより重い物でも、2kg秤を2つ並べて乗せれば、2つの秤の合計が、上に乗った物の重さになります。この場合は4kgまで計れます。
 
2.計量スプーン5cc、10cc、など・・油や醤油などを量ります。なるべく深いスプーンが使いやすいです。
3.「腎臓病の食品成分表」・・食品の塩分やたんぱく質の量を調べる本です。(ネットで購入できます。)
4.塩分計(ミネラル分の多い料理では狂うことがありますし、薄い塩味では反応しませんので、持っていても使ったことがありません・・)
5.CKD料理の参考書
 
 
 
 
 
 
2kg秤・1kg秤・500g秤・スプーン型秤・塩分計・温度計
                    
 5-2  各栄養素の管理方法 
 
 5-2-1 塩分管理 ・・
(参考・・腎臓学会ガイドライン)
https://www.jsn.or.jp/guideline/pdf/H26_Life_Diet_guidance_manual.pdf
 
塩分摂取量・・腎臓学会等では、1日に摂って良い塩分量はステージに関係なく1日3g以上6g未満と規定されています。食品の塩分量は正確には分からないものです。いくら正確に重さを量ったとしても、食品中の塩分含有量にはバラツキがありますし、もし1食でも外食や市販の惣菜が入れば途端に正確な計算はできなくなってしまいます。安全面から最低必要量「1日1.5g」の2倍の3gを「摂取すべき塩分量の下限」としているようですが、私は更に安全を考え、メニュでは1日約3.6gを目標にしています。
 実際は1日4g以下(3g以上)を目標にしてますが、メニュでは3.6g程度に抑えています。理由は、自制心の欠如なのですが・・どうしても予定外の煎餅を食べたり、妻の塩の利いたおかずをつまみ食いしたりするからです^^
(参照)東京医療保健大学「Na制限の実践」https://www.jinzou.net/01/pro/sentan/vol_31/ch04.html
 
*なお、外食する場合は、なるべく塩分、カロリー表示のある店に入ります。 ファミレスだと、塩分、カロリーを表示しているレストランは比較的多いです。カロリーだけでも分かれば、料理によってはネット上の情報から、重さが計算できるかも知れません。
例えば「ナポリタン」「ヒレステーキ」など一般的なメニューであれば、カロリーから、蛋白、カリウム、リン、塩分などがある程度調べられます。)また調理済みの食品を買う際は栄養成分表示のある物を買います。外食にしろ、スーパーの惣菜にしろ・・、そういう原材料の量がはっきりしない物が入ると、1日の栄養コントロールはかなり破綻します・・そう言うことは週に1度位にしておくべきだと自分に言い聞かせてはいます・・・
 
*料理名から塩分、蛋白等をある程度調べられます・・https://www.asken.jp/calculate/
*コンビニなどでは、塩分でなく、ナトリウム(Na)の量が書かれていることが多いです。これは塩分量が分からないようにする作戦か?と疑りたくなりますが、Naは食塩だけでなく、添加物にも使われているので、より正確な表示と言えるのだろうと思っています。制限しなければならないのは食塩というよりは、Naの総量だと思うからです・・
食塩換算をするには店頭でスマホ計算するのは面倒ですが、Na(mg)×2.54÷1000=食塩相当量(g)です。概算としては、Naが400mgで塩分換算約1gです。
 
(参考・計算の根拠)Naの原子量は約23、塩素Clは
約35.5で、NaClでは約58.5 
NaCl/Na≒58.5/23≒2.54 ・・・
よって、(食塩)NaClは、Na×2.54となります。
Naの量はmgで書かれていますので、2.54倍して1000で割れば食塩のg数となります・・
例えば、Na394mg×2.54÷1000≒1.0g(食塩1g相当)
 
塩分過剰→血圧上昇・・・摂取塩分(塩化ナトリウム:NaCl)の量が増えると、血中に取り込まれるナトリウム(Na)濃度が上昇し、身体は高すぎるNa濃度を下げようとして血中に水分を取り込む結果、血液量が増え、重量の増えた血液を身体中に送り出すために血圧は上がってしまいます。高すぎる血圧は腎臓の内部で尿を濾し出す「糸球体」の細い動脈(細動脈)が、その高い圧力で損傷し、糸球体が消滅していくと考えられているようです。糸球体が死滅するということは、残っている糸球体の負荷が増大するということになり、腎機能は徐々にではありますが悪化(低下)していくということになります。
 
 低下の速度は直線的、ではなく2次関数的に(放物線を描くように)落ちてしていきます。その理由は、人が生き続けるために腎臓から排除しなければならない老廃物の量は、同じ生活をする限りステージに関係なく一定で、CKD悪化に伴う糸球体の減少数も毎年ほぼ一定だからです。(だからといって、塩分を極端に摂らないでいると、ナトリウムの血中濃度が下がって(低ナトリウム血症)、痙攣、意識障害など命にかかわる大変な事になる恐れがあると言われています・・)
3g〜6gの塩分を摂る、ということは最も大切な事と言われています。
 
 
加速する腎機能の悪化
*分かりやすい例えとして、良く見かける例ですが・・・仮に身体にとって必要な1日の老廃物の処理量が100g、残存糸球体数が50万個で、CKD悪化の為に毎年10万個ずつ糸球体が消滅すると仮定した場合・・
 上の例では初年は糸球体1万個あたりの負荷が2gだったものが、1年後は2.5gとなり、2年後には3.3gに、3年後には5g、そして4年後には10gとなり、5年後にはとうとう負荷は∞になって腎機能は破綻しています。腎臓の悪化というのはこの例と同じで、1日に処理しなければならない廃棄物の量はほぼ一定なのに、それを処理する糸球体の数が毎年ほぼ一定量消失するため、上の例のように加速度的に悪化します。上の例では毎年消滅していく糸球体の数を10万個と固定しましたが、残存糸球体数が減り、負荷が毎年増加していくのですから、糸球体の毎年の減少数も加速度的に増えるはずです。従って実際は、5年後ではなく、もっと早く残存糸球体は0になってしまうことでしょう・・
 
*実際の糸球体の数は健全者で片側約100万個,両側で約200万個あると言われています。腎機能が半分になってしまった人でも、まだ約100万個の糸球体が頑張っています。自分自身の100万の糸球体を見捨てず、大切にしましょう。
*腎臓を大切にすると言うことは、糸球体の仕事量を減らし、酸素一杯の鮮血が十分腎臓に届くようにするということではないでしょうか・・
 
(話が逸れましたが・・)
*過剰に摂取された塩分は皮下脂肪にも蓄えられるため皮下脂肪の塩分濃度が上昇します。皮下脂肪も塩分濃度を正常値まで下げるためにリンパ液から水分を取り込むことになり浮腫(むくみ)が起きます。むくみのある人は、まず塩分制限(3g以上6g未満)が出来ているかを24時間蓄尿検査で実際の塩分摂取量を調べることは有効かと思います。
    
  *24h蓄尿検査は下記を参照ください
 8-2 実際の塩分、蛋白摂取量を尿検査から自分で調べる方法 
 
(私は塩分管理は、1日3.7g±0.3gを実行しているつもりですが、1日分の尿を貯める蓄尿検査で実際に食べた塩分摂取量を計算すると、大体自分の計算よりも0.6g位多く出ます・)間食とかで塩煎餅を・・ついつい食べてしまうんですね・・自分の意志とは裏腹に、身体が欲しているので仕方ないです・・塩分は大体において、計画よりも多く摂ってしまうことが多いと思いますので、目標は少なめにした方が良いと思います。
 
*塩の代用は酢で可能・・塩分摂取量が多すぎる場合、代わりに酢を使う事が出来ます。人の味覚上、「しょっぱさ」と「すっぱさ」は似た感覚なので、酢を加えることで塩の味を強めたり、代わりをすることが出来ます。
 
*塩分を減らすには、食事の見直しが必要です・・和食の場合、塩分制限のためには幾つかの伝統食を諦めなければならないかもしれません。
 
「具の少ないみそ汁、塩分の多い漬け物、煮物、佃煮、魚の干物」その他とにかくご飯の友と言うべき塩味のある美味しい物はすべて止められないかを検討した方が良いと思います。
 低蛋白ご飯と低蛋白パンを組み合わせて食べるとカロリーが摂りやすいと思います。
 
一般のパン50g(約130kcal)には塩分が0.6g位入ってます。一方、低蛋白パンでは、例えば、最も塩分の少ない「低蛋白パン」では50g(146kcal)で塩分は普通パンの10分の1で、僅か0.06gです。ジャムを塗って食べれば塩分0.1g程度で食べれます。 一方ご飯の方は一般的には塩分の利いたものが欲しくなります。このことから、塩分を制限するにはご飯食よりもパン食の方が簡単と言えます。ご飯食の良い点は、炊飯する場合には、カロリーの微妙なコントロールがし易い点でしょう・・パン食の場合にはカロリーの微調整は「粉飴」等ですることになるでしょう・・粉飴は1g 約4kcalです。
 
ご飯のおかずの場合でも、必要なのは舌先で感じる塩辛さですので、塩味は料理の外側だけにあればいい訳です・・、醤油とか塩とかは料理の途中で混ぜることをせず(食材に浸みこんで塩味が薄くなる為)、火を止めてから醤油を加えるとか、或いは調理時には味を付けず、食卓で醤油(出し割り醤油)をかけるか、小皿に入れて、ちょっと付けて食べる、酢と混ぜる・・と言うのが減塩には良い方法と思います。
 
またスプレー式の醤油で、1プッシュ0.1gとかいうのもあるそうです。 サラダなどでは、ドレッシングを少しかける場合は、りんご酢も少し振りかけると、味がしまって塩味が強調されます。ドレッシングを使わず、りんご酢だけでも野菜サラダは食べることが出来ます。
*塩分と蛋白をなるべく摂らずにカロリーだけを増やすには:粉飴、高カロリーゼリー、オリーブオイル、低蛋白米、低蛋白パンなどがあります。
 
 
*塩分をなるべく摂らずに蛋白質を摂りたい時・・普通ご飯、茹でたサツマイモ、無脂ヨーグルト、卵白などを食べる。卵白は良質なタンパク質で、ゆで玉子にすると卵白部分だけを綺麗に取れます。保存は小分けして冷凍し、解凍は自然解凍か、煮沸解凍ができます。         
 
*塩分だけがちょっと不足したとき・・単純に塩を振りかけます。一降りが何グラムになるか、計算しておくと良いと思います。例えば100回振って出てきた塩の重さが5gならば一降りは0.05gです。瓶の口の穴が多すぎるときはセロテープでふさげます。湿気は要注意です。また、市販品では0.3g、1g、 2g等の小袋入り食塩があります。出し割り醤油の3g入りなども便利です。
* 販売店は(5-3「 腎臓病食の買い方」参照)     
 
 5-2-2  蛋白(たんぱく)質管理 
 
(参考) JAとりで総合医療センター
http://www.toride-medical.or.jp/d」epartment/eiyou/204-jinzo.html
 
摂取すべき蛋白質の量は?
腎臓学会のガイドラインでは、「0.6〜0.8g×標準体重」となっています。
                    標準体重(kg)=身長(m)×身長(m)×22
この数値で計算すると・・・ 
 標準体重50kgの方の場合
 0.6×50=30g、  0.8×50=40g
従って摂取蛋白質量は中間値をとって35g±4g程度を目標としてメニューを考えると摂取誤差があっても安心だということになります。。
____________________________________
(参考)
腎臓学会の蛋白質摂取制限では効果が出ない、と異論を唱える臨床医が、少なからずいます。栄養学の権威であった(故)出浦照國(いでうらてるくに)元関東学院大学教授は、腎臓病、栄養学の専門家として、0.6〜0.8g/kgBW/day(標準体重1kg当たりの1日の摂取量)は殆ど効果がない。それは普通食であって低蛋白食とは言えない。効果を得るためには0.3〜0.5g/kgBW/dayでなければならない、と強く主張していました。
_____________________
 (注1)出浦教授の主張 ガイドラインに対する「主なパブリックコメントとそれに対する回答」の中ほどで主張を展開しています。
https://www.jsn.or.jp/ckd/pdf/CKDpubcome2.doc
 
たんぱく質の量が0.3〜0.5g/kgBW/day(1日、体重1kgあたり0.3から0.5gのたんぱく量)
だと、標準体重が50kgの人は 1日15gから25g(中央値は20g)と言うことになります。
 
 これは超低蛋白食とも言うべきものですが、私が自分の身体で実験してみたところ、1日20gの超低蛋白食(0.37g/kg/BW/day)を2週間続けたあたりで歯肉炎が発症しました。 必須アミノ酸のバランスは考慮しなかったために、恐らくある種の必須アミノ酸(恐らくリジン、バリン、ロイシン)の不足による栄養障害に陥ったと思われます。
 アミノ酸は、単に筋肉にだけ使われる物ではなく、体を正常に保つための数々のホルモンにもなって感染から体を守ってくれています。
 
 この経験から、一般家庭でのたんぱく質制限は「0.6g/kg標準体重」が一般論としては安全な最低値かと思われます。 もし「0.6g/kg標準体重」未満の低蛋白療法を取り入れる際は、食品の蛋白量からではなく、「アミノ酸組成によるタンパク質」から必須アミノ酸のバランスの取れた食事にする必要があると思います。(私はWHO推奨量の150%を食べる実験を自分の身体で実行中です。アミノ酸のバランスさえ最高に良ければ、たんぱく質は多い方が良いような感じを最近持っています・・)
 
 その後、たんぱく質の計算方法を変えてみました。詳しくは「8-14 必須アミノ酸を取り入れた食事を始める」で書いていますが、食品の外装に表示されている普通の蛋白質量ではなく、その食品の蛋白質を構成する必須アミノ酸の量を計算する方法です。計算結果は、普通のたんぱく量と、アミノ酸組成を元にしたたんぱく質計算では、蛋白質の摂取総量はアミノ酸組成の方が平均で約15%程度少なくなります。(私が調べた範囲では、最低はリンゴの0%、最高はジャガイモの38%アミノ酸組成の計算の方がたんぱく質量が少なくなります)
 
 ただ、痛んだ筋肉を修復したり、増強したり、爪や髪の毛やホルモンを作るには食べた蛋白質が直接的に作用する訳ではなく、食べた蛋白質は腸内菌により蛋白質を構成するアミノ酸にまで分解されて初めて身体に吸収され、皮膚や筋肉、爪や毛などの身体の組織の修復や各種のホルモンを作り出します。アミノ酸は全部で20種類です。そのうち11種類は身体の中で糖分や脂質から作られますからカロリーさえしっかり摂っていれば問題は無いのでしょうが、身体の中では作れないアミノ酸が9種類あって、それは食べ物から摂らなければなりません。
(その9種類を必須アミノ酸、或いは不可欠アミノ酸と呼びます。)
 
 この必須アミノ酸をそれぞれの必要量を過不足無く食べることが重要なことです。
たんぱく質を5g食べる、と言えば、魚を食べようが、ご飯を食べようが、たんぱく質の「量」という点では同じですが、質という点では大きな違いがあります。でも、一般にCKDの食事指導では、たんぱく質の量だけを重視して、質(必須アミノ酸)の方は問われていません・・・僅かに「動物性たんぱく質を、全たんぱく量の65%以上摂りましょう」・・という表現に留まっています・・でも、身体が食物から吸収するものはたんぱく質が小さく分解されたアミノ酸なのです。身体が必要としているのは総称的な「たんぱく質」ではなく、たんぱく質を体内で再合成する元となる「アミノ酸」なのです。
 
 国連のWHO(世界保健機関)により、身体が必要としている9種類の必須アミノ酸それぞれの体重1kgあたりの「推奨摂取量」が決まっています。1種類でも少ない必須アミノ酸があると、他の8種類の必須アミノ酸までも、その少ない1種類の必須アミノ酸レベル(アミノ酸スコア(注1)しか利用できなくなります。いわば、9種類の必須アミノ酸は9種類が規定量揃って初めて手を繋いで1組となって身体を作る仕事ができると言えましょう・・
 
(注1)*アミノ酸スコア(Wikipedia)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%9F%E3%83%8E%E9%85%B8%E3%82%B9%E3%82%B3%E3%82%A2
 
一つでも必要量より少ないと、手を繋いで1組になることができず、たんぱく質合成ができません・・・また幾つかの必須アミノ酸が突出して多くても、残念ながら手を繋ぐ相手がいないため、1組になれず本来の仕事はできません。単に酸化して(燃えて)身体を温めることしかできません。ただその場合には、有害な燃えカス(アンモニア)が残り、肝臓で毒性の低い尿素に変わりますが、CKD患者にとって沢山の尿素を腎臓から排出することは簡単なことではありません・・腎臓に負担を掛け、腎臓は段々弱り、やがては血液中に尿素等の毒性物質が沢山残り、尿毒症を発症し、頭痛、吐き気に苦しむことになりますし、透析せずにいれば確実に死に至ります。
 
(参考)最新研究で明らかになった正しいタンパク質の摂り方(東大・生命化学研究科) 
https://www.yakult.co.jp/healthist/257/img/pdf/p02_07.pdf
(リンクしないときはコピペして下さい)
 
 CKD患者にとっては、たんぱく質の量を計算するよりも、必須アミノ酸の量を計算する方が理にかなっていると言えると思いますが、必須アミノ酸の量からメニューを作ると言うやり方は全く普及していません。売られている食品にも、必須アミノ酸の量は書かれていません。参考書もほとんど無いし、今日の料理の必須アミノ酸の量を計算すると言うことは容易ではありません・・・でも、やり方によってはある程度はできます。
 
特に超低たんぱく質の食事制限をしている人は、たんぱく質何gを食べるとかではなく、
必要とされる必須アミノ酸の量をバランス良く満たす食事内容にする事が絶対に必要だと思います。
 
しかしこれは根本から食事計画を見直さなくてはならないことを意味します。そして、必須アミノ酸の計算を懸命にしなくてはなりません・・これが最初のうちは大変な作業なのです・・今のところ家庭で簡単に使えるソフトが見つかりませんので、仕方なく、私はエクセルの基礎を勉強して、エクセルで表を作ることにしました・・・
 
*メニュの詳細は8-14 ・・必須アミノ酸を取り入れた食事を始めるをご覧下さい。
 
*(参考):アミノ酸組成によるたんぱく質(イートスマート)・・・http://help.eatsmart.jp/2016/06/post-0ba1.html
 
(経過報告1)WHOが推奨する必須アミノ酸摂取量ぴったりの食事を初めて3ヶ月後位に、インプラント周囲炎(歯肉炎)を発症しました・・インプラントの歯茎の炎症です。原因は蛋白摂取不足による栄養障害かと推測しています・・
 
この結果から、WHOの「推奨必須アミノ酸摂取量」ぴったしでは栄養は十分とは言えず、腎機能が弱い人,免疫力の弱い人、消化吸収の悪い人などは、推奨量より多く摂った方がいいのではないかと考察し、推奨量の20%増にした結果、塩分3.6g、蛋白質摂取量約27g(アミノ酸組成によるたんぱく質の量です。一般のたんぱく質に換算すると15%程度増加し、約31gになります)、メニュ上のカリウム摂取量は1600mg(蓄尿による検査からでは実際の摂取量は1300mg程度)、カロリー1660kcal。動物性蛋白質は56%程度、従来の蛋白質での摂取量は約0.55g/kg/日になります。
 
しかし推奨量の20%増の食事をかなりきちんと食べたのに、腎機能の悪化傾向が改善しないため、2020年5月から推奨量の50%増の食事を始めました。
 
 50%増にした理由は、ある著名な栄養学の本にCKDの人のための「低蛋白食の基準食」というのが載っていて、そのメニュの「アミノ酸組成によるたんぱく量」を計算しエクセルの表を作りましたら、リジンのみ推奨量の50%増で, それ以外の8種は全てほぼ100%増になっていました。このことから、メニュの設計を推奨量の50%増(推奨量の150%)と決め、メニュを作って現在実験中です。
 
この基準食は詳細がないため推定になりますが・・
*塩分:約6g、
*アミノ酸組成によるたんぱく量:約37g
*体重1kg当たりのアミノ酸組成による蛋白質量:約0.67g/kg(従来の蛋白量では0.8g/kg)になっていました。
 
下のグラフはよく知られた食品の必須アミノ酸の量です。表の縦軸はアミノ酸スコアです。アミノ酸スコア100以上あれば、栄養的に良いとされています。
上図で、右上図のように9種類が全てアミノ酸価100の食品は理想的なのですが、そのような天然の食品は存在しません。母乳が最も理想に近いのですが、牛乳、ヨーグルトなどの乳製品は人の母乳ほどではないですが、同じほ乳類の子のための乳だからでしょうか、人にとっても比較的理想的な必須アミノ酸の配合になっています。 
 
左上の図は普通の食パンですが、必須アミノ酸の「リジン」が必要量の半分しかありません、ご飯もリジンが足りないのですが、味噌や納豆や豆腐、或いは魚はリジンが多いので、それらを組み合わせることで、不足を補えますが、リジン以外は摂る過ぎになるかも知れません・・正確には必須アミノ酸の献立を作らない限り分からないことです。 
8-14-1 必須アミノ酸からメニュを作る、参照下さい)。
 
(参考)
*(分かりやすい低蛋白食解説・広島大学HP・・・
https://home.hiroshima-u.ac.jp/expertpt/teitanpakushokutte.html
 
(参考) たん白質・アミノ酸の適正摂取量(J-stage)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jisdh/20/1/20_1_17/_pdf/-char/ja
 
*腎臓学会の栄養ガイドライン・・・
https://www.jsn.or.jp/ckd/pdf/CKD04.pdf
 
*ガイドラインに対する反論(蛋白質摂取量)・・・
https://www.jsn.or.jp/ckd/pdf/CKDpubcome2.doc
 
*蛋白質1日20gの料理本・・http://teitanpakushoku.com/recipe/pdf/01_prologue.pdf#search=%27%E6%A5%A0%E8%A6%8B%E9%BA%BB%E6%9E%9D%E5%AD%90%27
 
*腎臓病における食事療法/0.5g/kg体重で顕著な効果(昭和大学)https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsma/70/2/70_2_131/_pdf/-char/ja
 
*蛋白質摂取量を減らすには・・低蛋白食を利用するのが一番です。パック入りご飯の場合、蛋白質が普通のご飯の1/5(5分の1) とか1/10は大変美味しいです。1/25までは美味しくいただけますが、さすがに1/35になるとちょっと味気ないかもしれません。尚、低蛋白ご飯には腎患者用特殊食品の認可を取得している物があります。認可品だと安心だとは思いますが種類は少ないです。流通量としては蛋白量1/25が多いように思います。
認可品は、蛋白量1/5では「PLC」, 1/25や1/35では「ゆめご飯」などがあります。
 
*(注1)炊飯した普通のご飯には1食180gで約4gの蛋白質があります。3食普通ご飯を食べると1日12gの蛋白質を摂ることになります。それを例えば1/20低蛋白ご米180gに置き替えると1食が0.2g。1日3食食べても合計で0.6gに抑えられます。
 蛋白質の摂取量が3食で約11.4g減りますので、減った分はアミノ酸スコアが100以上の動物性蛋白質(例えば牛肉60gで蛋白質11g)を食べられ、蛋白質制限としては楽になるはずです。なお低蛋白ご飯と減塩みそ汁と減塩漬け物では蛋白質不足になる可能性があります。
 
 一般論としては蛋白質は腎臓学会が決めた「体重1kgあたり0.6g以上」というのが無難ですが、植物性蛋白質中心の食事だと必須アミノ酸の一部(ロイシン、リジン、バリンなど)が不足する可能性があります。それを防ぐには少なくとも摂取蛋白質の60%以上を動物性蛋白質にすることで必須アミノ酸が不足することは防げると思います。
 
 ただ動物性蛋白質を取りすぎると、アミノ酸のバランスが崩れ、身体の補修に利用できない部分が出てきてそれがカロリーとして利用されると、最終段階で腎臓に悪い尿素になってしまいます。
 
*アミノ酸スコア(Wikipedia)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%9F%E3%83%8E%E9%85%B8%E3%82%B9%E3%82%B3%E3%82%A2
 
「アミノ酸スコア」とは上のWikipediaに書かれているとおりですが、噛み砕いて言うと、ある食品に含まれる蛋白質の成分である「窒素(N)1g」中に9種類の必須アミノ酸が、WHOが決めた基準と比べて何%位含まれているか?と言う指標です。9種類全部が基準以上あればアミノ酸スコアは100とします。
 9種類の必須アミノ酸の内、もっとも%の少ない必須アミノ酸のスコアが、その食品の第1アミノ酸スコアになります。例えば肉や卵や乳製品は殆ど基準以上含まれているのでアミノ酸スコアは100以上です。またお米などはリジンが少ない為、アミノ酸スコアも低いですが、リジンの豊富な肉、魚、卵、大豆を一緒に食べることでアミノ酸スコアを挽回できます。
 
 アミノ酸スコア100の食品だけを食べればいいかというと、それでは野菜や果物から摂れるビタミン類が不足するかもしれません、ある程度は野菜や果物なども取り入れた、多種類の食物を食べるようにしないと感染症など、身体をこわすことになるかも知れません・・
 
たんぱく質に関しては、正確を期すならば、今日食べる全ての食品の必須アミノ酸量を調べて、9種の必須アミノ酸のそれぞれの合計が推奨摂取量を十分満たすようにメニュ調整することが、私達素人ができる蛋白質に対する究極の理想メニュと言えると思います。(現実的には、食品に含まれるタンパク質にはバラツキがありますし、人の消化吸収の善し悪しの差もありますので、私は食品の含有量のバラツキ、調理上の誤差と人の消化率を考慮し、WHO推奨量の50%増でメニューを作っています)
 
*必須アミノ酸によるメニュ作りに関しては「8-14−1・・必須アミノ酸からメニュを作る」で詳しく取り上げています。
 
食事療法を極めたい人は、一度は自分の食事の必須アミノ酸摂取量を調べてみることも有効なことだと思います。私の経験では、一般に低蛋白食品を利用している人のメニュで不足しやすい必須アミノ酸はバリン、ロイシン,リジンと思いますが、殆ど全ての食品はフェニルアラニンが極端に沢山含まれていて、必須アミノ酸の摂取必要量に対し、過不足なくぴったりに摂取することは不可能です。
 
私達ができることは、1種類の必須アミノ酸も不足することなく、しかし、できるだけフェニルアラニンなどの取りすぎる傾向のある必須アミノ酸は摂らないように、つまりすこしでも理想摂取量に近づけるように工夫することで、たんぱく質としての利用効率が上がると思います。
 
ロイシンはトウモロコシ、コーンフレークに多く、アーモンドやピスタチオなどのナッツ類もロイシン、バリンが豊富です。それらを組み合わせると、より少ない蛋白質摂取量で、必要な必須アミノ酸が摂れる可能性が高いです。
摂取した食べ物に含まれるたんぱく質が腸で分解され、必須アミノ酸となって身体に吸収され、それらが極力無駄なく人体を構成する蛋白質として利用され、老廃物が減れば、腎臓の負担は減る筈です。
 
また、必須アミノ酸の量を求める方法に2つがあり、
@一つは従来の方法で、食品名から食品100g中の蛋白質の量を調べ、その量から必須アミノ酸量を調べるというやり方です。この方法で殆どの食品の必須アミノ酸量が調べられます。
 
Aもう一つは更に厳密に計算するために、食品の中のたんぱく質を構成する窒素量から
必須アミノ酸の量を求める方法で、「アミノ酸組成によるたんぱく質量」と記されています。
 
 この方法は最近実用化したばかりで、一部の代表的な食品しか「アミノ酸組成によるたんぱく質量」は分かっていませんので、現状では、従来方法と新方法のミックスという形で計算していかなければなりません。新しいやり方「アミノ酸組成によるたんぱく質量」では、蛋白質中に窒素を持ちながら、必須アミノ酸ではないカフェインとか、幾つかの無効成分が除外され、より正確な計算が出来るとされています。
(アミノ酸スコアーの分かりやすい図解)https://www.americanmeat.jp/csm/bepo/shelf/volume/vol56/column1/
 
玄米などの雑穀は栄養価が高く健康な人には健康食となりますが、進行したCKD患者にはカリウム(K),リン(P)などが多い為、好ましくないかも知れません。(但し、欧米ではCKDであっても雑穀、シリアルは推奨されています)
 
*蛋白質だけを少し増やしたいとき(低蛋白米を食べて蛋白不足になったとき)・・・一番簡単な方法は乳製品ですが、「卵」をスクランブルにしたりして料理に混ぜることも簡単です。卵はアミノ酸スコアが100ですから、もっとも理想的な蛋白質の一つと考えられます。牛乳とかナッツなどの種子類なども、子牛や若芽を育てるのに必要な栄養素が全て入っているのですから、基本的に完全栄養食で、アミノ酸スコアーも殆どが100です。
 
*メディカルライス・・・日本酒用の精米機を利用して、蛋白量が多い、「米の表面部分」を削りとり蛋白質量を少し減らした米があります。メディカル米という名で売られてますが、ご飯そのものは餅米のような食感になり普通の米より美味しい高級米です。ただ、普通の米よりは低蛋白になっているはずですが、人体へ実際に吸収される蛋白質量がはっきりとは分からないので、メディカル米を使うときは24時間蓄尿をして尿中の尿素窒素から実際に身体が吸収した蛋白質量を計算する必要があると思います。
 
自動計算サイト・・下のサイトで実際の蛋白質摂取量が食事メニュの数値と一致するか確認できます。
*滋賀医科大学・・・http://www.shiga-jin.com/calculation/05.html
このサイトで出てくる数値は、標準的な体表面積(1.73u)に補正されていない実数値になります。 
 
*標準的な、体表面積1.73uに補正された結果を知りたい場合はこちらのサイトになります (東邦大学)  https://www.lab.toho-u.ac.jp/med/omori/neph/patient/inspection02.html
 
 5-2-3 カリウウム管理 
 
*重度のCKDの方がカリウム(K)を摂り過ぎると心不全などを発症する危険性があるとされていますし、少なすぎると筋力低下、脱力感などを招くとされています。テニス選手が試合中に「バナナ」や「ナツメヤシ」を食べているのをテレビで見かけますが、あれは筋力低下や、筋肉の痙攣予防のためのカリウム補給と言われています。
 
 *カリウムは野菜・果物、魚などに多いです。カリウムは食塩(NaCl)と同じく水に溶けやすいので野菜は繊維を断ち切る方向になるべく細く切り、表面積を大きくして水に2時間以上つけるとカリウムは20%程度溶け出ると言われています。2時間も待てないので、私は水の中で揉んでカリウムを追い出してます・・でも、ステージがG3A迄の人なら気にしなくて良いといわれています。
 
私はメニュでは、ぎりぎりの1900mg以下にしていますが、椎茸や大根、ジャガイモなどは最低2回煮こぼししてカリウムを追い出していますので、大体1500、mg以下に収まっています。血液検査でカリウム(K)にH(数値が高い)が付いたら主治医から何らかのアドバイスがある筈です。カリウムが1500mg以下と言っても、0でも良いかというとそういうことはないと思います。やはり野菜や果物から1日700〜1000mgはカリウムを摂るべきではないでしょうか・・・
 
(参考:カリウムの解説)https://www.adpkd.jp/yomoyama/vol05_02.html
 
           
 5-2-4 カロリー管理   
 
*「なるべく標準体重」(注1)になるよう、メニューのカロリー計算を正確にする必要があります。蛋白質を制限すると、普通のご飯は十分には食べられないのでカロリー不足になりやすいです。食費がかかりますが、市販の「低蛋白米」や、「低蛋白パン」を主食として食べるようにする必要があります。
 
*カロリーが不足したとき・・低蛋白ご飯や低蛋白パンの量を増やせばいいのですが、おかずが少ないと低蛋白ご飯やパンも食べにくいものです。不足分が100Kcal程度なら、カロリー補助食品が便利です。カロリー補助食品は、蛋白質やカリウムやリンなどの含有率が大変低く作られています。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
*カロリー補助食品としては・・
*粉飴(1g≒4Kcal )・・蛋白質0です、水に溶ける粉末で1g単位の微調整が効き使いやすいです。。
*ゼリー類(1個100〜160kcal)・・甘みがあり食べやすいです。
*ゆめせんべい(1袋100kcal)・・僅かに塩味が付いた高齢者でも食べやすい煎餅です。*たんぱく質調整ビスコ(1個41kcal)・・昔食べたことがあるようなビスケットです
*その他、大体お菓子的な物になりますが、品数は沢山あります。
 
*カロリーを精密に目標通りにしたいときは、粉飴で最後の微調整をするとぴったり合わせることが出来ます。粉飴は長期の常温保存が出来、粉末で無味無臭、料理にも加えられます。お茶や、冷水にもすぐ溶けるので使いやすいです。
 
(注1)標準体重とは、BMI=22の体重です。標準体重は統計的に、病気にかかりにくく、最も死亡率の低い体重、と学会が認めたものですが、美容的には受け入れられない人もいるかもしれません。 標準体重は、年齢に関係なく身長だけで決まります。高齢になってくると筋肉量が減ってきますので、標準体重を守ろうとすると、減った筋肉量分は脂肪でカバーしなければならなくなり腕や胸は痩せ細って腹だけが出た体型になりやすいです。私としては標準体重には高齢者は年齢も考慮されるべきと思っていますが・・。
 
*標準体重(kg)=(身長m)×(身長m) × 22
BMI値が18.5以上25未満を「普通体重」、18.5未満は「低体重」に分類されています。
 
*標準体重、美容体重などが計算できます。https://keisan.casio.jp/exec/system/1483589124
 
*(参考:腎臓病の食事療法)http://www.twmu.ac.jp/NEP/shokujiryouhou.html
 
 5-2-5 リン管理 
*腎機能のステージがG3になったら、主事医からリン(P)の管理を始めましょうと言われるかも知れません。大体制限は900mg以内です。私はヨーグルトが多いので、ぎりぎり900mg以下でメニューを作っています。魚を沢山食べることもリンが増えやすいので要注意です。リンは魚、肉、豆類など蛋白質の多い食品に多いのですが、食べる量という点では、乳製品が多くなりやすいので気をつけた方が良いと思います。
 
*リンの多い食品http://www.eiyoukeisan.com/calorie/nut_list/phosphorus.html
 
*リン(P)を制限しなければならない理由は下記のサイトに詳しく説明されていますが、要約すると、CKD患者はビタミンDの体内での働きが悪くなっているので、食事からカルシュウム(Ca)を吸収することが難しくなり、いくらCaを食べても血液中のCa濃度が下がってしまうと言われています。またリン(P)の尿中への排出も悪くなるために、血液中のP濃度が上昇し、血中のCaとP濃度を是正するために副甲状腺ホルモンの量が増加しますが、このホルモンは食事からではなく自分の骨からCaを抜き取り血中に移動させるため骨がもろくなってしまい、血中のCaとPの濃度が上がるため、石灰化(リン酸カルシュウム化)して血管壁に沈着すると言われています・・いわゆる、血管壁の石灰化です。ボロボロになるって事ですね・・これを防ぐためにリン(P)の制限が必要と言うことになるようです。
 
 5-2-6 脂質管理 
*動脈硬化の面から脂質は極力取らないようにしましょうと言う医師もいますし、全カロリーの20%程度を脂質で摂ると良い、さらに脂質の半分は動物性にしましょうと言う医師もいます。。どちらの医師にも共通している点は、肉の場合では脂身を除いた赤身肉が良いと言うことだと思います。脂質は1gで9kcalもあるので、カロリー確保のためにCKD患者用「冷凍おかず」などでは沢山使われています。しかし、もし利用するならば酸化度の低い良質なオリーブオイルなどを使いたいものです。
*動脈硬化に詳しいサイト(真島クリニックHP)
http://majimaclinic22.webmedipr.jp/kanzenyobou/column2/28.html
 
*飽和脂肪酸の解説(順天堂大学HP)https://www.juntendo.ac.jp/hospital/support/eiyo/patient/method/syokuji04.html
 
 5-2-7  糖質管理 
*カロリーになる栄養素は、蛋白質、脂質、そして糖質だけです。蛋白質を制限し、動脈硬化が案じられる脂質もほどほどにすると、カロリー源として残るは糖質しかありません。糖質の豊富な普通のご飯やパンは蛋白質も沢山あるので、低蛋白の特殊食品を使わざるを得ません。  これを利用すると、食費が30%増加するという試算がありますが、確かに1日3パック食べると、3パック×@200×365日=219,000円/年です。この他にも色々経費がかかる訳で大変です・・せめて消費税は無しにして欲しいところです・・
 
*腎臓と低蛋白食(広島大学HP):https://home.hiroshima-u.ac.jp/expertpt/teitanpakushokutte.html
 
 5-2-8  栄養管理  
*各栄養素・摂取量の決定方法・・基本的には腎臓専門医から数値の指定があります。私の場合は、標準体重は55kg、塩分7g以下、蛋白質44g以下、と昔医師から指定されましたが、自分としては栄養成分の目標値は、現在は塩分3.7g、蛋白質38g(アミノ酸組成による蛋白質量では33g)、カリウム1900mg、リン900mg、水分2500g(飲物1400g+食事1100g)にしています。(注1)
 
何g以下、といわれますと、真面目な患者は、少ないほど良いのではと思いがちです・・あまりに頑張りすぎて身体を壊す方もいます。 何々g以下、という表現は誤解を招きやすいと思います。やはり範囲を示して、何g以上、何g以下と、具体的に示して欲しいと思います。色々調べてみると、適当な範囲は、ステージに関係なく、標準体重55kg前後の人の場合、塩分3g以上6g未満(学会基準)、蛋白質は30g以上40g以下、という当たりが妥当かなと個人的には感じていますし、その範囲で自分でもメニュを作っています。
実際問題、塩分などは3.7gでメニューを作っても、つい塩煎餅に手が出てしまうとか、年に一度の親族の集まりでは、つい食べ過ぎてその日は8g位になってしまうことがあります。塩分制限をすると、兎に角しょっぱい物が美味しく感じられ、一番食べたい物は?と聞かれれば、迷わず「塩」と答えてしまいます^^
*参考(腎臓学会)慢性腎臓病・生活食事指導マニュアルhttps://www.jsn.or.jp/guideline/pdf/H25_Life_Diet_guidance_manual.pdf
(注1)私の目標は塩分、たんぱく質量は割と低い数値になっていますが、24時間蓄尿検査から得られた実際の摂取量は、大体においてメニュー上の数値より高くなっています。特に塩分に関しては、アルコールが入ったりすると理性のタガが緩んで、つい余計に食べがちです・・私としては特に塩分は少し低めの設定(但し3g以上)でメニュを作るのが良いと思ってます。塩分摂取は目標より増えてしまうことはあっても、少なくなることはまず無いと思うからです。
 また、たんぱく質は、2020年5月現在は必須アミノ酸の量でメニューを考えています。計算もアミノ酸組成による蛋白質量でしますので、必須アミノ酸での計算方法では32gになります。普通のたんぱく質計算に換算すると約15%増となりますので約36gになります。
(*参照 8-14 必須アミノ酸を取り入れた食事を始める
 
 5-2-9 栄養計算の誤差 
食品そのものにも天然の物である限り当然蛋白質などの含有量にはバラツキがあるでしょうし、調理法によっても色々な誤差が発生します。一般的な栄養管理では、少なく見ても±15%位はあるように思えます。実際に自分のメニュと現実の摂取量の違いは、24時間蓄尿検査で、ナトリウム、尿素窒素、カリウムなどを検査をしてもらえば、実際に自分の身体が吸収した塩分や蛋白質やカリウムの量などがはっきりと分かりますが、これとて、もし検査日の3日前に食べすぎた(特に塩分など)が腎臓からの排出が遅れて血液中に残るため、尿検査から計算された塩分摂取量が、検査日前日の食事で摂った塩分量ということにはなりません。なので、私は検査日前1週間は栄養成分のはっきりしない物は食べないようにしています。
24時間蓄尿検査から1日の塩分や蛋白質の概算摂取量を知ることは食生活のあり方を見直す意味で一定の価値があると思います。
 
精密さと、正確さ、は違います・・例えば、豚肉の量を量るのに、0.1g単位のハカリを使えば「精密」に重さが量れます。しかし量ったその肉の蛋白量が「正確に」分かったかどうかは別問題で、豚の部位を間違えていたら、どんなに精密に量っても意味がありません。例えば大型種・豚の場合、ロース赤肉は100gで蛋白質は22.7gですが、肩ロース赤肉は100gで19.7gとされていますので、両者は同じ大型種豚赤肉でも11%も蛋白量が違います・・いくら精密に量っても、部位が正確に分からなければ蛋白量が正確に分かったことにはならないのです・・野菜類でも同じようなことが言え、例えば原木椎茸は採取日の前日迄の天候により、含水率が大きく変わることでしょう・・含水率が変われば、単位重量当たりの蛋白質量も変わってしまいます・・
 私が0.1gを気にする時って、魚や肉など高蛋白で少量食べる食材とか、焼き海苔の様な軽くて高蛋白な物を量る時ですね・・野菜果物など成分誤差が大きく、低蛋白な食材を0.1gの精度で量ることはナンセンスな気がします・・。精密に量ろうとする前に、その計量が果たして正確と言えるのかどうかを考えたいものです・・
 
* (参考)腎臓学会・慢性腎臓病の栄養指導(一読の価値があります)https://www.jsn.or.jp/guideline/pdf/H25_Life_Diet_guidance_manual.pdf
 
 5-2-10 週末はご褒美食? 
食事制限を守ることは大変です・・刑務所ではないのですから、たまにはちょっとは美味しい物を食べたくなります・・
 最近はご褒美食という考えが広がってきました・・たまには息抜きをした方が長続きする・・週に1食位はちょっと禁断の食べ物を食べて・・、そして月に一食位は食べたかった普通食を食べて・・、でも、翌日からはまた厳格なメニュー通り・・という考え方です・・
海外の医学情報でも、普段食事制限が出来ている人は、ご褒美として週末には、食べたかった普通食を食べても良いし、それは腎機能にとって殆ど影響はない、むしろ長生きする、というデータがあるそうです。日本でも週に一度程度は、好きなものを食べる、ということが推奨されるようになったそうです。
 腎機能が弱るとご褒美食で摂りすぎた塩分(Na)の排出には1週間〜10日ほどの日数がかかるそうです。24時間蓄尿をしている人は、検査日前の1週間〜10日はご褒美食はお預けです(涙)
*(食事を美味しく食べる工夫)https://jinentai.com/ckd/livelihoods/28
*(ごほうび・腎臓病食https://jinentai.com/ckd/meal_menus
 
下図は私が糖質制限(蛋白質40g〜120g)を19ヶ月間実施したときの、たんぱく質摂取量と血清尿素窒素、血清Cr.の関係図です。
 
 
 
 
 
 
このデータから、蛋白質を沢山摂ると、尿素窒素は+94%の正相関で追従しますが、血清Cr.は、-0.35の逆相関!・・つまり、蛋白質をいくら沢山食べても血清クレアチニン値には全く影響しない・・むしろ、蛋白質が不足するとクレアチニン値は上昇する!という結果になりました。これはあくまで短期的と言う条件付きです。蛋白質120g/日を何十年も続けたらさすがにアウトでしょう・・・
 
 5-3  腎臓病用食品の買い方 
 これだけCKD患者が多い日本で、これほど需要がありながら、なぜスーパーや量販店に低蛋白食品が置かれないのでしょうか?(一説では、販売初期の段階で、利用者に説明が必要なので医薬品的な扱いとした為、一般小売店には置かなかったと聞いたことがあります・・) 低蛋白米などの特殊食品の専門店はネット上に沢山ありますが、1箱単位(20〜30個入り)でしか売っていないところが多く、低蛋白米に興味を持っても大量に買う、というのは躊躇する人もいると思います。もっと積極的にスーパーにバラ売りで置いてくれれば、試しに1つ使って食べてみよう・・という初期のCKD患者が出てくるのにと思います。
 
ネット上には沢山の販売店があります。どの店も価格は定価販売です。送料は一定以上(大体1万円以上)買うと無料になる店が多いようです。アマゾンなど送料が無料、という店は食品価格に送料が予め加算されている場合がありますので要注意です。それでも低蛋白ご飯を1つだけ試しに買いたい、と言う人はアマゾンなどでは「低蛋白ご飯」の単品販売があるようです・・但し送料が必要です。
 メーカーも直販をしているところがあります。直販は納期が短いという利点があり、キャンペーンや定期購入で安く買える事がありますが、他社の食品は扱っていません。一般の販売店の場合は、在庫の無い食品は取り寄せになるため時間がかかることがありますが、どのメーカーの食品も一度に買えるというメリットがあります。
 *ネットショップ店は、例えば「低蛋白米」で検索をかけると沢山出てきます。
*キッセイヘルスケア ネットショップ https://healthcare.kissei.co.jp/
*ネットショップ店の例  https://www.b-style-msc.com/
 
 5-4  冷凍おかず 
 以前、半年間ほど3社の冷凍おかずのお世話になったことがありますが、実に食事の準備が楽でした。そんな便利な物をやめてしまったのは、やはり何ヶ月も食べ続けると味に飽きが来たからです。すべての冷凍食品を試した訳では無いのですが・・・
 
 概して冷凍品は解凍、加熱すると、しんなりしますし、色も悪くなります。またカロリーを上げるために、油脂分をかなり沢山加えているのも気になりました。栄養成分は、例えば塩分などがメニュー毎に違う為、1日の摂取量を一定にするためには計算に時間がかかりますし、冷凍おかずは塩分が食品に浸み込んでいますので塩分量が結構多くて制限内に収めることが困難になることがありました。。
 
 冷凍おかずは解凍、加熱をすると塩分や油脂分を含んだ汁がかなり出て、最後にパックの底にかなり溜まります。汁には塩分や脂質がかなり含まれていますが、メーカーに「この汁も全部飲むべきか」を尋ねましたら、『そんなの誤差ですよ』と笑われてしまい、汁には塩分が多いのに、かなり適当なんだな・と感じてしまい・・それ以来自分で作る事にしました。
(現在は低蛋白ご飯のパックに1食分の食材を詰め冷凍しています。・・冷凍するので冷凍おかずと同じ、「しんなり」感は避けられないのですが、味付けは調理の最後にするため、塩分制限はしやすくなります。冷凍品を解凍した際に出る水分(ドリップ)にはカリウムが溶けでていると思いますので、捨てることでカリウムを減少させることができます・・(おかずの味は落ちてしまいますが・・・)
 
 5-5  栄養管理はエクセルで
 ノートに手計算で1日のメニューを考えてもいいですが、私は認知症予防も兼ねてエクセルを利用しています。入門者用の参考書が書店にありますので、パソコンをお持ちの方でエクセル(Microsoft office)がインストールされている方は是非使われると良いと思います。
 
学校給食や病院の食事などに利用できる栄養士用の「栄養計算ソフト」が売られていますが、1ヶ月のメニューを事前に決めるような大がかりな調理の場合には良いと思いますが、スーパーで旬の食材を探して作る、というようなアドリブ料理には使いにくいのではないかと思います。
 
 エクセルでメニューを作る場合には、最初のうちは食品の登録が大変と思われるでしょうが、まずは1日分朝昼晩3食の定番メニューを作り、それを食べながら、飽きが来たら、あたらしいメニューを考え、新しく使う食材をその都度登録していけば、段々に登録した食材が増えていき、便利になります。
 
 エクセルなら、設定次第で、食品の量を入力すれば各栄養成分が自動で出てくるようにも出来ますし、逆に、例えば希望するカロリーを入力すれば、何g食べたらいいかを自動で出すことも出来ます。合計なども自動で簡単に出せますので、エクセルに慣れるに従いメニュー作りは楽になります。エクセルは食事以外に血圧管理や血液検査結果の管理、又それらのデータから各要素間の相関(例えば塩分摂取量と血圧の関係や、蛋白質摂取量と血液検査の尿素窒素等の相関などを調べるのも食事制限を考える上で役に立つかも知れません。    
(参考:エクセルとは?)https://pasonyu.com/whats-excel/
 
 5-6  旅行に行く時の食事管理 
旅行が趣味という方も多いと思います。旅行中の食事は旅の楽しみでありますが、塩分や蛋白質を摂りすぎる恐れがあり好ましくない訳ですが、国内旅行ならば、少なくともホテルでの朝食と夕食は「低蛋白パックご飯」を持っていけば加熱してもらえます。海外旅行では、「低蛋白丸パン」を持っていけば、部屋の電気ポットの中に入れて加熱することは出来ます。
 
旅行中の食事も日本での外食時の注意と同じで、スープが出てきてもほんの味見程度、肉は30g程度(右上の写真なら、肉は1枚ですね・・)・・ビュッフェならば自分で選べますが、セットメニューの時は食べて良いのは肉や魚では出てきた料理の1/3ですね・・重さ的には30g程度までです^^ 野菜は全部食べても良いと思います。旅行の種類によっては歩く事が多いですが、カロリーはしっかり摂る必要があります。これはという美味しそうな物が出てきたら、覚悟を決めて食べるしかないですね・・その為に旅行に来たのですから・・
 
 朝食ではチーズやハムは塩分過剰になりますので1枚だけです。・・海外では水はミネラルウォーターか、ホテルの部屋で一度沸かした水が無難です。不衛生な国では水道の水が飲めないところもあります・・そう言う国では、水道水で洗ったカットフルーツなども食べない方が無難です。果物は皮をむいていない状態の物を部屋に持ち帰り、自分で皮をむいて食べるべきです。水は1日1.5L(ペットボトル3本)位しっかり飲んで脱水にならないように気をつけています。
 
 5-7  定番食の勧め 
 1日3食の定番食を1つ作っておくと便利です。その定番食は、1日に必要とする栄養素量を全て含んだ理想的な制限食メニューでなければなりません。そういうメニューがとりあえず1つでもあると便利です。買い物も定番食用にまとめ買いが出来ますし、1食分ずつ小分けにして冷凍しておくこともできます。
 
 定番食に使う食材は、冷凍できるもの、冷蔵庫でも比較的長く保存できる物がいいですね・・具体的には、肉魚は冷凍が出来ますし、野菜では、保存性の良いものは、玉葱、ジャガイモ、サツマイモ、人参、ピーマン、キャベツ、等々沢山あります。
 
果物は旬のものになりますが、リンゴ、梨、葡萄、みかん、キウイ・・などが定番に使いやすいと思います。特に「梨」はアミノ酸的には優秀な果物と思います。
 
*私の定番食 
左から朝食、昼食、夕食
   
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
(*)上記の料理と次ページの献立表とは大体同じ考えの食事ですが、完全には一致していません。上の食事は必須アミノ酸推奨量の120%で作っています。その後、少し栄養が足りない気がして、現在は次ページの推奨量の150%に増量してメニューを作っています。ただ、カロリーは1660kcalで同じですので、ボリューム的にはほとんど変わらないと思います。次回の血液検査で問題がなければこのままで行きますが、問題が出てきたら、また改善を試みると言うことになります・・・(後日談:血液検査の結果、BUN(尿素窒素)は良かったので、暫くは150%を続けます)
 
 
次ページの食事表はアミノ酸組成によるメニュです
 これが1日の標準定番食です。朝:昼:夜のカロリーは9:9:7にしています。これは朝昼でしっかり栄養を摂り、夕食は軽めにしたためです。
 
外食で食べ過ぎた場合は、翌朝の食事を加減します。例えば塩分を摂りすぎたときは醤油や、野菜サラダのドレッシングをやめて「りんご酢」にします。 
 蛋白質を摂りすぎたときは、朝の卵やヨーグルトをやめます。その結果カロリー不足になる時は、不足分の量により、低蛋白ご飯や低蛋白パンを増やすか、カロリー補助食品(粉飴等)で補い、帳尻を合わせます。
 
 どうしてもオーバーしてしまう場合には(付き合い上、年に何回かあります)翌日の昼、夜で清算します。こうした計算はエクセルを使わないと時間がかかります(それか無視することです^^)。
 
エクセルを使わない時は、色々な外食先で食べた場合の1日のメニューを外食先の数だけ作っておくと便利かと思います。外食先ではなるべく毎回同じ料理を注文すると計算が楽です。
 
私の場合は、前ページのメニュを見て頂けると分かりますが、昼食の下に「朝食+昼食」の合計値が出るようにしています。朝昼の合計を外食用メニュの一番上に持って来て、1日の必要量から引くと夕食(外食)で食べるべき栄養量が分かります。その範囲で外食と定番以外のメニュを必要なだけ作っておきます。定番メニュは旬の食材があるため、頻繁に変わりますが、定番の朝昼合計が自動で出てくるので、外食や定番以外のメニュ作りが楽になります。
 
外食が多い人は、栄養の合計を昼、夜、翌朝の3食で1日分とすると、外食があっても、翌日の朝食である程度調整が出来るので、記録表を作る時に数値を綺麗に揃えやすいです。
 
 CKD患者に必須アミノ酸を元にメニュ作りの指導をしている施設と言うのは、恐らく世界中探してもほとんどないと思います(あるとすればNASAでしょうか^^)。公表されている、病院のCKD患者用のメニュを見ても、これではかなり無駄な必須アミノ酸が出るだろうなあ・・と思うメニュが多いです・・。
 
 必須アミノ酸を取り入れたメニュなんて計算が大変で、やり過ぎ、と言われるとは思いますが、でもこの方法が最も腎臓の負担が少ない望ましい方法だと思います。事実、血清尿素窒素の数値は明らかに低くなります。CKD患者が出来る最も有効なこと事ではないかと思っています。国が必須アミノ酸ベースの易しい家庭用ソフトを作りさえすれば、多くの人が利用でき、透析者の減少に少しは貢献するのではないかと思います。
 上のメニューでは、推奨摂取量の150%のアミノ酸を摂っていますが、アミノ酸の桶からあふれ出る量(たんぱく質として利用できないアミノ酸量)は、総摂取量の10%台, 推奨摂取量の150%に対しては11%台に抑えています。またロイシン、リジン、バリンの3つは推奨量150%に対し過不足0になっています。(推定誤差は±15%)
 (追記。2020.7.18より推奨量の140%に変更しています。140%のメニュは82ページ当たりに載っています。)
 
栄養計算 ・・*「腎臓病の食品成分表・女子栄養大学出版部」がお勧めです。書店やアマゾンなどで買えます。栄養士さんが使う「食品交換表」というのは、素人には利用しにくい物ですので、単純な食品成分表を利用するのが分かりやすいと思います。100g当たりの栄養成分が載ってます。
 
*栄養成分をネットで調べる・・(カロリーSlism)・・・ https://calorie.slism.jp/
 
*「腎臓病の食品成分表」・・・書店に置いてあります。ネット上でも買えます。
 
*必須アミノ酸の量からメニューを決める場合は、
@.「日本食品成分表2019」から、その食品100gあたりの「アミノ酸組成によるたんぱく質」の量(g)を調べ・・
 
A.「日本食品標準成分表2015年版(七訂)アミノ酸成分表編」の「アミノ酸組成によるたんぱく質1g当たり」の必須アミノ酸の量に、@の重さを掛ければ、必須アミノ酸の量が求められます。
 
目的は、1日の摂取量の合計が「推奨必須アミノ酸量」(下記のサイト参照)「以上」になるように食べ物の量を決めることになります。「以上」というのは、個人個人の消化吸収率が不明なので、推奨量の何%増を摂取すべきかは現在の所、難しい問題です・・。摂取量というのは身体が摂取(吸収)する量であって、食べる量を意味するのではないと思います。
 
私の場合、推奨量の100%で歯周病に感染し、120%でも同じ事が起き、150%に増やしてやっと問題が無くなった感じです。150%にした時、アミノ酸組成による蛋白量では1日約33.6gとなり、0.6g/体重、通常のたんぱく質換算では1日38.6gになり、0.7g/kg体重となって、腎臓学会の基準内に入る事になりました。
 
 この事は一見普通のことのように思えますが、アミノ酸の桶から溢れ出る無駄なアミノ酸量は、摂取摂取量の10%なので、かなり少ないと思います。アミノ酸の計算をせずに適当に毎日、肉、魚を30g、卵を1個、納豆1皿食べる・・などと、単にたんぱく質量だけでメニュを作った場合、私の試算では約30%が桶から溢れ出る結果になっています。
 
 血清尿素窒素の値の変化を見れば、必須アミノ酸食の効果は明確だと思います・・・
ただ、この作業は現在の所、ソフトがないので、かなり時間がかかります。(1冊で簡単に調べられるようにすべきですが、今のところ古本(1991年発行の四訂)しか見つかりません。元々、「アミノ酸組成によるたんぱく質」の量から必須アミノ酸の量が計算できる食品は、ごく基本的な食材に限定されますので、従来の「食品100g当たりの必須アミノ酸の量」から計算をすることになるケースも出てきます。
 
 「アミノ酸組成によるたんぱく質量」と従来の「食品100g当たりの蛋白質量」は15%程度しか違いませんので、両者が入り交じっても、従来の「必須アミノ酸を考慮しないたんぱく質計算」と比べて、そう大きな誤差とは言えないと思います。
*推奨必須アミノ酸摂取量(Wikipedia)・・https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BF%85%E9%A0%88%E3%82%A2%E3%83%9F%E3%83%8E%E9%85%B8#推奨摂取量
*8−14−1にも記事があります
 
 
(日本食品成分表2019)
*アマゾンの場合・https://www.amazon.co.jp/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E9%A3%9F%E5%93%81%E6%88%90%E5%88%86%E8%A1%A82020-%E4%B8%83%E8%A8%82-%E6%A0%84%E9%A4%8A%E8%A8%88%E7%AE%97%E3%82%BD%E3%83%95%E3%83%88%E3%83%BB%E9%9B%BB%E5%AD%90%E7%89%88%E4%BB%98-%E5%8C%BB%E6%AD%AF%E8%96%AC%E5%87%BA%E7%89%88/dp/4263707508/ref=sr_1_12?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&dchild=1&keywords=%E8%85%8E%E8%87%93%E7%97%85%E3%81%AE%E9%A3%9F%E5%93%81%E6%88%90%E5%88%86%E8%A1%A8&qid=1593403974&sr=8-12
 (URLが変更されることがありますので、「日本食品成分表2019」でアマゾン検索をして、この画像の本を探してみてください。) 更に、必須アミノ酸量を調べるには、
「日本食品標準成分表2015年版(七訂)アミノ酸成分表 教育図書編」が必要です。
https://www.kyoiku-tosho.co.jp/b_data/correct/teisei_colorchart.pdf
リンクしないときは、上記URLをヤフーやグーグルのアドレス欄、または検索欄にコピペしてみてください。出てくると思います。
 
 
 
 
6 血圧測定 定期検査の工夫 
 6-1  家庭血圧の記録 
病院で血圧を測ると、測定場所まで歩いた直後の測定であったり,白衣高血圧で代表されるように、本来の平静時血圧とは言えない場合があります。降圧剤を必要以上に飲まなくて済むよう、医師に的確な判断をしてもらうためには、家庭で測った検査日前1ヶ月分の「早朝、就寝前血圧の表」を検査日に持参する必要があると思います。
 
その家庭血圧から降圧剤の量を加減することになるはずです。主治医がCKD保存期専門医ならば、1ヶ月の家庭血圧の記録を患者に義務付けると思いますが、一般家庭医ではそこまで要求しないかも知れません。その場合でも、自分で記録を付けて、医師に見てもらうことをお勧めします。
 
*早朝血圧測定の工夫・・一般に就寝中は血圧が少し下がるようですので、目覚めと共に血圧は平常時血圧よりも高く上昇し、その後ゆっくりと平常時血圧まで下がると言うパターンが一般的ではないでしょうか・・腎臓学会では早朝の血圧測定は「起床後、1時間以内に測定する、となっています・・具体的には「起床後、トイレを済まし、椅子に座って2,3分静かにした後になるべく上腕部において血圧を測定する、但し起床1時間以内に」です。
 
 ただ、冬は色々着込むので、上腕での測定のために着込んでいる上着やセーター、長袖シャツなどを捲り上げると、その作業のために血圧が上がりますし、腕も圧迫されることになり正しく計れないかも知れません。そういう状況では手首血圧計の方が良いかも知れません・・ただし、心臓と同じ高さで測ることを忘れないでください。心臓より低い位置に手首血圧計があると血圧は高く出ます。心臓より高く持ち上げると低く出ます。
 
 起床後に測る時間がばらつくと、測定結果もバラツキが大きくなる可能性がありますので、毎朝、例えば、起床30分後(腎臓学会指定の、起床1時間以内の中央値)に測るようにすれば比較的に安定した結果が得られると思います。
 
夜の血圧は朝と違い、例えば、見ていたテレビの内容によっては血圧が上がったりします・・また夫婦で難しい問題を議論しあったりしても、血圧が上がるかも知れません・・早朝と違い、夜は血圧を測る直前の行動や気持ちの高ぶりの影響を強く受けやすいので、気持ちが落ち着いてから測定することが大切だと思います・・
 テレビの影響で興奮冷めやらぬ時は、手首血圧計を巻いて、眠りにつきながら測るのも良いかもしれません・・(記録するのを忘れないように)
 
*(参考)血圧の話(国立循環器病研究センター)  http://www.ncvc.go.jp/cvdinfo/pamphlet/bp/pamph84.html
 
 6-2  検査日の迎え方   
血液検査のクレアチニン値(mg/ml)が検査の度に良くなったり悪くなったりして一喜一憂することがあります。これは血圧測定と似たところがあるように思えます。朝晩測る血圧も上がったり下がったりしますが、これは体調を表すとも言えるでしょうが、生活の状態を表しているとも言えると思います。ストレスがあったりすると血圧は上がります。
 
朝晩の血圧を安定なものにするには、気持ちが落ち着いている時間に、血圧計の前に座ってに3分間静かにして、ゆったりとした気持ちで血圧を測れば、本来の数値が出るはずです。つまり、毎回同じ条件で血圧を測れれば同じような数値が得られる可能性が高いと思います。
 同様に毎月の検査も毎回同じコンディションで迎えられれば、きっと予想した範囲内の数値が出てくるのではと思います。その為に私は次の2つのことを実行しています。
 
1.検査前は長時間の運動・労働を控える・・クレアチニンは筋肉を使った時に産出される老廃物ですから、検査日の2,3日前は長時間の激しい運動や労働は避けられるならば避けた方が、クレアチニン値も安定すると思います。
 
2.脱水に注意する・・血清クレアチニン測定は血液中のクレアチニン濃度(mg/dl)を測っています。 従って水分摂取不足で身体が脱水状態になっていたら、血液は濃縮され、クレアチニン濃度は通常より若干高くなるはずです。逆に十分水分を摂れば、脱水で減少した血液量も回復し、血清クレアチニン濃度も本来の濃度に下がるはずです。
 
脱水気味の時に飲む水は、ほんの少し(0.1〜0.2%)の塩分を加えた方が体に馴染むと言われています。 医療的に飲む経口捕水液がありますが、この塩分濃度は約0.3%です。血液は0.9%ですからかなり薄いです。逆に0.9%の塩水というのは、鼻うがいには良いですが、多量に飲むということは体が受け付けないでしょう。脱水気味の時は、塩分濃度0.2%・・・500ccペットボトルで1gの塩を入れて水を一杯加えれば、脱水防止にちょうど良い水が出来上がります。本格的な脱水の補給時は0.3%ですね・・
 
同様に、検査日当日、朝の尿量が少なく、身体が脱水気味だなという心配があるときは、早朝に水道水を入れた500ccのペットボトルに1gの塩を入れ、大きめのコップ一杯飲めば、脱水はある程度防げると思います。夏場の検査の時は効果(?)があるでしょう・・・
 
脱水は腎臓にとって良くない状態ですので、検査があってもなくてもCKDの人は脱水状態を作らないために、塩分摂取量と水分補給には十分気を配るべきでしょう・・
 
検査日の迎え方としては、毎回身体が同じ条件で検査を受けられるように、検査日前日の安静と水分補給に気をつけて脱水が起きないように注意をして翌日の検査に臨むべきと思っています。
 
 人が必要とする水分量は、体重1kg当たり50ccらしいです(これは口から飲む水の量ではありません。身体の中で合成される水分+食事に含まれる水分+飲物の合計です。下のサイトをご覧下さい)
*慢性腎臓病の水分管理(東京 大久保病院)・・・https://medipress.jp/doctor_columns/35
 
*脱水と腎機能に関する専門家の解説
 https://kango-oshigoto.jp/hatenurse/article/1491/
 
 
7 腎臓にとって良くないと言われること
(前述と説明内容が多少重複する記述があります)
 
 7-1  高血圧 
高血圧が腎臓を痛めるということは異論がないところでしょう・・高い血圧が腎臓の「糸球体」と呼ばれる毛糸の玉のような毛細血管の濾過器に過大な圧力が加わることで糸球体は損傷します。その結果、糸球体の数が徐々に死滅減少し、段々に血液の濾過量が減りますが、身体は血圧を上げることで生命維持に必要な濾過量を確保しようとします・・
 
血圧が上がった結果、糸球体は更に破壊される速度を速める・・と言う悪循環が出来上がり、濾過器である糸球体は次々と破壊され消滅していきます。糸球体数を減らさないためには血圧を正常血圧まで下げる必要があるということになります・・                                   
*例えば腎機能が約半分(CCr.50ml/min/1.73u)になった人は、約200万個もあった糸球体が約100万個しか機能していないということになります。仮に腎機能があと10年持つと仮定した場合、平均して1年に約10万個、1日に約274個、約3分に1個の速度で糸球体は死滅している・・という事になります。身体に残って働いてくれている半分の糸球体をいたわり大切にしたいものです・・
 
私は74才ですが、腎臓病が見つかった65才の時、血圧は150/100位ありました。現在は降圧剤(ARB+Ca拮抗剤 )と食事療法により目標値を125/75とし、115/70〜135/85内になるようCa拮抗剤の量をコントロールしています。 塩分を1日合計3〜4gに押さえています。その為にはできるだけ正確な食事の計算が必要です・・(食事については5.食事の工夫参照)
 
*ARB、Ca拮抗剤とは(東京女子医科大学): http://www.twmu.ac.jp/NEP/kouaturyouhou.html
 
             
 7-2  アミノ酸スコアーが低く、バランスの悪い蛋白質の摂取 
人体の蛋白質を構成している20種類のアミノ酸の中で、人の体内で生成する事が出来ず、食べ物から摂らなければならない9種類のアミノ酸を「必須アミノ酸」と言います。(他の11種類のアミノ酸は、糖質や脂質という蛋白質ではない物から体内で作る事が出来るそうです)体内で作れない「9種類の必須アミノ酸」の1日に摂るべき各々の最低摂取量が決められていて9種類全てをバランス良く取る必要があります。
 
 一種類でも規定量より少ない必須アミノ酸(例えば「リジンの不足」など)があると、他の必須アミノ酸も一番低い「リジン」のレベルしかたんぱく質として利用する事が出来ません・・体内でアミノ酸からたんぱく質の再合成をするには、9種類の必須アミノ酸がチームになって働く必要があるのですね・・チームが組めない、つまり利用できない必須アミノ酸は、糖質や脂質と同じようにカロリー(熱量)となって消費されますが、糖質や脂質と違って、アミノ酸には窒素(N)があるため、その燃えカス(老廃物)は最終的に尿素になりますが、それは腎臓から排出しなければならないため腎臓に負担を掛けてしまうことになる、ということです。
                         
 従って、尿素が生成されないように、必須アミノ酸は過不足無く必要量を摂るべきなのです。しかし現実的には、完全にぴったしという訳にはいきませんので、食物自体の栄養のバラツキや身体の消化吸収率の低下と言うことも考えられる為、かなり多めに摂った方が良いと思います。
 
 私は現在、WHO推奨量の150%を摂取しています・・というのは、最初、推奨量の100%を実行していましたが、歯周病などの感染症を発症したため、栄養不足と判断したことと、栄養学の本に中にあった蛋白質30gの低蛋白食のサンプル食の「アミノ酸組成による蛋白量」を調べて、1日のメニュをエクセルの表にしますと、必須アミノ酸9種類のうちの8種類は必須アミノ酸の量が推奨量のほぼ200%になっていたのです。ただ例外があってリジンだけは150%だったのです。このことから、今後は150%でやってみようと思い、実行しています。
 
必須アミノ酸は9種類のスコアが揃っていれば、体内で蛋白質に再合成されますが、アミノ酸スコアが100以上あっても、100を越えた部分が無駄になるとはいえません。筋肉にはならなくても、皮膚や爪や頭髪や、数々のホルモンになって体の補修に役立ってくれるでしょう・・勿論糸球体やその周囲の組織も蛋白質で出来ているのですから、それらの補修にも役立ってくれることでしょう・・
 
 糸球体は新しく作られ、その数が増えることはない・・というのが定説です・・しかし、糸球体の細胞も他の細胞と同じく再生されているはず・・と思いネット検索を掛けましたら、なんと、腎臓の細胞はその90%が1ヶ月以内に新しい細胞と入れ替わる、ということです!
 
 それならば、新しい細胞と入れ替わるため、新鮮で元気な蛋白質がたっぷり必要なのではないでしょうか・・極端な蛋白質制限をしていながら、過激な運動でもしたら・・筋肉の再生にばかりアミノ酸が使われ、腎臓で、入れ替わるべき新しい細胞がアミノ酸不足で作れない・・と言うことが起きないでしょうか?
 必須アミノ酸のバランスが非常にうまくとれていて、無駄になる必須アミノ酸は少なく、しかし、チームが組めて蛋白合成ができる必須アミノ酸は沢山摂取すべきなのではないでしょうか・・・これは今の私の大きな関心事です・・
 
*人体の細胞更新速度
https://sites.google.com/site/jinntainosaiboukousinnsokudo/ ・・(グーグルサイト)
人間の身体は毎日1兆個の細胞が新しく作られ、古い細胞と入れ替わっている・・・ということです!
 
しかし、一方で、「人間の細胞は数年ですべて入れ替わるはウソ?」と言うサイトがありました・・
https://logmi.jp/business/articles/162597 ・・(Logmi)
この中で、心臓の細胞などは再生速度が遅く、死ぬまでに半分位しか再生しない・・後の半分は生まれたときのままだ、と言うのです・・・・つまり再生しない細胞もあるんだ、と言う主張です・・さて糸球体はどうなのかと探しましたが、今のところ見つかりません・・・
 
 糸球体は分かりませんが、最初のサイトでは腎臓の細胞はその殆どが1ヶ月以内に入れ替わる・・と言うことですので、それを信じるならば、やはり必須アミノ酸はかなり多めに摂った方が良いのかも・・少なくとも、不足は絶対にダメでしょう・・
 
(参考)*慢性腎臓病の食事療法(東京女子医科大学): http://www.twmu.ac.jp/NEP/shokujiryouhou.html
 
 7-3  過労 
 椅子に座った状態から立ち上がると腎臓への血流は10%減少し、歩くと20%減少すると読んだことがあります。運動で筋肉を使うと筋肉への血流が増すでしょうから、それは何処か別の部分の血流が減ることを意味しますね・・その減らされる部分は、その運動にあまり必要のない部分・・真っ先に胃や腎臓の血流が減少するのでしょう・・
 
運動をしている最中は腎臓への血液量が減少するため、運動中は一時的な腎機能が落ちることになりますが、それが30分とか一時的なら運動後には腎機能は回復しますが、慢性的な疲労となると、腎臓は血液殻栄養が届かずやせ細ることでしょう・・。
 
*HMC慢性腎臓病教室(北海道医療センター)・・https://hokkaido-mc.hosp.go.jp/common/img/introduction/pamphlet4.pdf#search=%27CKD+%E9%81%8E%E5%8A%B4%27
                   
 7-4  暴飲暴食 
 食べ過ぎ、飲み過ぎを日常的に繰り返すと、胃や肝臓や心臓への血流を増加させる結果、腎臓への血流低下を招き腎機能を低下させ、徐々に腎臓を傷つけると言われています・・
*(参考)慢性腎臓病 治療法(NHK): https://www.nhk.or.jp/kenko/atc_361.html
          
 
 7-5  サプリメント 
 市販品の多くのサプリメントは体内で老廃物を生み、その処理の為に腎臓に負担がかかる可能性があります。腎臓病(ここでは腎硬化症)の進行を止めたり、腎臓を再生させる薬や治療法は今のところ存在しないようです・・ましてや腎臓病を改善するサプリメントなど存在するはずがないでしょう・・
 
 もしあれば、国が全国津々浦々の病院に対して、そのサプリメントを医薬品として使うように指導することでしょう・・治すどころか、サプリメントが原因で急性腎不全に陥る人は沢山います。サプリメントを常用している方は、その是非を主治医と相談されることをお勧めします。
 
*サプリメントに関して(沖縄県医師会) http://www.okinawa.med.or.jp/old201402/healthtalk/yuntaku/2010/data/20100928n.html
 
*ビタミンD 過剰摂取で腎不全(カナダ)・・https://www.carenet.com/news/general/hdn/47870
 
*怪しげな物品販売ご注意・・・
 効果的な治療法が無いままに透析間近となった、藁をも掴む思いのCKD患者の弱みにつけ込み、サクラに「飲んで数値が良くなった!騙されたつもりでやってみたら改善した!」と、ウソの感想分を書かせて、切羽詰まった患者に、「これで良くなるかもしれない・・、というか、これしか無いんだ」と期待させるような暗示的な方法で、何十万円もする高額な物品を買わせようとする業者が、いつの世にも必ずいます。
 
 業者自身は、薬事法に違反しますので、決して「これで病気が良くなる」とは言いませんが、巧妙な方法で、「きっとこれで良くなる・・」と期待を持たせます。くれぐれも、健康保険の利かない物品や薬物に騙されないように注意して下さい。本当に効果があるのならば、健康保険が適用されるはずですので、その物品やサプリメントが保険適用かどうかが、本物か偽物かの判断材料になります。
 
怪しげな物とは・・水晶などの宝石類、プラチナ等の貴金属、低周波等の電磁波器具、祈祷や、献金、或いは何かの煎じ薬とか、怪しげな鎮痛剤が入った液体などなど・・・CKD慢性腎臓病に効く薬や器具は無いものとお考え下さい・・もし全ての腎疾患の進行が停止できる(寛解)、或いは、良くなり完治する方法を発見したら、ノーベル賞を3つ位もらい医学の歴史に名が残ることでしょう・・。
 
7-6  食品添加物 
 人工的な食品添加物は腎臓を痛める可能性があります。過去の添加物の歴史をみても、サッカリンなど現在では使用禁止になっている物が沢山あります。 また添加物には「リン」などが含まれている場合があります・・一般論としては人工的な添加物は入っていないに越したことはないと思います・・ 
 
*食品添加物にご注意:
https://juntan.net/blog/2018/06/19/food-additives-are-enemies-of-patients-with-kidney-disease/
*まぐろの水銀濃度 https://wired.jp/2016/12/11/less-mercury-tuna/  
 
 7-7  抗菌剤、解熱鎮痛剤、造影剤 
 それらの殆どが腎代謝の為(腎臓から排出される為)、腎臓に大きな負担をかけると言われています。やむを得ない場合以外、安易な使用は避けたいものです。医師、歯科医師にかかる際は、自分がCKDであることをはっきり申告すべきです。抗菌剤の中でも、肝臓で処理される肝代謝の抗菌剤も何種類かありますので、医師は最適な抗菌剤を出してくれることでしょう。
 
*薬が引き起こす腎障害(NHK) https://www.nhk.or.jp/kenko/atc_575.html
 
*腎機能に応じた抗菌剤の投与量について(大分大学)・・(風邪でよく使われるクラビットは、20≦Ccr.≦50では初日1日1回500mg、翌日以降は1日1回250mg、またCcr.≦20では3日目からは1日250mgを2日に1回、とされています)・・・これはクラビットの腎臓からの排出が悪く、2錠目以降も同量服用すると血中濃度が上がりすぎるために、2錠目からは少し減らさなくてはならない、ということのようです・・  下記のサイトはckd患者用に薬の飲み方の一覧表です。      
http://www.med.oita-u.ac.jp/yakub/di/qa/243_jinkinounioujitakoukinyaku.pdf#search=%27%E8%82%9D%E4%BB%A3%E8%AC%9D+%E6%8A%97%E8%8F%8C%E8%96%AC%27
 
 7-8  睡眠不足 
 寝不足は万病にとって良くないですね。1日7〜8時間の睡眠をとり、規則正しい生活をすることが大切なことは万人が知っている事でしょう・・とは言っても常に良い睡眠をとるということは簡単ではないです・・運動量の少ない高齢者の場合にはデパスのような軽い睡眠導入剤も必要かも知れません。睡眠導入剤は主治医に相談されると良いと思います。。
 
*透析回避の鍵は睡眠(糖尿病ネットワーク・阪大の研究より) 
https://dm-net.co.jp/calendar/2019/028832.php
  
 7-9  ストレス 
 ストレスをため込むと活力が落ち、血流も悪くなると言われています・・ストレスの原因は分かっていても取り除くことが出来ない環境の人もいます・・
 私などは、CKDであることそのものがストレスになっています。
なにか気分転換が必要なことは分かっていますので、私はウォーキングと卓球をしています。
 
*ストレスは腎臓に悪い:https://dot.asahi.com/dot/2019042200005.html?page=1
 
*CKDと生活習慣(腎臓学会)https://www.jsn.or.jp/ckd/pdf/CKD03.pdf#search=%27CKD+%E9%81%8B%E5%8B%95%E5%BC%B7%E5%BA%A6%27
 
*腎機能が低下しているときの日常生活 https://www.adpkd.jp/yomoyama/vol07_03.html
    
 7-10  肥満  
 肥満は糖尿病、高血圧、高脂血症の危険因子です。腎臓にも良くありませんが、血管内に蓄積されたプラークにより、血管が破れれば脳溢血、詰まれば脳梗塞、心筋梗塞の原因にもなります。CKDの塩分、蛋白、カロリー制限を守れれば殆どの肥満は解消されるはずです。守れなければ肥満だけでなく、その先には糖尿や透析が待ち構えているかも知れません。
 
*肥満/メタボリックシンドローム(日本腎臓学会) https://www.jsn.or.jp/ckd/pdf/CKD15.pdf#search=%27%EF%BC%A3%EF%BC%AB%EF%BC%A4+%E8%82%A5%E6%BA%80%27
 
 7-11  飽和脂肪酸 
 常温で固形の油(肉の脂身、ラードなどの飽和脂肪酸)は血管内に過剰に入り込むとプラークが貯まる原因になる、と言われてますので、糸球体にも同じようにプラークが発生し、血流の妨害となり→腎機能低下(プラークにより身体全体の血流が悪くなると、重要な心臓や脳への血流が優先され、腎臓への血流が減る・・)。油ぽい食べ物(特に固形の油脂)は食べ過ぎないようにすべきでしょう。
*詳しくは・・専門医の真島消化器クリニック HP:http://majimaclinic22.webmedipr.jp/kanzenyobou/column2/28.html
 
 7-12  タバコ 
 毛細血管の萎縮→腎臓の血流低下→腎臓の毛細血管の死滅→腎機能の低下・・WHOによると、タバコは薬物に指定されているそうです。
 
*タバコは薬物である(日本禁煙学会)http://www.jstc.or.jp/uploads/uploads/files/information/2018625t.pdf#search=%27WHO+%E3%82%BF%E3%83%90%E3%82%B3%E3%81%AF%E8%96%AC%E7%89%A9%27
 
*CKDの進行を防ぐポイント(朝日新聞社):http://www.asahi.com/ad/ckd2018t/index04.html
 
 7-13  糖尿病 
 腎臓病患者で透析になる率が最も高いのは糖尿病の持病がある方と言われています。血糖値コントロールが不十分で、血糖値が高い状態が長く続くと腎臓の毛細血管が痛み、腎機能が低下する恐れがある、ということなのでしょう・・糖尿病の方は腎機能検査も定期的に受けておられることと思いますが、病院で毎月尿検査をされていない方は、ご自分で毎月1回、自宅で蛋白試験紙による尿検査をされると良いと思います。プラス1になったら腎臓(保存期)専門医の門を叩くべきと思います・・
*糖尿病性腎症(全腎協)  
https://www.zjk.or.jp/kidney-disease/about/class/diabetic-nephropathy/
 
 
 8  私が実行したこと 
(前述と重複する記述があります)
今までに私が工夫したり、実行したことです。
 
8-1 CCr.とGFR.の勉強, Ccrを自分で調べる
 
8-1-1 クレアチニン・クリアランス(Ccr.)を自分で計算する。
 
「クレアチニン:Cr」は筋肉を使った際に副産物として筋肉から産出される物質ですが、スポーツをした時だけ出るものではないですね・・生存に必要な心臓や肺などにも筋肉はあるわけですから、生きている限り静かに寝ていても毎日一定量のクレアチニンは産出されているということになります)
 
*クリアランスとは、一掃するという意味です。 クリアランスセールというのがありますが、在庫一掃セールという意味ですね。有害物質クレアチニンは腎臓からしか廃棄されないため、腎臓の廃棄効率(尿中に排出されるCrの平均濃度に対する血液中のCr.濃度 「尿Cr./血清Cr.」)を比較する事で腎機能の評価をします。もし両者の関係に変化がなければ、腎機能は安定していると言えるでしょう・・もし前回より数値が小さくなれば(血清Cr.に対して、尿Cr.が減少していれば)腎機能が低下したと言うことになります。
 
 血液中のCr.値は運動量(筋肉酷使度)の影響を受けますが、クレアチニン・クリアランス「Ccr.」は尿中のCr.値と血液中のCr.値の比較なので、運動量が増減しても、排出量も同じように増減していれば、CCr.は殆ど影響を受けない、と言え、血清Cr.よりも信頼性のある検査法と言えるのだと思います。
 
*クレアチニンクリアランスCcr.は・・・
(尿中のCr.値÷血清Cr.値)×毎分の平均尿量=Ccr.(単位はmL/min)・・
この計算から出てくる数値は、ほぼ、1分間に糸球体で濾過する血液量とされています。 これに(1.73÷自分の体表面積u)を掛けると、
 
(尿中のCr.値÷血清Cr.値)×毎分の平均尿量×(1.73÷自分の体表面積u)
=1.73uに体補正後のCcr.値、とされています。その場合の単位はmL/min/1.73uとなります。
(Ccr.についてはこの項の後半に詳しく書いています。)
 
*上記の式で、「毎分の平均尿量」を求めるには、
1日(24時間)の総尿量÷(24時間×60分)=平均毎分尿量 (mL/min) となります。
 
*24時間の総尿量は、24時間の尿をすべて容器に貯めますが、これが「24時間蓄尿」といわれるものです。
 
 8-1-2 ・ 24時間蓄尿をする 
 主治医に、クレアチニン・クリアランスを調べたいので、次回の尿検査の時に24時間蓄尿したサンプル尿を持って来ますので、尿のクレアチニン量を調べていただけませんか?」とお願いしてみます。
 主治医の協力が得られないと無理ですが、自分にCcr.検査の知識が有り、自分で計算できる事をアピールする必要があります(計算はネット上の計算サイトでも自動計算をしてくれます)。信頼関係が築けている主治医なら協力していただけることでしょう・・但し24時間保存した尿に大腸菌などの雑菌(桿菌)が混入、増殖させないという条件で・・。
 
*Ccr.自動計算サイト(東邦大学):https://www.lab.toho-u.ac.jp/med/omori/neph/patient/inspection02.html
 
 やり方は、病院では採血の後に紙コップを渡され、普通は、早朝尿の蛋白含有量を調べると共に、尿に含まれている細菌や種々の(癌)細胞などを調べる「随時尿の尿化学検査」というのをしますが、その紙コップに、自宅から持って来た24時間蓄尿の一部(検査には10cc程で良いらしいですが、私は70cc程度を持って行きます)を病院の紙カップに移してトイレの小窓に置くだけです。
後は出てきた検査結果からCcr.を自分で手計算、或いはネット上で自動計算します。
 
 準備として必要な物は下記の通りですが、蓄尿は色々な理由で雑菌が入りやすく、特に夏場には雑菌が増殖し、顕微鏡下では無数の雑菌となって現れ、3+と記入されます。あんまり雑菌が多いと検査室から異常有り、という連絡が主治医に入り、膀胱炎や腎盂腎炎を疑われてしまいます。主治医に迷惑がかからぬよう、雑菌が増殖しないように蓄尿中は10度以下の冷却が必要です。
 
(参考)・・雑菌(尿検査表では桿菌:かんきん:主として大腸菌)の繁殖力はすさまじく、水分と栄養分と人の体温程度の環境があれば、20分ごとに2倍に増殖するそうです・・・40分で4倍、60分で8倍・・このまま増殖すると1個の大腸菌が24時間で1000匹×100億匹に増えます。これはコップ1杯分の大腸菌とのことです。 
 あくまで計算上ですが・・このまま増殖すると、2日目には山のような大きさに増え、3日目には太陽系の木星の大きさになるとか!・・とにかく、雑菌の指数関数的な繁殖を防止するには、摂氏10度以下の温度で保存しなければなりません。雑菌の増殖恐るべしです・・(しかし、何のために何故雑菌は存在するのでしょう・・)
 
*細菌の増殖(新潟薬科大学):http://www2.nupals.ac.jp/~fmfsc/Topics/xi_junno_zeng_zhi.html
 
 この大腸菌の爆発的増殖(パンデミック)を防ぐ方法には冷却する必要がありますが、狭いトイレ内に冷却器を置くには、魚釣りや行楽に持って行く発泡スチロール製の小型のクーラーボックスが手軽だと思います。クーラーボックス中に保冷剤を5,6枚入れれば夏でも、室内ならおよそ10度以下に冷却できます。
 
 8-1-3 ・ 24時間蓄尿に必要な用具 
*蓄尿は、「ある時刻から、翌日の同時刻までの、1日24時間に出た尿を全部貯めてその容量をはかり、その一部の尿を病院に提出して、尿中のCr量を.検査をしてもらう」と言う簡単なことなのですが、蓄尿時間と蓄尿量の正確な測定と、雑菌対策がポイントです。
 
 24時間蓄尿検査を実施している病院では、単に、尿を大きな容器に貯めて、24時間後に溜まった尿の容量を量り、その一部を小さな容器に入れて提出する、という簡単な作業なので、特に気温の高い夏季には雑菌が大量に増殖してしまいますが、蓄尿と言うことが分かっているため、それらの雑菌の存在は無視されるのだと思います。
 
 しかし、蓄尿検査をしていない、一般のクリニックで24時間蓄尿検査をしてもらう場合、もの凄い量の大腸菌が検出された場合、尿路感染症を疑われてしまいますので、個人で自己責任で24時間蓄尿検査をする場合には、それらの誤診を防止する為に、雑菌を極力排除することと、そして蓄尿中に雑菌を増殖させないために、10度以下での冷却保存が必要になります。通常の病院での採尿は、採尿後20分以内には検査するでしょうから、大腸菌が1匹いても、2匹にしかなりませんね・・でも、24時間放っておくと、最初のたった1匹が10兆匹に増殖するらしいので・・まあ、栄養源の尿蛋白がいっぱいあることが条件ですが^^;
 
 その為に私は、以下のような道具を使っています。
(要は、正確に24時間に腎臓から膀胱に落ちた尿をすべて採尿し、その一部を病院に提出する、と言うことだけなのですが、雑菌を増殖させない、時間と計量を正確に・・と言うことのために、この後の説明では「かなりくどい説明」になってしまっています・・)
 
 
 
 
 
 
 
蓄尿に必要な用具
 
@「出始め尿カップ(200cc程度)」・・出始めの尿には尿道周辺の雑菌が混入するため、このカップで毎回、出始めの尿を少し(10cc程度)取って、
 
Aの「出始め尿保存カップ200cc以上」に貯めておきます。
この尿は最後に重量をはかる為に貯めておきますが、提出はしませんので冷却は不要です。
 
B「提出尿採取カップ(500cc程度)」・・出始め尿を採った後に、提出尿をこのカップ採尿して、
 
C「提出尿保存カップ(提出する尿を溜める2.5L程度のカップ」に貯めます。
 
D極薄食品用ポリ袋・・雑菌対策として、上記(C)2.5Lの提出尿保存カップの中に入れて尿を貯める「ポリ袋」です。少し大きめの物にして、カップの外側に折り返せる位の大きさが使いやすいです。
 
(2.5Lカップの場合、ポリ袋は、幅260×長380mm前後、商品名としては「フクレックスNo.13」などがネット上にあります。楽天市場では200枚入りがあるようです)。
 
雑菌対策上、ポリ袋は食品用ポリ袋の新品である必要があります。・・なお適当なサイズのポリ袋が手に入らないときは、ポリ袋無しでやることになりますが、その場合は蓄尿を始める朝に提出尿保存用2.5Lカップを石鹸とスポンジで良く洗浄して、流水で石鹸分を洗い流しますが、内側は拭かずに風呂場などで伏せておきます。(拭くと布の雑菌が付着するため・・又多少濡れていてもOKです。
 
E3kgの秤(キッチンスケール)・・蓄尿の容量(L)ではなく重さ(g)を秤ります。
 
F100mL程度の清潔なポリボトル「提出用尿を入れます」・・滅菌ボトルが最適ですが、手に入らないときは、普通のポリエチレンボトル(100cc程度)を洗剤で良く洗ってください。広口瓶の時は台所用洗剤で良く洗えば再利用できると思います。口が狭くて洗浄が難しい場合は、薄めた台所用漂白剤(ハイター)で殺菌するか、耐熱性ボトルならば煮沸すれば再利用できると思います。
 
 なお一度使ったボトルは、洗浄後ポリ袋に入れて冷蔵庫で保管するか、常温保管ならば、使用後に洗浄乾燥させ、使用前日に再度洗浄します。食器と同じレベルの洗浄をすれば、問題無いと思います。(私も洗浄して再利用しています)
 
 
Gクーラーボックス・・・釣り用、行楽用のクーラーです。(私のは15L用です)
 
H保冷剤(5,6個)・・クーラーの中を10度以下に下げる必要があります
 
I温度計
 
(注意事項1) 繰り返しになりますが、全てのカップは事前に重さを量り、カップの側面に油性イン
クで書いておくと便利です。
 
(注意事項2) B提出尿採取カップ(500cc)と、C提出尿保存用2.5Lは蓄尿開始前に良く洗浄しておく必要があります(C2.5LカップにDの極薄ポリ袋を使うときはC2.5L カップの厳密な洗浄は不要で・・軽い洗浄はクーラー内の清潔度を保つために必要です)
 
(注意事項3)・・大便時の提出尿採取用に、もう一つ小さめのカップがいるかも知れません。提出尿を採尿するカップはすべて良く洗浄しておく必要があります。
 
(注意事項4)・・蓄尿終了後は、全ての用具は洗浄し、風呂場などで1晩乾燥させてから、クーラーボックスの中に入れて、次回まで保管します。 次回使用当日にもう一度洗浄します。
 
(注意事項5)・・提出用尿を保存するカップが2.5Lでは小さすぎる場合は、カップを大きくするか、カップを追加します。クーラーのサイズにあったカップが必要です。
 
 (注意事項6)・・出始め尿を沢山採ってしまわないように気をつけて下さい。尿道の長さに溜まる量で十分です。あまり沢山採るとCcr.の計算上誤差が大きくなってしまいます。
 
 8-1-4 ・ 採尿手順    
 前項と同じような内容になりますが、確認と思ってみて下さい・・
*採尿開始前日(採血日の2日前)の準備・・・夕方、冷却剤を冷凍庫に入れておきます。数はクーラーボックスの中を10度以下にするのに必要な数となりますが、夏場は5個位必要と思います(朝3個クーラーに入れ、夕方2個追加)。トイレ内が10度以下に下がっている季節は冷却剤は不要です。。
 
*診察日の前日に蓄尿を開始します(24時間の尿がきっちり採取できれば、何時から始めても良いわけです。 提出する尿は冷蔵庫に保管すれば1,2日は問題無いと思いますが、新鮮な尿である方が良いことは確かでしょう)
 
 
採尿手順1
 診察日の前日の朝(例えば6時00分)、現在膀胱に溜まっている尿は必要ありませんので、便器内に排尿をし、完全に尿を出し切り、24時間蓄尿のスタートとなります。
 
 このあと、翌日の同時刻・例えば翌日6時00分)までの24時間に出た尿をクーラーボックス内の「提出尿カップ」に貯めますが、雑菌の多い「出始め尿」は「出始め尿保存カップ」に保存します。出始め尿は単に尿量を調べる為のものですので、冷やす必要はないですし、汚染の心配もあるのでクーラー内には入れないようにします。
 
 
*最初の採尿までに、次のことをしておきます。
 
*準備1・「提出尿採尿カップ・下図B」を石鹸と綺麗なスポンジで洗浄しておきます
 
*準備2・「提出用2.5Lカップ下図C」の中にポリ袋を入れ、クーラーボックスに入ます。ポリ袋を使わない時は、石鹸で良く洗っておきます。
 
*準備3・・冷却剤を3枚程冷凍庫から出し、クーラーボックスに入れておきます
 
 
 
 
 
 
 
 手順2  
尿意をもよおしたら蓄尿を始めますが、まず雑菌の多い出始めの尿を10cc程度「@出始め尿・採取カップ」に採り、
 
「A出始め尿・保存カップ」に移し室温保存します。
 
*そのあとの尿は提出用の尿となりますので、
 
B500ccの提出尿(採尿)カップで一旦受けてから、クーラーボックスGの中の
 
C2.5Lカップのポリ袋の中に移します。この作業を24時間(翌朝の同時刻まで)くり返します。 なお、大便時の尿も忘れず採尿して下さい。大便時に採尿することは、採尿の難易度も高くなりますし、雑菌も混入しやすいので、出始め尿と見なして少量ならばA出始め尿保存カップに保存しても良いと思います。尿の総量(重量)を知る必要があるため捨てないでください。
 
 手順3  
蓄尿終了・・翌日(診察日)の6時00分(前日蓄尿を開始した時刻)には尿意が無くても排尿を試み、完全に出しきってください。
これで1日24時間の蓄尿が終わった事になります。
 
 手順4 
尿の総重量の計量と記録・・・「提出尿が入った2.5LカップC」と「出始め尿カップA」の重量を量り、その合計から2つのカップの風袋(カップ側面に書いた重さ)を差し引くと尿の総重量が出ます。忘れないようにメモを取ります。前回の尿検査で尿の比重が分かっている方は、尿重量(g)÷比重=尿の容量(cc)となります。
比重が分からない場合は、1回目は重さ(g)で良いと思います。
 
 手順5 
提出用尿の均一化・・まず尿の濃度を均一化することが必要です・・2.5Lカップのポリ袋の口を手で締め、良く揺すって尿濃度を均一にします。ポリ袋を使わない場合には、新品の袋入り割り箸などで尿を攪拌します。使用した箸などは捨てますが、ガラス棒やステンレス棒の場合は洗浄して繰り返し使えます。
(注意:この均一化が不十分だと尿中クレアチニン濃度も安定しないため、Ccr.の計算の信頼性が得られません)
 
 手順6 
提出用ポリ瓶に移す・・均一化した2.5Lカップの尿から50cc程度を、滅菌された容器(滅菌ボトル、又は石鹸で良く洗ったプラスチックボトル等)に移して病院へ持って行きます。すぐ持って行かないときは、冷蔵庫に保管をしてください。1日2日は問題無いようです・・
 
 手順7 
採血後に渡された尿検査の紙コップを持ってトイレ(個室)に行き、持って来た尿を紙コップに移して、トイレ内の検査窓口に置きます。これでやるべき事は終了です。
 
 手順8 
Ccr.の計算・・医師から採尿・採血の結果の表を受け取ったら、下記の計算式でクレアチニン・クリアランス値が計算できます。
(一般に、家庭での24時間蓄尿は、大便時の尿採取を怠ったりする人がいるので、病院では信用してくれないと思いますが、きちんと自分が蓄尿したのならば「検査結果は正しい」と自分としては信じることが出来ると思います)
 
 8-1-5・クレアチニン・クリアランス・Ccrの計算 
 
 Ccr=(尿Cr.値÷血清Cr.値)×(毎分尿量mL)×(1.73u÷自分の体表面積u) 
 
*{毎分尿量×1.73÷自分の体表面積}の計算は事前にしておきます(下の計算式です)。
 
*毎分尿量(1分間の平均尿量)=24時間蓄尿の総量÷24時間÷60分
 つまり=24時間蓄尿の総量÷1440 になります。
 尿量の単位はmL(cc)ですが、尿比重は尿量が1500cc前後以上ある人でしたら殆ど1.00ですので、
 1mL=1gで計算してOKです。
(厳密に計算するには、尿量(mL)=尿の重量(g)÷尿比重となります)
 
*自分の体表面積はネット上で自動計算してくれます。
 
*体表面積・・https://keisan.casio.jp/exec/system/1161228735
 
3種類の値が出ますが、3種類の値の中央値になるDu Bois式で計算します。
 
*尿Cr.値は尿検査表に書かれています。  
 (例えば 38.2mg/dl) 
 
*血清Cr.値も血液検査表に書かれています。
(例えば 1.36mg/dl)
 
*毎分尿量と体表面積補正値は事前に計算できますので、提出用の尿の準備が終わったら毎分尿量を
 
計算しておきます。{(毎分尿量)×(1.73u÷自分の体表面積u)}・・(A)
 
(A)の値をあらかじめ準備しておけば、検査結果表の尿Cr.と血清Cr.値 から
 
 尿Cr.値÷血清Cr.値)×(A)=Ccr.
(クレアチニンクリアランス)となります。
  単位は・・mL/min/1.73uとなります。
 
 この値は1.73uに体補正後のCcr.です。つまり、自分の身体が、標準的体格(体表面積が1.73u)だと仮定した場合のCcrです。実際のCcr.は、もし小柄な人でしたら少し小さくなります・・例えば体表面積が標準より10%小さければ、実際のCcr.値も10%小さいと言うことです。(この実際のCcr.値は薬や点滴の量を決めるときに使われます。)
 
  Ccr.=(尿Cr.÷血清Cr.)×(A)
  3つの数字の計算ですからスマホの計算器で10秒で出来ますね・・
 
 8-1-6 ・ CCr.の説明 
クレアチニンクリアランスCcr.=(尿Cr.値÷血清Cr.値)×(1分間の尿量)  単位はmL/min
この計算では、体面積(1.73u)がありませんので、その人(被験者)の血清中のクレアチニンのクリアランス(腎臓が身体の老廃物を排泄する能力)です。
 
この計算だと、小柄な人は尿量が少ないでしょうから、Ccr値も小さくなり、大柄な人は大きくなります。それは自然なことではあるのですが、体格によってCcr.の評価値が大きく変わるというのは、腎機能を比較評価しようとした場合には具合が悪いです。体格によるCcr.の評価の変動を無くすために、通常Ccr.値は体格補正をします。
 
 標準的な体格の人の体表面積(標準体表面積)を1.73uとし、被験者が標準体表面積1.73uであると仮定(補正)した場合のCcr.値をもってCKDの進行程度を判断します。こうすることでCcr.を評価する上で、個々の体格による差の問題を回避しています。みんな同じ体格と仮定した場合のCcr.値です。
 
 従って実際のCcr.値に(標準体表面積1.73u÷自分の体表面積)を掛けたものが(体)補正後のCcr.値となります。その場合にはCcr.の単位はml/min/1.73uとなります。
 
1.73uと書かれている場合は体表面積1.73uに「補正した値」ということを意味します。
 
(1.73u)という表示が無いCcr.値はその人の実際の糸球体濾過量ですから、その値から点滴や麻酔の量などが決められるということですが・・
 
 体表面積補正をしないと小柄な人はCcr.値が小さく出ますので、何かCcr.値が悪いような気がしますね・・1.73uに体補正すると小柄な人ほど数値が良くなります^^)。 
体補正したCcr.=(尿Cr.値÷血清Cr.値)×(1分間の尿量)×1.73/自分の体表面積
                            単位は ml/min/1.73u
                           (1分間の糸球体濾過量)
 
余談ですが
腎機能評価によく使われるeGFR(推算・糸球体濾過量)の計算には身長や体重が不要です。性別、年齢、Cr.値だけで推算します。体格も必要なはずですが、体格の方は平均的な体格と仮定して、つまり標準体表面積の1.73u(例えば身長167cm、体重65kgの人)と仮定して糸球体濾過量を統計的に推定しています。
 
 ですから年齢が30才体重が50kgの方で血清Cr.1.2mg/dl の方のeGFRは59.9ml/min/1.73uでステージはG3a、(Cockroft-Gault式の)Ccr.は63.7ml/minとなりますが、
 
年齢、Cr.が同じで体重が倍の100kgの人もeGFRは同じ59.9ml/min/1.73uでステージも同じG3aですが、同Ccr.は倍の127.3になります。
 
 つまり、二人の人の腎機能を比べるとき、実際の糸球体濾過量が大きく違っていても、年齢と血清Cr.が一緒だったらステージは同じで、抱える問題の程度は同じだと言うことになります・・
 
また、体表面積は体重よりも身長の方が影響が大きくなります。
 例えば身長160cm、体重50kgの人の身長が仮に10%伸びたとした場合、体表面積は7.2%大きくなりますが、体重の方が10%増えても体表面積は0.77%しか増えません。これは単にお腹が出ただけですので面積的増加は僅かですね^^
 
 つまり、自分の体表面積は一度前述のネット上で計算しておけば、「1.73u/自分の体表面積(u)」の補正値は、身長が縮まない限りかなり長いこと使えると言うことになります。
 
 8-1-7 ・ GFR.とは  
(Glomerular Filtration Rate)糸球体濾過量・・・腎臓の糸球体と言う濾過器を血液が通過する間に、血液中から尿(原尿)が濾し出される量のことです。毎分何mL(cc)濾し出すかという濾過能力で、腎機能の状態を表すために用います。単位はml/min/1.73u。 Ccr.とほとんど同じですね・・
 
 健康で、平均的な体格(体表面積が1.73u)の人は、血液中から1日に約144リットルもの尿の元(原尿)を腎臓内の糸球体から濾し出すと言われていますので、eGFRに換算すると、144L÷(24時間×60分)=0.1L=100mL/min・・うまい具合に平均的体格の健常者のeGFRは切りの良い100ml/min(毎分100cc)になりました!
 
 ただ、この数値はあくまでも体表面積が1.73uある人の場合であって、小柄な人の実際のGFRはもう少し少なくなります。 eGFRml/min/1.73u値に(個人の体表面積/1.73u)を掛けると実際の糸球体濾過量が得られます。 
 1.73uという体表面積を持つ人を基準にして、「もしあなたの身体の体表面積が標準体型の1.73uあったら、と仮定してGFRを比較することは体格に関係なくCKDの悪化状況を判断出来る為、便利ではありますが、推定(estimate)のeが付いているように、統計上の計算の基づいた数値ですので、絶対的な数値とは言えません。大体これくらい・・と言うところでしょうか・・そうであっても、血清Cr.値から簡単に推算できるので、重要な情報を持つ数値だと思います。
 
 勿論、推定のeGFR値よりも24時間蓄尿によるCcr.値の方が、estimated(推算、推定)がないだけ、真実の腎機能に近いと言える筈ですが、Ccr.値の方がGFR値より少し大きく出ます。その原因は、クレアチニンは尿が糸球体から濾過された(出た)すぐ後に通過する尿細管で、周囲の組織からクレアチニンが尿細管の中に排出されるからです。一般によく「尿細管から分泌する」、と医学的な表現がされてますが,尿細管から出て行くのではなく、周囲組織から尿細管内に分泌される、入ってくる、と言う意味です。 その分があるので少々数値が高くなっています。糸球体濾過量としては、尿細管からの分泌分は引かなければならないでしょうが、同じ腎臓内で処理される訳ですから、尿細管での分泌も含めて腎機能と言えるのではと個人的には思います。糸球体の濾過量に対する尿細管からの分泌量は糸球体の痛みが進行し、糸球体が頼りにならなくなるほど増加することでしょう・・だとすれば、CKDも末期になるほど、Ccr.はGFRよりますます大きく出ることになります・・
 
 8-1-8  腎臓の濾過(ろか)機能の知識 
平均的体格の健常者(男子)であれば1日に約140〜150リットルもの尿(原尿)を濾し出しますが、身体の血液は体重50kgの人で約4リットルしかありません・・何故そんな大量の原尿を漉し出せるのでしょうか・・
 
 その理由は、腎臓で濾し出した原尿の99%は身体が(血液中に戻す)再吸収を行うからです。原尿の僅か1%だけが膀胱へ落ちるのです。もしそうでないと人間は直ぐ干上がってしまいます。
  
 腎臓の「糸球体」では赤血球や分子量の大きなたんぱく質などを除いた血漿と呼ばれる透明な液体を濾し出しますが、大ざっぱに尿を濾過して、そのあとは腎臓を出るまでの途中で有用な物(水分、ミネラル、ブドウ糖、小分子量の蛋白質他・・)を身体に戻す、と言うことをやっています。
 
 つまり、糸球体の負担を減らすために、濾過の全てを糸球体にやらせるのではなく、糸球体では大ざっぱに濾過するだけにして、あとは腎臓を出るまでの間に有用な物質を身体に回収するということをやっていることになります。なので、糸球体は問題なくても、糸球体から濾し出たあとの有用物の再吸収という機能が上手く働かないと、これもまた腎機能としては大問題という事になると思います・・
 
 つまり身体は、約4Lしかない血液を何度も繰り返し腎臓に送り込んでは沢山の原尿を作り、原尿中の有用な物(水分は99%)を身体に戻し、不要な物質はごく少量の水分と共に膀胱へ捨てる(その量は原尿の1%)、と言う作業を生涯くり返しています。
 
 心臓が1回の収縮で送り出す血液量(1回心拍出量)は70cc程度。脈拍60拍/分(毎秒1拍)の人は1日(86400秒)に、70cc×86400拍≒600万cc=6,000L≒6トンもの血液を身体に送り出していることになります。
 
 生きている限り、6トンの20%は腎臓に送りこまれるそうですので、毎日約1.2トンもの血液の浄化をしなければなりません。それは4Lの全血液を1日300回濾過していることに相当し、約5分に1回、身体の全血液を濾過、浄化していることになります!
 
 直径が髪の毛の10分の1程度しかない糸球体の毛細血管(内径約4μ・ミクロン)内を外径8μ×厚み2μの薄い皿状の赤血球を含んだ血液を毎日1.2トンも押し出すって・・毛細血管が擦り切れるのも無理もないです・・
 
 血液検査で潜血(赤血球)が出る、というのは、細い糸球体の壁が破れて糸球体の内径よりも大きな赤血球が漏れている・・ということなんですね・・(恐)・・赤血球がもっと小さい粒状ならば糸球体を痛めることも減るのかも知れませんが、粒状って表面積が最小ですから・・肺で酸素に接触して瞬時に酸素を得るには大きな表面積が必要なので粒では役立たずですね・・
 
 調べてみると、赤血球の弾力性にはEPAが関係しているらしく、魚を食べた方がいいというのはその辺にも理由があるようで・・
 
 なお、内径4μの糸球体の中を、どうやって外径8μ×厚み2μの赤血球が通れるのか不思議ですが・・調べましたら、平べったい赤血球は筒状に丸まって細い糸球体を通過するそうです・・確かに筒状に丸まれば、糸球体の丸まった直径は2.6μ以下になれるので、内径4μの糸球体のチューブを赤血球は楽々通れますね・・
 
 でも、もし赤血球の弾力が無くなったら・・丸まれずにつっかえる・・もしかして糸球体を傷つけ・・最悪破くかも・・ひょっとして、糸球体を壊して腎機能を悪化させる犯人は硬化した赤血球?・・・青魚をもっと食べた方がいいかも^^
 
*赤血球はしなやかさが命(NHK)https://www.nhk.or.jp/beautyscience-blog/2018/127/302643.html
 
 必見 *腎臓の構造と機能(看護ROO)・・腎臓の構造機能が驚くほど精密なイラストです。このような分かりやすいイラスト、解説は他に見たことがありません。この図を見ればモヤモヤしていた疑問が霧散するかもしれません・・是非ご覧下さい!  https://www.kango-roo.com/learning/1677/
 
 
 8-1-9 ・ Ccr.とは 
  クレアチニン・クリアランス(Creatinine clearance : Ccr.)のクリアランスとは、一掃するという意味です。商店のクリアランスセールのクリアランスです。クレアチニン・クリアランスは、血液中(厳密には血清中)のクレアチニンをどの程度一掃する、きれいにできるか、と言う尺度になります。
 
 Ccr.が50ml/min/1.73uとは標準体型の健常者のおよそ半分しか血液中の廃棄物(クレアチニン)が除去出来ていない、つまり腎機能が健常者の約半分しかない、と言うことになります。
 
 尿のクレアチニンを調べる理由は、クレアチニンという老廃物は腎臓で濾された後、膀胱に落ちるまでに周囲の組織に出て行く(再吸収される)事が殆ど無く、また周囲から染みこんで来る(分泌する)ことも割合少なく比較的安定しているからです。その為、血中のクレアチニンの量と腎臓から膀胱に排出されたクレアチニンの量を比較し、腎機能を評価します。
 
 血液中のクレアチニン(Cr.)は、心臓や肺、腕や足,頭部など全ての筋肉から老廃物として血液中に放出される物質と言われています。筋肉量は一定ですので、通常の生活をする限り,1日に筋肉から産出されるクレアチニンの量もほぼ一定であり、健常者であるならば、血中のCr.は老廃物としてコンスタントに腎臓から排出され、血液にクレアチニンがどんどん溜まる、と言うことはない筈です。
 
そうであるならば、1日に筋肉から血中に放出されたCr.の量と、腎臓から尿中に出されたCr.の量は同じであるはずです。全く同じであるならば,その腎臓は健全と言えるでしょう・・
 
 一方、腎臓の働きの悪い人では、腎臓からのCr.の排出が悪いために、激しい運動をして筋肉から血液中に大量のCr.が放出された場合などでは、腎臓からの排出が追いつきません・・・
 
 筋肉をよく使った後では血中のクレアチニン値が先に上昇し、尿にクレアチニンが出てくるのはかなり遅れると推測できます。だとすると、激しい運動をした後は血中のCr.濃度は上昇し、尿中Cr.濃度はさほど上がらず、計算上はCcr値は悪くなる・・ということになるでしょう・・
 
 逆に、普段激しい運動をする人が、蓄尿の前日だけ運動をぱったり止めると、血中Cr濃度は低下し、尿中のCr.は一昨日までの運動のせいで増えるかもしれません・・この場合はCcr.はあたかも改善したかのようになるでしょう・・
 
 正しいCcr.を測定するには、検査前3日ほどは特別なことはせず、普段通りの生活をするか、おとなしくできる人は、おとなしくしてた方が検査値が安定する事になると思います。おとなしくしていれば、血中Cr.値は、激しい運動をしている日よりは、少しは下がると思います。
 
・・・(8-1-5 クレアチニンクリアランスの計算を参照ください)
 
 Ccrの検査ですが、今でもCKD保存期の治療に取り組んでいる病院では検診日の前日に、患者宅で24時間蓄尿をしてもらい、その一部を持参してもらいCcr.を調べる、ということをやっている所が少なからずあります。
 
 また茨城県の常磐線取手駅すぐの「椎貝クリニック」では、患者でなくても、ネットで会員登録をして年会費を振り込めば、Ccr検査をやってくれます。毎回、検査の度に実費を払うのですが、申し込むと蓄尿用品を1式送ってくれますので、説明書に従って尿を貯めて、少量の尿をクール便で送る方法でCcr.検査をしてくれます。
 
 また結果を郵送してくれますし、問題点、改善点のアドバイスもしていただけます。蓄尿の練習にもなりますし、有意義かと思います。但し、Ccr.の計算には血清Cr.値等が必要ですので、お近くのクリニックで,前もって血液検査をしてもらう必要があります。
 
*(茨城県取手・椎貝クリニック) http://www.shiigai-clinic.jp/
 
  尿量の測り方ですが、一般的には、目盛りの付いたポリ袋を適当な箱に入れ、或いは吊るし、24時間の尿を貯め、蓄尿終了後に、ポリ袋を手で持ち上げ、袋に印刷された目盛りから尿量を知る、と言う方法ですが、袋の持ち方により誤差が無視できないほど大きくなるため、私としては3kgのキッチンスケールで重量を量る、というやり方をお勧めします。単位はgになりますが、尿1g≒1ccと見なして、病院側が求める単位cc(mL)で報告したら良いと思います。(厳密には、尿量cc=尿の重さ÷尿比重です)尿比重は一度測れば毎回大きな変動はないと思います。私の場合、尿量は約1日1500cc、尿比重は毎回1.005です。尿量が減り濃縮されている場合は比重は大きくなります。
 
 尚、秤(はかり:スケール)の上に蓄尿袋を置くことは無理ですので、蓄尿袋を入れた箱ごと乗せ重さを量り、箱とポリ袋の重さを差し引いて尿量とする方法が、こぼす心配が無く良いと思います。ポリ袋と箱の重さは事前に量っておいた方がいいですね・・箱が大きい場合はスケールの数字が読めないかも知れません。なにかスペーサーを置いて箱を少し持ち上げるか、あるいは尿を小分けにして重さを量り、合計して総尿量を出すのも良いと思います。
(病院により蓄尿の方法は変わると思いますが、24時間蓄尿して、その一部を病院に提出する、という点は同じです。)
 
*蓄尿検査はどうして必要ですか?(大阪府立急性期・総合医療センター)
    http://plaza.umin.ac.jp/~kidney/kensa.html
 
*24時間蓄尿・・Ccr.、摂取蛋白量、摂取塩分量の自動計算
 (東邦大学・大森病院)
 https://www.lab.toho-u.ac.jp/med/omori/neph/patient/inspection02.html
 
*腎臓病の概要解説(大分市・松山医院)
 http://www.matsuyama-iin.com/jinzobyo.html#ckd
 
(臨床における24h蓄尿検査の意義、専門医による解説)
 https://products.kanto.co.jp/web/index.cgi?c=t_product_table&pk=297
 
 8-2  実際の塩分、蛋白質の摂取量を尿検査から自分で調べる方法 
 CKDの人はグレードに関係なく、以前は塩分は1日6g以下、という制限がありましたが、ある医師は少なければ少ないほど良いと言いますので、少ないほど良いとなると、真剣に食事制限に取り組んでいる人は摂取塩分量が2gという人も出てくることでしょう・・少なすぎる摂取量から来る大きな問題(低ナトリウム血漿)もあるため、現在では腎臓学会は3g以上6g未満と言う範囲を付けました。
 
 少ない方がやはり良いのだろうという感じがするため、1日3g台の制限をしている人も多いと思いますが、果たして本当に正確な塩分摂取が出来ているのかは計算だけでは分かりません。特に外食や店屋物の塩分量は正確には分かりません。1食6g以上になる場合もあるので、外食やスーパーの惣菜には呉々も注意が必要です。
 
 塩分量は味覚からある程度は経験的に分かりますが、蛋白質となると、味覚では分かりません。ギリギリの蛋白質摂取を実戦している人にとっては、実際に自分が摂っている正確な量を知りたいものです。血液検査で尿検査もするのであれば、自宅で蓄尿をして、尿の蛋白、ナトリウム(Na)、尿素窒素(UN)の尿定量検査をしてもらえば、蛋白からは蛋白質排出量、Naからは実際に食べた塩分量、尿素窒素からは同じく蛋白質摂取量が分かります。
 
(計算は下記のサイトで各値を入力すれば自動計算してくれます)
*24h蓄尿による塩分、蛋白質摂取量の自動計算(東邦大学医療センター)
  https://www.lab.toho-u.ac.jp/med/omori/neph/patient/inspection02.html
          
  
 8-3  毎日の尿量等を記録する 
 透析をしていないG1〜G4のCKD患者にとって理想的な尿量はどの位なのか・・ネット上にも明確な数値が見つからないのですが・・腎臓学会によると、健常者の平均は1日1〜1.5Lで、0.4L以下を乏尿、2.5L以上を多尿と言うそうです。乏尿と多尿を足して2で割ると中央値として、1.45Lとなります。それから考えるとおおよそ1日1〜2L程度なら良いのではないかと言うことになります・更にその中央値の1.5L(1500cc)を目標値とし、「1.5L±0.5L」とすれば、どこからも文句が出ないように思われます・・
 
 尿量が毎日ほぼ一定ということは生活が安定している・・とも言えるように思いますし、毎日一定の尿量があった方が安心できます。
 水分をどの位摂ったらいいのかは、尿量が1500cc前後になるように加減をして飲む水の量を決めれば簡単です。決めた量の飲み物を保温ポットに入れて、1日で飲み干せば、その日のノルマは達成です。
 
 もし尿量が少なくて、体重が増えていれば浮腫(むくみ)・・仕事や運動のやり過ぎで腎臓が音を上げている可能性があります。午後になっても尿量が少ないときは、その日はもうそれ以上働くこと、運動をすることは腎臓にとって良くないと言うサインかもしれません。できるならば、ちょっと横になるとかして腎臓への血流を増やすようにした方がいいかもしれません。
 
 椅子に座った状態から立つだけで腎臓への血流は10%減り、歩くと20%も減ると言われます・・適度な有酸素運動(毎日ウォーキング20〜60分)は体力維持に有効と言われていますが、やりすぎは禁物でしょう・・
 
  *腎臓が悪くなったときの症状・多尿(腎臓学会)https://www.jsn.or.jp/global/general/_3225.php
 
 8-3-1 ・ 外出先での尿量の推定方法 
 家で毎日の尿量を記録している方は、毎回の尿量測定の時に、その排尿に何秒かかったかを記録すると、自分が毎秒平均何cc排尿をするのかが分かり、外出先で排尿時に秒数を測り、それから何ccだったかがある程度計算できます。Ccr検査ではないので、大体の尿量がわかればいいので、その結果をスマホなどに記録して、家での記録と合算して1日の尿量を求めます。もし1日の尿量が予定したよりも少ない場合には原因を考えなければなりません。
 
*浮腫(むくみ)はどうか・・浮腫があればその原因を考えます・・立ち仕事、疲労、
              塩分過多
 
*飲料が少なかったか・・・夏場は通常の水分量+発汗分も考慮し、すこし多めの水分補給が           必要だと思います。
 
*発汗が多かったか・・・夏場に汗を掻いて脱水気味の時の水分補給は、水500ccのペッ         トボトルに食塩1.5gを加えると、即席の塩分0.3%経口補水液にな         ります。大量に汗を掻いて、ただ水だけを補給したのでは、血液が         ナトリウム不足になるかも知れません・・・意識があるうちに、水         分と塩分を補給しましょう・・
 
ストップ熱中症(帝京大学)・・https://www.kakuredassui.jp/usefulinformation/living/living03
 
 
 8-3-2 ・ 排便の時刻を記録する 
 尿の記録表に排便時刻も記録しておくと、自分のリズムが正確に分かります。まだ催さないけど・・と言うときでも、便りは、もうそこまで来ているのに、つい何かに夢中になって便りの合図(ノック)に気づかずにいると、明日、硬い便りで苦しむかも知れません・・いつもの時間が来たら、もうそろそろだな・・と便りを気に掛ける事も必要だと思います。
 
*便秘は腎臓に悪いかもしれません・・不要な便りは早く出した方が良いと言うことだと思います。その意味では食物繊維の多い茸類を食べることは腎臓に良いのではないかと思っています。 (8-5「便秘対策」を参照下さい)
 
 8-3-3   ベスト体重を知る ・・いつもと同じ程度の食事(規定のカロリー)を摂り、同じ程度の労働や運動をしたのならば、翌朝放尿後の体重はほぼ同じになるはずです。もし体重が増えていたら、前日食べ過ぎたか、塩分の取りすぎや、水分の摂りすぎで身体がむくんだのかも知れません。毎日体重を量り、普通に食事をとっている状態で最も少ない体重がベスト体重です。今朝、もし体重計がベスト体重を示したら、今日は絶好調な日です。
 
 8-4  アレルギー検査を受ける 
 
・・長いこと私は毎年春先になると扁桃を腫らし、微熱が収まらないために内科医に行くと、医師からは喉が真っ赤ですよ・・と言われて抗菌剤や解熱剤を2,3回頂く事が当たり前になっていました。
 
 しかし風邪でダラダラと扁桃が腫れて「微熱」というのはおかしい・・細菌やウイルスならばもっと高熱が出るはずだ・・花粉症ではないのか?と言う疑問がわき、耳鼻科へ行きました。
 
 耳鼻科でも抗菌剤を飲むように言われましたが、2種類のネブライザーをしながら薬剤の名前を覚えて帰宅後に調べましたら、2種類のうちの1つがアレルギーを抑える薬だったのです。
 
 次回のネブライザーの時に、アレルギー血液検査を受けたいと強く申し出ました。ドクターは渋ってましたが・・・
 
 血液検査を受けて驚きました・・。
 
 杉花粉が200(クラス6)と出たのです!この数値は検出限界値を越えている事を意味するのでしょう・・桧も6.47(クラス2)で少しアレルギーがあります・・毎年の春先の3ヶ月以上続いた微熱は風邪ではなく、杉花粉によるアレルギー反応だったのです。
 
 それ以来、喉が痛くなってきたら、アレルギーを抑える薬(オノン、またはジェネリックのプランルカスト)を飲むことで、喉の腫れは出なくなりました・・・そればかりではなく、オノンを飲むようになった2017年(平成29年)6月以降腎機能の悪化が収まるような傾向が出てきたように思えるのです・・前ページのアレルギー検査表の日付と、最終ページの表を比べてご覧下さい・・2017年の後半から1/CRが横ばい的な様子になっているように思えます・・・
 
 *春先に扁桃を腫らす人や鼻水が出る人は一度アレルギーの血液検査をしてみませんか?.保険適応で検査が受けられます。
 
*杉アレルギーで扁桃を腫らす、というのはIgE抗体が原因らしいですが、IgA腎症の抗体とは兄弟のような関係と言われていますので、IgA抗体が腎臓に沈着することが原因ならば、IgE抗体も似たようなことが起きている可能性があるのではないでしょうか・・事実、どちらも扁桃を腫らすという点では共通しています。事実はどうあれ、アレルギーを抑える薬を服用することで扁桃が腫れなくなることは身体にとって良いことですし、たぶん腎臓にとっても良いことなのでは・・^^
  
 8-5  便秘対策 ・・・椎茸、マッシュルームで、快便。・・CKD保存期の最終ステージでは活性炭を服用し、腸内の毒素を吸着する治療が行われています。朝一番にオリーブオイルを小匙1杯を飲み、茸類などの食物繊維を食べると一般的に便通が良くなると思います。私は生の椎茸換算で毎日45gの椎茸を食べるようにしています。
 
 椎茸は生椎茸でもいいですし、干椎茸でもいいです。干椎茸の場合は水に一晩浸けて戻し、小さく切って煮沸して、冷まして絞って小分けして、冷凍しておいて、毎食の料理に混ぜて食べますし、旅行用には煮沸後に砂糖を加えて甘く煮詰め、瓶に詰めて冷蔵しておき、1日60gの計算で小瓶に詰め直して持って行きます。
また、冷蔵庫に入れたら白濁するような良質なオリーブオイルを、毎朝か、毎朝夕に小匙1杯飲む、というのも効果があると思います。オイルの刺激と潤滑性能が効果を発揮する感じがします。 
 
 尤も便秘症でマグネシウムを飲む方にはキノコやオイルといった民間療法は効果が弱すぎるかも知れません・・海外のホテルのビュッフェ朝食で驚くのは、凄い量の美味しいマッシュルーム料理が並ぶことです・・多分、伝統的な便秘対策かもと推測しました^^
 
 ビール酵母から作る「わかもと」や「エビオス」にも整腸効果があると思っています。一緒に食物繊維を摂ると良いと言われていますが、かなりガスが出ますね・・このガスが腸の蠕動運動を刺激しているような感じがします・・真島クリニックでは硬化剤の入っていない「粉末エビオス」を勧めています。
 
この文を書いた後で念のためにネット検索をしたら、なんと便秘がCKDを悪化させる、という事が医学的話題になっていました。便秘が腸壁を傷つけ、そこから毒素が進入し、腎臓を傷つけるという事です。
 
更に東北大学では、動物実験で、便秘の改善薬(ルビプロストン)で腸内環境を改善することで尿毒素が腸管から糞便として排出され、腎機能が改善する、という研究成果で出ているようです。 これが人にも当てはまるなら明るいニュースです。
 
 *「腸内環境改善による腎臓病治療薬の開発/便秘症の治療薬が慢性腎臓病の治療薬になる可能性」(東北大学)・・・尿毒素の排出経路は、従来@腎臓から尿 A人工透析で除去、しかなかったが、第Bの排出経路として腸管から糞便として排出できる可能性が出てきた。(国内・国外特許申請済み)
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press_20141217_03web.pdf#search=%27CKD+%E4%BE%BF%E7%A7%98%27
 
(参考)日経メディカル・・https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/special/sped/1710umn/201710/553177.html
 
(東北大学)https://bifidus-fund.jp/meeting/pdf/21th/sympo2-4.pdf#search=%27CKD+%E4%BE%BF%E7%A7%98%27
 
(腎臓サポート協会)便秘はCKDを悪化させる・・https://www.kidneydirections.ne.jp/support/soramame/school/no97.html
 
*それ以外にも色々話題になっています。「CKD  便秘」で検索してみて下さい。
 
 8-6  全てのサプリメントを止める 
 サプリメントは医薬品でないため、副作用などの国の審査を受けていません。生産者も、そのサプリメントが腎機能に影響がないか、までは詳しく調べてないかもしれません。従って、腎臓にとって有害な成分が含まれている可能性が常に心配されます。もしある栄養素が不足していて問題になっている時は医師が薬として出してくれることでしょう。サプリメントが原因で急性腎炎になる事は決して稀ではありません。
 
*透析にならない為に(江東区医師会)https://koto-med.or.jp/healthtopics/4509.html
・・・最後の方にサプリに関する注意があります
 
 8-7  軽い運動を始める 
・・適度な運動は腎臓学会でも以前から推奨していますが、最もやりやすい方法は有酸素運動となる「ウォーキング」だと思います。運動がCKD患者に有益なことは「日本腎臓リハビリ学会」が啓蒙中です。 腎臓リハビリテーションの手引きがネット上からダウンロードできます。
 
 最近「腎臓病は運動で良くなる」と言うびっくりする表題の本をネットで見つけ、つい買ってしまいましたが、運動で腎臓病が改善すると言える確固たるデータは私には見つけられませんでした。
 しかし適度な運動がCKD患者の「体力維持」という観点から推奨されることは、適度であれば当然だと思います。
 
*日本腎臓リハビテーション学会 https://jsrr.jimdo.com/
 
*「腎臓リハビリ」(運動療法)の手引きダウンロード
https://jsrr.jimdo.com/%E5%AD%A6%E4%BC%9A%E9%96%A2%E9%80%A3%E8%B3%87%E6%96%99/%E8%85%8E%E8%87%93%E3%83%AA%E3%83%8F%E3%83%93%E3%83%AA%E3%83%86%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%81%AE%E6%89%8B%E5%BC%95%E3%81%8D/
 
 8-8  検査結果の安定化の工夫
・・検査結果が良かったり悪かったりで一喜一憂しますが、乱高下の少ない検査値になるようにする為には、検査前1週間食事と運動量を毎回同じ条件になるようすればいいのではないか、と思います。
 
 クレアチニン(Cr.)は筋肉を使うことで筋肉から血液中に放出される老廃物なので、検診の前3日間は激しい運動を控え、なるべく安静を保ち、また食べ物も検査前1週間は外食を控え、毎回の検査日を同じ条件下で迎えれば、Cr.値などの数値の乱高下が減り、少しは安定するのではないかと思っています。
 
*水分の方も、もし前日にしっかり労働や運動をしたのに水分補給が十分でないと、身体は軽い脱水状態になっているかもしれません。脱水状態で血液が濃縮されていれば、クレアチニン濃度も増すはずです。となれば血清Cr.値も上昇することになるでしょう。
 
 だとすれば、検査日の血液中の水分量を毎回一定にできれば、検査結果も安定するのではないかと思います・・もっとも血液中の水分量(血液量とNa.濃度)を一定にする仕事は脳の最重要の仕事ですので、人が水を飲んだからと言って、そう簡単には血液量は増やせないでしょう・・
 
水を沢山飲むと、血液中のナトリウム濃度が下がるため、血液量が十分あれば、脳は腎臓に利尿を促して水分量を減らします。血中の水分が少なくなり、血中ナトリウム濃度が高くなってくると、今度は利尿しないように抗利尿ホルモン(ADH:antidiuretic hormone)を出して利尿を押さえ、同時に喉が渇く感覚を与えます・・体にとって何よりも避けたいのは血液量が必要量より減少することですので、Na濃度を犠牲にしてでも一定の血液量を死守しようとする・・ということです・・。
 
このことをCr.値の面から見ると・・
塩分を摂ると、血中Na.濃度が高まり、脳はADH発令で利尿を抑えると共に喉の渇きを与え、人は水を飲むことでNa濃度は安定しますが、血液量は増えるので、Cr.値は多少減少するでしょう・・なので、塩分は6g未満内で、多めに摂った方が、血圧は上がりますが、Cr.値は下がる傾向にあると思います・・
 
・・・さて、一見Cr.値が下がったかのように見えることと、血圧が上がってしまうこととを天秤にかけた時どちらを取るかですね・・・
 
・・血圧が上がれば短期的にはCr.値は改善するかも知れませんが、腎臓の傷みは早くなることは想像に難くないでしょう・・もともと、身体も腎機能が落ちてきて、糸球体がどんどん消滅すると、血圧を上げて糸球体の濾過量を増やそうとしています・・
 
その結果は糸球体の更なる損傷という悪循環に陥るわけですが、生命体は悪循環になっても、濾過量を確保する方向に働くと言う事実は・・「死ぬまでは頑張るんだ」・・という人体の設計の基本方針なのでしょう・・
 
 高血圧が原因とされる腎臓病・・腎硬化症の治療は血圧を下げることが第一選択と言われています。血圧を下げれば腎機能は少し落ちます(Cr.値は少し悪くなります)が腎臓は長持ちする・・ということでしょう・・
 
逆に塩分摂取量が少ないと、その逆のことが起きて、血液量は若干減少する為、Cr.値は上がることでしょう・・命にかかわるため、血液量は一定以上には減少しません。低Na.
血症気味の状態でいくら水を飲んでも、飲んだ分はすぐ尿となり、Cr.値は下がらないでしょう・・この場合は、塩分摂取をもうちょっと増やして、1日3gでやっている人は、少し上げて1日3.5g位を最低ラインにした方が良いかも知れません・・
 
 短期的には、腎機能とは関係なく、Cr.値はある程度は人為的にコントロールできるかもしれませんが、医療的には、そんなコントロールは無意味な事だと思います・・ただ、こうしたことはCKD患者にとっては、一種の遊びのようなもので・・水を少し多く飲んでみたり、少なくしてみたり、或いは塩分摂取量を変えて、検査結果がどう変わるか調べる遊びは・・もしかしたらCKDの理解に役立つかもしれません・・・
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 塩分摂取量が少なすぎると(血液の浸透圧が下がるので)脳の中に水分が入ることがあります。そうなると、錯乱、痙攣、昏睡が起きるかも知れません・・塩分管理は油断しないように気をつけたいものです・・塩分少なくて昏睡と、多すぎて高血圧による脳卒中・・これはどちらも避けたいですが、閻魔大王にどちらか選べと言われたら・・・脳卒中で天国行きを私は選ぶかな^^
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 検査日当日の身体の状態を正常な状態(脱水が起きていない状態)にするために、常日頃塩分摂取量を3〜6(g/日)摂り、検査日前日は十分水分を摂り、激しい運動を控え・・そして検査日当日の朝も水を大きめのコップ一杯程度飲めば身体は脱水状態にはならないでしょう。
 身体が脱水気味の時、水を飲んだ分だけ血液が増えればクレアチニン濃度は水分で薄まるのでCr.値はその分良くなる筈ですね・・(仮に脱水状態の時に、水を200cc飲んで、もし血液量が200cc近く増えたなら、血液量は約4000ccなので5%程度血液が増え、クレアチニン濃度は5%薄まりCr.値も5%程度良くでるなるはずです・・Cr.が2.0の人は1.95と出るかもしれません・・)
 
 ただ、こうしたことは一時的であり、腎機能が改善したわけではないですが、検査当日の体の脱水を防止することで、毎月の検査値が安定するとしたら精神的には良いことだと思います・・
 
(注)検査日の朝のコップ1杯の水分補給は、あくまで身体が脱水の状態で採血されることを防ぐのが目的です。血液検査の目的によっては検査前の水飲みは一切禁止されていることがあります〈絶飲食〉、その場合は当日朝は水も飲めないと言うことになりますね・・精々前日にしっかり水分補給をしましょう・・
 
 8-9  海外のCKD情報を参考にする
 日本では本やネット上の情報は腎臓学会のガイドラインで示された範囲内だけの無難な記述が多いです。その範囲を超えた個人的な主張を盛り込んだ著書は極めて少ないと感じています・・
  
 海外でも基本は殆ど同じ感じですが、その国の食べ物や習慣の違いとかで、記述の内容にはお国柄が感じられることがあります。例えば肉食の国では蛋白制限が非常に緩いことがあります。その代わり、塩分、カリウム、リンの制限は書かれています。リンを制限するという事は乳製品や肉、魚など蛋白質も自ずと制限されることになります。ご飯を食べない欧米ではシリアルや低蛋白パスタとか低蛋白パンなどが主食となり、少量の肉と豆類に野菜サラダを添えて食べてるようです。
 
 選択肢という点では日本は和食あり、洋食ありの多国籍食ですので選択肢が広いと思います。一方メニューの種類が多いと言うことは、食事制限をする上では計算が大変で、困ります。宇宙飛行士のようにチューブに入った栄養食を飲めばそれで完璧!というのも味気ないですが、厳密な食事制限をすればするほど、食事の内容は料理と言うより栄養重視の素材の出所のはっきりしたメニュになってきます。
 
 例えば、毎日、「主食の穀物、肉と魚と豆類、乳製品、玉子、野菜、果物」・・これは一般家庭ではよく食べる物でしょう・・とすると、大体食べる食材は決まってきてしまいます・・私のような男料理のメニュは、どうみても料理とはほど遠い、単に栄養のはっきりした魚や野菜を更に並べるだけ・・・という殺伐とした感じになってしまいます・・やはり宇宙飛行士の食事にどこか通じた物になってしまいますね^^
 
 米国の腎臓キャンペーンは「腎移植」を最大のテーマにしているように思えます。米国で腎臓移植が多いのは、日本と違い他人からの献腎を認めているということもあるかもしれません・・他人の臓器となると臓器売買という問題で日本ではまず将来共にあり得ないことでしょう・
 せめて献腎など臓器提供の有無の意思表示を免許書に記載することを「免許交付の条件」にできれば、日本も大きく変わるように思うのですが・・・
 
*海外版サイト
 
National Kidney foundation(USA):  https://www.kidney.org/
 
DASH食事療法:https://www.kidney.org/atoz/content/Dash_Diet
 
Food care(料理の写真): https://foodcare.com/myfoodcoach/signin
 
食事療法 youtube:  https://www.youtube.com/watch?v=GxC7Zmt77WQ
 
 
解説では、食事を5つの要素に分け、それぞれの量(見た目の体積)を大ざっぱに示しています。
 
1.穀物・・パン、ご飯、シリアル等・・皿の30%
2.蛋白質・・玉子、肉、魚、豆など・・皿の20%
3.野菜・・・全ての野菜類・・・・・・皿の30%
4.果物・・・全ての果物・・・・・・・皿の20%
     +
5.乳製品・・低脂肪牛乳、ヨーグルト・・カップ1杯
                   
これを見ると、穀物、野菜、果物でお皿の80%を占めている事に驚きます・・
 
 8-10 朝の血圧の測り方の工夫 
 朝の血圧測定は起床後1時間以内に測ること、となっています。これは早朝に血圧が上がって脳卒中になる人が多いからでしょう・・。
 
 一般に就寝中はすこし血圧が下がり、起床後には、就寝中に下がった血圧を戻すためと、起立による貧血を防ぐため血圧は一旦平常血圧よりも少し上がり、その後、徐々に下がって安定するパターンの人が多いと思います。
 
そういう早朝の血圧が時間の経過と共に変動する人の場合は、起床後何分後に測るかを決めた方が血圧は安定すると思います。私の場合は起床後30分後(起床後1時間以内の中央値)に血圧を測るようにしています。
 
*私の早朝血圧の変化(手首血圧計での測定)
 1.目覚めた直後の、寝た状態での血圧・・・128/80/60
 2.寝床から立ち上がった直後の血圧・・・・・156/87/80
 3.起床30分後(椅子に座って10分後の血圧)・・120/74/65
 4.起床1時間後(椅子に座って40分後の血圧)・・119/76/68
( 私の場合、アムロジピンなどカルシウム拮抗薬を飲むと、翌朝も起床直後から血圧はほぼ平常血圧になります。)
 
血圧計の種類と特性・・基本的に心臓に近い所を測るほど精度が高くなるはずです・・上腕式が推奨されるのは心臓に近く、心臓と同じ高さだからでしょう・・
1.手首血圧計(写真・右)・・座った状態、立った状態、寝た状態、足首の血圧など様々な血圧が簡単に測れる。冬季で着込んだ状態でも服をまくる必要がないので、例外的に自動血圧計よりも正確に測れるかも知れないが、一般論としては、上腕での測定の方が信頼されています。手首血圧計は、手を脇の下に入れるなどして、血圧計が心臓の高さになるようにして測る必要があります。
 
2.自動血圧計(写真左)・・最近は家庭用としても普及してきているように思います。ただ腕を入れるだけなので、操作が簡単なのがいいですね・・
 
3.上腕カフ巻き式(写真中央)・・昔からあるタイプです・・冬などに厚着した状態では測りにくいです。
 
 8−11  無駄な体力は使わない 
 筋トレ後は休憩する(できれば横になって本でも読む)・・
昔からCKDにとって運動は良くない・・と言う考え方があります・・長時間の力仕事や、必死に走ったりする運動は無酸素運動でもあり、血液は筋肉の方に大量に送られ、腎臓への血流が大きく低下すると言われています。
 
 なのでズーと休み無く重労働を続ければ、腎臓は血流不足でダメージを受けることだろうと言うことですね・・この考え方も間違いとは言い難いですが、だからといって一日中寝床に横になる習慣をつけたら、身体は衰え、老化(流行の言葉ではフレイル/frail/虚弱)化してしまいます。スクワットや腕立て伏せなどの筋トレも辛いものですから、万人が楽しめる訳ではないと思います。楽しくて運動になる何かが見つかるといいのですが・・私の場合は最近は晴れたら30分ウォーキング、雨が降ったら軽く卓球を1日30分しています・・
 8-12  毎日一定の水分をとる
・・CKD患者が気を付かなければならないことの一つは脱水にならないことでしょう・・私の場合は、ポットに極薄い紅茶を入れて、1日かけて全部飲んでます・・現在のメニュでは約1500ccの薄い生姜入りの紅茶を朝昼晩の食事時と10時、3時と1日5回に分けて飲んでいますが、1回約300ccになります。
 ミルクティーとか、味のある飲料なら300ccくらい簡単に飲めますが、味のない薄い紅茶を280cc、お菓子もなく飲むのは結構大変なので、10時と3時の紅茶にはクリープを小匙すり切れ1杯と角砂糖1個を加え、煎餅を1枚食しています。。
 
 1日に飲む水量は、主治医の言葉からは、尿量約1500ccが適当とのことですので、そうなるようにお茶の量を加減しています。自分の適正尿量は主治医と相談されたら良いと思います。
    
 8-13  脂質制限を始める ・・数年前に糖質制限で脂質を一杯摂ったためか、右耳に拍動音を感じるようになり動脈硬化が心配になって、4年ほど前に動脈硬化を専門とする久留米市の「真島クリニック」を受診してみました。真島医師は、高性能エコーで血管の断面を映し出し、血管内部のプラーク量を数値測定する、というスペシャリストですが、プラークを減らすには脂質制限をする必要があるという事を主張しています。
  
  動脈硬化の主因はプラークであり、プラークを減らせば血液の循環が良くなり、血圧も下がり、腎機能もある程度ですが改善する、と言うことでした。私の慢性腎臓病の原因は「本態性高血圧」と言うことになっていますが、「本態性」とは、「原因不明」と言うことらしいです。血圧が上がる理由が今日未だに不明って不思議です・・・
 
  真島医師の「プラークで血管が狭くなることが高血圧の原因です」とのシンプルな説明は素人にも分かりやすく、説得力が有ると思いました。そこで、私は糖質制限から一転して真逆の脂質制限を始めてみることにしました。
 
 脂質制限は、簡単に言うと、血管のプラークを減らす食事にすると言うことですが、具体的には、毎日の食事で、肉の脂身やバターなど固形油(飽和脂肪酸)の摂取をやめる、或いは減らす、ということになります。身体の血管の分岐点(三叉路)などでは血液の乱流が起き、血管壁が傷つきやすく、傷ついた部分から脂質(LDLコレステロール)が入り込んでプラークとなるために血管が狭くなる、という説明もイメージとしては分かりやすいと思います。 
  
  真島クリニックで推奨する薬はEPA製剤です。EPAのサプリメントは新聞チラシやテレビのCMで盛んに宣伝されていますが、治療薬として認可されたEPA製剤(エパデール900、若しくはそのジェネリック)を服用します。1袋に粒状のEPAを900mg含んでいます。朝夕服用します。
 
 脂質制限とEPA製剤を飲み出して身体に起きた大きな変化は、悩まされていた耳の周辺の動脈からの拍動音がなくなったことと、降圧剤を長らく飲んでも下がらなかった拡張期血圧が90台→70台に下がったことですが、これがEPAのお陰かどうかは分かりません・・。
 
*(真島クリニック) http://majimaclinic22.webmedipr.jp/kanzenyobou/column2/28.html
* 老いは血管から(慶應義塾大学)
http://www.myclinic.ne.jp/imobile/contents/medicalinfo/top_naika/sanwa_naika_02/mdcl_info.html
 
 
8-14 必須アミノ酸を取り入れた食事を始める
*より完全な蛋白質制限のメニュを考えると、人が実際に栄養として利用するのは、食べた食品中の蛋白質(分子量が大きい)が直接身体に吸収されることはできず、腸で一旦分子量の小さなアミノ酸に分解されて初めて身体に吸収される。身体に入ったアミノ酸は身体を作る蛋白質に再合成される仕組みなので、食品中の蛋白質という考え方より、より直接的な必須アミノ酸の含有量から献立を考える方が、より正確なのではないかと思い立ち、必須アミノ酸を取り入れた食事の研究を始めました。 
 
 8-14−1  必須アミノ酸からメニュを考える 
まずは下記のサイトをご覧下さい。蛋白制限をする上で必須アミノ酸の重大性がお分かりになると思います
*必須アミノ酸解説(国立スポーツ科学センター)https://www.jpnsport.go.jp/jiss/nutrition/meaning/nutrient/aminoacid/tabid/1207/Default.aspx
 
*アミノ酸スコア解説(グリコ)https://cp.glico.jp/powerpro/amino-acid/entry37/
 
*医師・コメディカルのための慢性腎臓病 生活・食事指導マニュアル(日本腎臓学会)
https://cdn.jsn.or.jp/guideline/pdf/H26_Life_Diet_guidance_manual-s.pdf
上のPDFの52ページに、必須アミノ酸の摂り方の注意点(利用されるアミノ酸、無駄になるアミノ酸)が大変分かりやすく、且つ他には見られない正確な図解説明がされています。
 
上の各サイトに出てくる「蛋白質の桶」で分かるように、蛋白質に含まれる9種類の必須アミノ酸を過不足無く摂ることが大切ですが、従来のCKDの食事教本には必須アミノ酸を計算に入れたメニュというものは見当たりません。
 かなり切り詰めた蛋白制限をするうえで、必須アミノ酸の概念を取り入れずに、単に蛋白質の量だけ減らすことは危険だということが、私にも体験上分かってきました。
 必須アミノ酸の摂取が必要量より少ないのは論外ですが、必要な量より多すぎる部分は、たんぱく質の合成に必要な9種の必須アミノ酸が全て揃っていれば、皮膚や内臓ほか爪や髭や、100種類に及ぶ各種ホルモンなどに至るまで利用できるのではないかと思いますが、・・もし揃ってない過剰な部分で単独で利用されなかったアミノ酸は、最終的にはカロリーとして代謝(燃焼)され、その燃えカスである尿素窒素は腎臓からしか排出できないため腎臓に負担を掛けることになります。
 
 必須アミノ酸をどの程度摂ったらいいのかということですが、WHOが「推奨必須アミノ酸摂取量」を定めています。基本的には体重1kg当たりの必須アミノ酸量に自分の体重を掛けた量を摂れば良いのですが、果たしてそれで十分かは疑問が残ります。まず、身体がどの程度吸収できるかは個人差があると思いますし、消化吸収の極端に悪い人もいます。また天然の食品の成分は、銘柄や季節、採れた場所、などによってかなりのバラツキがあるはずです。さらに煮物などのように正確な成分が分からない物もあります。
 
必須アミノ酸 摂取推奨量(wikipedia)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BF%85%E9%A0%88%E3%82%A2%E3%83%9F%E3%83%8E%E9%85%B8
 
 体重1kg当たりの摂取推奨量が載っています。 ただ、WHOが推奨しているのですが、この量だけ摂れば良いと、万人に推奨できる量とは思えません・・自分の経験から、この量では少なくともCKD患者にとっては不足すると思っています。私が推奨量の100% 及び120%摂っていたときには歯肉炎などが発症しました。慌てて推奨量の150%で暫くしましたが、ちょっと多すぎる感じがした為、現在は推奨量の140%にしています。クレアチニン値は殆ど変わりませんが、体調は良いです。140%摂取で、従来のたんぱく質換算で0.64g/kg標準体重になります。アミノ酸組成によるたんぱく質量では0.57g/kg体重です。 (参考までに、120%の場合、従来のたんぱく質量では、0.55g/kg体重、アミノ酸組成によるたんぱく質量では0.47g/kg体重で、腎臓学会が推奨する0.6〜0.8g/kg体重未満になりました。)
 
この「推奨摂取量」の“摂取”という言葉・・”摂”はとること・・つまり食べる事です。摂取の”取”は”とる、自分のものにする,という意味で、つまり摂取とは食べて自分のものにすること・・となります。
 
 消化吸収の悪い人・・例えば消化吸収率70%の人は、100食べても70しか自分のものにできないことでしょう・・。つまり推奨摂取量とは、身体が吸収すべき推奨量と言うことになります・・なので、消化吸収率70%の人は、推奨量100を取るには、100÷0.7≒143・・143摂らないと100%にならないといういことになります。これ、ちょっとした盲点ですね・・・
 
 腎臓学会の規定する、たんぱく質摂取量0.6〜0.8/kg標準体重・・って、ひょっとして、食べなければならない量ではなく、吸収しなければならない量なのではないでしょうか・・?これは大きな問題です・・
 
腎臓学会の方の問題は24時間蓄尿で尿の尿素窒素(BUN)の定量検査をすれば、実際に蛋白質何g食べたかが分かります・・・このことからも、摂取とは食べた量ではなく、身体が吸収した量だということが分かりますね・・
 
(追記)たんぱく質の消化しやすさ、しにくさ、というものが大きな意味を持つのではないかと、言う疑問で検索しましたら、消化の難しいたんぱく質、アミノ酸があると言うことから・・・人が消化できる程度を加味した新しい必須アミノ酸の評価基準としてDIAAS法( Digestible Indispensable Amino Acid Score:消化可能な必須アミノ酸スコア)というのが最近注目されつつあると言うことを知りました。かなり以前から提案されていることのようですが、一向に実現しないのは、消化吸収の良さを表面に出すと、難消化性、易消化性の判定の難しさもさることながら、乳製品など動物性蛋白質が有利になり、植物性蛋白質の野菜や穀類が不利な扱いを受ける・・ということがあるからでしょうか・・とにかく、やはり推奨摂取量100%を「食べる」と言うことでは足らないのではないかという問題の重要性がはっきりしてきたように思えます・・   
*新たなたんぱく質評価基準(明治)  https:/www.meiji.co.jp/milk-protein/property/article-3.html
                                        
150%に増やした理由は、・・・著名な栄養学の書の中に、CKD患者用と思われる「蛋白質30g、塩分6gの基準食」と言うのがあって、それをアミノ酸組成による蛋白質量で1日の栄養成分表を作ってみますと、リジンだけがほぼWHO推奨量の150%で、その他は推奨量の200%前後になっていたのです。
(これも、吸収率を考量した結果、そうなったのかも知れません)
 
 栄養学のプロ中のプロが推奨量の150%以上でメニュを作るのですから、私もそれを見習って、150%でやってみようと思い立ち、現在実行しています。・・150%が多すぎる、と言う可能性もあります。それは今月の検診日に分かるかも知れません・・血液検査で尿素窒素(BUN)とCr.、 Ccr.が悪化していなければOKです。上がっていたら、再検討です・・・
(短期間のテストなので信頼性はないですが、Cr.1.63 が1.57mg/dlに、Ccr.が40.1が43.2ml/min/1.73uに改善していました! 尿素窒素は少し上がって13.5ですが、まあまあです・・)
 
 尿素窒素(BUN)が増えたのは蛋白摂取量を1.5倍に増やしたせいですが、基準値の中央値付近なので良いと思います、Cr.が改善したのは、検査前3日間ほどおとなしくしていたせいと、塩分摂取を増やして血液量を増加させてせい・・Ccr.改善したのはCr.が下がったせいと、蓄尿日に紅茶をいつもより多く飲んで、尿量が増えたせいもあることでしょう・・今回結果が良かったために最終ページのグラフがV字回復しました。次回の検査でまた下降しないように頑張ります!)
 
*食品に含まれる必須アミノ酸の量とバランス・・下図の左側の数値(0〜200)はアミノ酸価(アミノ酸スコアとも言います)。 アミノ酸価100とは理想的なアミノ酸量をもつ食材です。ある食材がたんぱく質として身体が利用できる量は、9種類のアミノ酸の中で最もアミノ酸価の低いアミノ酸(第一制限アミノ酸と言います)のレベルになってしまいます。
 利用できないアミノ酸でも、他の食品と一緒に食べれば、アミノ酸スコア100になる可能性があります。また100を越えている部分でも第一制限アミノ酸のレベルまでは利用される可能性があります。第一制限アミノ酸以上の分は利用できずに熱(酸化して燃焼)になってしまう可能性があり、その場合、燃えた後に尿素が生じてしまい、腎臓の負担となると言われています。
 
古い細胞の入れ替わり・・・ 
・・腎臓の細胞は1ヶ月でその90%が新しい細胞と入れ替わるとされています
(古い細胞が新しい細胞と入れ替わるだけで、残念ながら糸球体が増えるわけではないようです)
 
*人体の細胞更新速度(Google) ・
https://sites.google.com/site/jinntainosaiboukousinnsokudo/
そうであれば、新しい細胞を作るには、その元となる蛋白質、アミノ酸が不足していては作れません・・であれば、蛋白質に合成できる「メンバーが揃った必須アミノ酸」は十分摂った方が良いのではないかという気持ちになります・・
 
たんぱく質やアミノ酸で腎臓に負担をかけると言われているのは、アミノ酸が1組になってたんぱく質に合成する際、組になれなかった「メンバーの揃っていない必須アミノ酸」、は燃やされ、その燃えカスの尿素窒素が糸球体を痛めるというのですから、そうした所謂アミノ酸の桶からあふれ出る「あふれアミノ酸」を最小限にする・・というメニュを考えることが理想なのではないか・・と思っています。
 
*上のグラフは、いろいろな食材が、必須アミノ酸の摂取必要量をどの程度満たしているかを見る
グラフで、「縦軸がアミノ酸スコアです」。 理想の食材は全てのアミノ酸スコアが100以上で、全ての必須アミノ酸のスコアが同じ数値であること・・でもそのような食材は存在しません(乳児にとって母乳はほぼ理想と言えるものと言われてますが・・)
 
 メニュは必須アミノ酸摂取推奨量の140%で作ってあります。それと、アミノ酸による蛋白質の際に組外れとなる過剰な必須アミノ酸を減らす事、更に体内で毒性のあるインドキシル硫酸発生の原因物質となる可能性のある「過剰トリプトファン」を必要最小限にすべく努力をしています。その結果、動物性たんぱく質は45%、アミノ酸組成によるたんぱく質量は1日32.4g、従来のたんぱく質量に換算すると35.4g、これは/kg体重になります。
 
メニュは2020年7月25日の定番メニュです。メニュは、ほぼ毎日微妙に進化しています。
一番左の食品の量(g)を打ち込むと、塩分、蛋白質量、カロリー、9種の必須アミ酸、動物性たんぱく質量、カリウム、リン、水分量、などが連動して出てきます。
 
 一番下には、各数値の合計、本日の必須アミノ酸摂取量の合計、たんぱく質合成に利用できない必須アミノ酸の量、及び目標値に対する%、蛋白質摂取率、動物性蛋白質の割合、前回の蓄尿によるカリウム摂取量の実績(これは手入力)。メニュより実際のカリウム摂取量が大幅に少ないのは、大根やジャガイモなどを2度3度煮こぼしていること、それと冷凍食品の解凍時に出てくる水分(ドリップ)の破棄によりドリップ中のカリウムが破棄されたことによるものと思われます。
 
*0.6g/kg体重・未満の低蛋白質制限を実行する場合、自分の経験から、ただ蛋白量を減らすだけでは、特定の必須アミノ酸の不足により栄養障害に陥り体を壊す可能性が出て来ると思います。9種類の必須アミノ酸を、どれもWHO推奨量に対して(恐らく)少なくとも30%以上の増量をして、特定の必須アミノ酸が、不足することなく摂取するという細かな計算をする必要があります。必須アミノ酸のバランスを無視して、ただ蛋白質の摂取量を減らすだけでは、栄養障害になり、元々体の弱い箇所で炎症などが起きる可能性があると心配します・・
 
下記のサイトで色々な食物の必須アミノ酸量を調べられます。下の表で、「食品100gあたりの必須アミノ酸量」と、「食品のアミノ酸組成によるたんぱく質1gあたりの必須アミノ酸量」が分かります。
 正確に必須アミノ酸を集計するには、アミノ酸量が分かっている単一の素材を食べるのが一番ですが・・スーパーの惣菜とか、複雑な料理では、不正確になりやすいです。(複雑な料理でも、例えば2人分を素材から作り、自分1人で今日中に全部食べる場合には正確さを保てますね・・また卵(全卵)15gというような半端な量の時は、スクランブルエッグにすれば、比較的正確に量れます。卵白の時は利用効率の点で「ゆで卵」が良いと思います。 
 
 一たび必須アミノ酸の世界を知ると、もう必須アミノ酸の計算なくして、献立は作れなくなるかも知れません・・・或いはそこまでやることは「くたびれ儲け」なのかもしれませんが・・
 
 腎臓は古くなって弱ってきた細胞を元気な細胞と入れ替えるために、アミノ酸スコアの高い、細胞内に取り込んで無駄なくたんぱく質合成ができる必須アミノ酸を十分な量必要としていることでしょう・・ただ、問題は、「必須アミノ酸の理想的摂取量」というのが、どこからも示されていないことです・・・確かに推奨摂取量というのがありますが、角食材の人体での消化吸収率が不明な状態では、どれだけ食べたら100%摂取になるのかが分からないのです・・
 
 自己責任でメニュを作るしかない、というのは不安なことです・・私は現在は推奨量の150%でメニュを作っていますが、150%ならば少なすぎると言うことはない・・という感じは持っています。今後145%でも十分かどうか・・或いは140%でも十分なのか・・これは実験するしかないです。もし140%でも十分なら、たんぱく質が減った分、血中の尿素窒素は減ることでしょうから、腎臓への負担は減ることになると思います・・(2020.7.16に150%→140%に変更しました。身体の調子は良いです・・)
 
@ 日本食品標準成分表2015年版(七訂) アミノ酸成分表編   
https://www.kyoiku-tosho.co.jp/b_data/correct/teisei_colorchart.pdf#search=%27%E6%95%99%E8%82%B2%E5%9B%B3%E6%9B%B8+%E6%97%A5%E6%9C%AC%E9%A3%9F%E5%93%81%E6%88%90%E5%88%86%E8%A1%A8+%E3%82%A2%E3%83%9F%E3%83%8E%E9%85%B8%E6%88%90%E5%88%86%E8%A1%A8%27
(リンクしない時は、コピー&ペースト、或いは上の書名で検索をかけてみて下さい。)
 
上の表は、@日本食品成分表・アミノ酸成分表の中身です。
左側が「食品可食部100g当たりの必須アミノ酸の量」です。これだけで通常の必須アミノ酸の計算ができますが、右の方には更に正確な「アミノ酸組成による、たんぱく質1g当たりの必須アミノ酸の量」も載ってます。一覧表になっているのでダウンロードしてプリントしておくと便利です。
 
 ただ、残念ながら、「各食品の、アミノ酸組成によるたんぱく質の量」がこれには書かれていません・・・それを知るには 下のA日本食品成分表をダウンロードしプリントする必要があります。
コピペで出てこないときは、「教育図書 日本食品成分表 アミノ酸成分表」で検索すれば、見つかるかも知れません。内容は膨大ですので、パソコン画面では見ずらいと思います。本は書店かネットショップで買えます。
 
 
 A日本食品成分表 
 
「アミノ酸組成による、たんぱく質の量」が分かります。これで食品100g中にアミノ酸組成による蛋白質量が何gあるかを調べ、上の表の「@アミノ酸組成による蛋白質1g当たりの量」をかけると、その食品100g当たりの正確な必須アミノ酸量が分かります。・・・  現状では2冊の本を見なければならず、厄介な計算法になってしまいますが、いずれ、1冊の本で分かる日が来ると思います。
https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/1365419.htm  
(リンクしないときはコピペか、書名で検索をしてみてください)
 
 8−14−2  必須アミノ酸メニュの作り方 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
上の表は必須アミノ酸摂取推奨量の150%の場合のサンプルです。この表では各摂取量は1日分の1/3にしています。左欄は食品名、上の欄は塩分量、たんぱく質量、カロリー、その右は9種類の必須アミノ酸です。それらの量は、標準食品成分表から調べられます。食品100g当たりの必須アミノ酸量を調べるのが一番簡単です。更に、より正確な必須アミノ酸量を調べるには、アミノ酸組成によるたんぱく質1g当たりの必須アミノ酸量を調べて、その値にアミノ酸組成によるたんぱく質量(g)を掛けて求めますが手間がかかります。この表は推奨量の150%で作っていますが、現在は私は推奨量の140%にしています。以前120%で歯周病を発症させているので、摂取量をこれ以上切り詰めることにはやや臆病になっています^^
 
 必須アミノ酸からメニュを作る際は、初めのうちは摂取推奨量の150%位から始め、少しずつ減らしていく・・という方法が無難かと思います・・何しろ食品の成分誤差、計量の誤差、調理上の誤差(水分率等)、吸収消化率が不明、など色々な誤差や不明な点を考えると多めの摂取が安全かと思います・・必須アミノ酸をベースにした9種類のアミノ酸スコアを揃えるように努力したメニュであるならば、多少多く摂取しても、髪の毛や爪が伸びすぎるとかはあるでしょうが、大した問題にはならないのではないかと思っています・・
 
表の左下の@は朝食の合計。Aは朝食で摂るべき栄養素の量です。必須アミノ酸は「摂取推奨量の150%」の1/3にしています。Dは成人の標準体重1kg当たりの1日の摂るべき、必須アミノ酸のWHO推奨量(mg)です。この値に標準体重(表では55kg)を掛けたものが必要量になりますが、この表ではその1.5倍を自分にとっての必要量としています。1.5倍にしてもタンパク質量は約0.6g/体重となり、腎臓学会の推奨する量の下限になっています。カロリーとなるかも知れない過剰な必須アミノ酸の量は約11%です。89%は体内でたんぱく質として活躍していることでしょう・・・最近爪が良く伸びます・・もう少し早く始めていれば髪の毛もフサフサだったかも・・^^
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 8−14−3  必須アミノ酸メニュのサンプル 
 
 8−14ー3-1   定番メニュを作る 
 
1日に必要な栄養素の3分の1がしっかり摂れる、定番食を作っておくと便利です。毎日3食このメニュを食べてもいいですし、時間のあるときは別メニュを料理します。 このメニュの特長はトリプトファンを最小にしていることです。その為アミノ酸の桶から溢れ出る(利用できない)アミノ酸は8-14-2の表よりやや多くなっています。
 
 定番食 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
*上の定番食で、「茹でジャガイモ」は、薄く切り、茹でることでカリウムを減らしています。
*「ナメコ」は、トリプトファンが少ないです。生ナメコ(水分率94%)100g+素炊糖25gで仕上がり重量148gで100%です。もし仕上がりが133gなら、90%を食べればよいことになります。
*「切干し大根」・・切干大根100gに砂糖60g、げんた醤油98g、サラダオイル40g。仕上がり1170 gで100%です。もし585gに仕上がったら計算上のg数の50%を食べればよいことになります。
 
 
 
 8−14−3−2   野菜炒め / 魚(アジ)
下のメニュの最初に「(注1)1日3食の内の2食合計、という欄があります。前ページの定番を1日2食食べ、残りの1食を下記の「定番食以外のメニュ」で食べた場合の合計が本日の合計摂取量(注2)」となっています。
野菜炒めは牛肉20g、鯵(アジ)は16.4g・・どちらも悲しいかな、ほんの1切れです。。。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 8−14−3−3   牛赤身焼肉 / 焼きそば
牛肉の赤身部分の焼肉です。その量18g・・焼肉一切れ、という情けない量ですが、焼肉であることは確かです。月に1度なら150g食べる事も問題なし、とされてますが、下のメニュならば週に3回、焼肉を食べる事も可能です。こんな量なら喰わん方がマシ・・と思われる方も多いでしょうね・・
*焼きそばの麺は「アプロテン たんぱく調整 平麺 パスタ 中華麺」というのを使います。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 8−14ー3-4   パスタ / ギョーザ 
 減塩ケチャップと低蛋白麺を使った、パスタです。麺は前ページの焼きそばと同じ物です。パスタだけでは、栄養バランスが悪いため、ヨーグルトやピスタッチオ、切り干し大根、ナメコ煮等が加わります。
*餃子は、宮崎市の丸岡餃子の場合です。自家製でも日常食としては4個位だと思います。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 8−14−3−5   レトルトカレー / そうめん 
カレーと素麺ですが、日常食のため、どちらもかなり控えめな量です。。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 8−14ー3-6   外食 / スターバックス / カプリチョーザ
日常食の外食の例として、スタ-バックスとパスタ専門店を例に挙げました。
スタバは、「ハム&マリボーチーズ 石窯フィローネ」が美味しいのですが、月1度のご褒美食ならいいでしょうが、日常的には、ワッフル1枚と飲み物・・ということになります。カプリチョーザは温「野菜のバター風味」と「トマトとニンニクのパスタ」をどちらも1皿の35%位を食べる事になります(涙)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 8-14-3  トリプトファンを減らす効果? 
尿毒症の原因となる毒素はアンモニアを初め沢山ありますが、CKDの後半において活性炭素の微粉末を飲んで腸内毒素「インドール」を吸着除去しようとする治療が行われています。このインドールという物質は、人が摂取した必須アミノ酸のトリプトファンの一部が腸内細菌により変換された物と言うことです。
 
このインドールは腸から体内に吸収されると肝臓で「インドキシル硫酸」という毒性の高い物質に変換されてしまいます。このインドキシル硫酸は分子量の大きな蛋白質と結び付くため、糸球体の細かい網の目は通過できないため、尿細管から入り込んで膀胱に排出されるようですが、その際に尿細管を傷つけ、尿細管の損傷が起因して、糸球体を含む組織全体(ネフロン)を機能不全にするとされています。(佐中孜著:「CKD早期発見・治療 ベストガイド」医学書院・より)
そのことから、トリプトファンの過剰摂取を減らせれば、多少なりともインドールも減るのではないかと期待しています・・
 
私のメニュでトリプトファンを減らすように努力して以来、計算上の摂りすぎトリプトファン、1日159mgが111mgに減らせているため、過剰分のトリプトファンが約30%減ったことになります。多少なりとも効果があると良いのですが・・
 
   その他いろいろ 
 9-1  低蛋白米のこと         
「腎患者用特殊食品」の認可のあるものが安心ですが意外と少ないです。しかし認可が無いからと言って問題があるというわけではないと思います・・低蛋白ご飯の特殊食品認可を得るには蛋白質量が普通のご飯の半分以下で、その他の栄養素は普通米と同じであること・・つまり蛋白質だけを減らした物、ということでしょう・・乳酸菌を加えて蛋白分解をする処理中にいろいろ化学変化が起き、米の組成にも影響があることは想像できます。
 
 多少本来の米とは栄養成分が変わっていたとしても、色々な種類の食品を満遍なく食べている人にとっては、低蛋白米は蛋白が少なくて、カロリーが規定量あって、CKDにとって良くない物質さえ入っていなければいいよ、と言う事になるのではないかと思います。
 
 一般に蛋白制限は塩分制限に比べればゆるいことが多いです。
低蛋白ご飯に第一に求められるのは低蛋白であることですが、二番目は味ではないでしょうか・・美味しくないご飯は長く続けられないし、食事制限も続きません・・
 
*ご飯のおいしさは蛋白量に比例します。蛋白質が1/25より1/5の蛋白米の方が断然美味しいです。一般的に良く利用されるのは1/25もしくは1/20でしょう。 蛋白1/25、180gパックご飯だと蛋白量は0.18gです、最近売り出された蛋白量1/50は蛋白質は0.09gとなり、1/25と比べ蛋白量が0.09g減らせますが、さてこの0.09gの蛋白量の減少をどう考えるかですね・・0.09gの蛋白質とは、豚肉(モモ、赤肉)0.36gに相当します。箸で挟めないほどの僅かな量です・・・軽度なCKDの人にとっては、今後何十年も食事制限が続くわけですから、美味しくて安い1/20、あるいは1/10を食べたい・・となることでしょう。
 
自分で炊飯する「米粒タイプ」はパックご飯よりも4割程安くなります。 固さも水加減次第で自由ですし、食べる量も1g単位で自由に変えられます。 低蛋白米は基本的に無洗米ですので炊飯は楽です。低蛋白米は軽くおにぎりにして冷凍すると、炊きたてよりもむしろおいしくなるように感じます。
 
 ただ、一般論としては、炊飯した炊きたてご飯よりも、パックご飯の方が私は美味しいと思います。その原因は、炊飯だと普通1日の3食分を炊くことが多いと思いますが、蛋白質が少ないためご飯に弾力性が無く、炊飯する米の量が多くなると、炊き上がった時にご飯の重さでご飯が潰れ気味になって固くなるからです。その為、袋には、炊飯器の容量の半分以下の量で炊飯してください、との注意書きが見られます。
 
 その点、パックのご飯は厚みは2cm少々ですので米の重さで潰れることもなく、固くならずに美味しくなっています。 余ったパックご飯は冷凍してもおいしく食べられます。
価格の比較をしてみますと・・美味しいと我が家では健常者の妻にも好評なPLC蛋白1/10、180g入りパックご飯は300kcalで、1パック(消費税込)189円(2019年12月ビースタイル本店)です。米粒タイプはPLC蛋白1/20になりますが、パックご飯と同じ 300kcalは87.7gに相当し、その価格は税込113円に相当しますので、パックご飯より40%も安く、1食(300kcal)当たり76円の節約になります。毎日3食たべた場合、1年で8万3千円、20年続ければ170万円もの節約になります。
 
低蛋白ご飯を炊飯するもう一つのメリットは、カロリーの微調整がご飯1g単位でできるという点だと思います。パックご飯では微調整は困難ですし、無駄になる場合があります。
 
(特殊食品の解説) https://kohnaika.or.jp/diabetes/%E6%B2%BB%E7%99%82%E7%94%A8%E7%89%B9%E6%AE%8A%E9%A3%9F%E5%93%81%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6/
 
 
 9-2  病院選び 
行くべき科は「腎臓内科」ですが、近くに無いときは内科か、循環器科になると思います。何処のクリニックでも血液検査は出来ますが、多くの場合、その検査結果を手渡されるのは次回の検診日でしょう・・
 たぶん早くて1ヶ月後、遅ければ2ヶ月後・・。検査結果を早く知りたいと思いますが、そう言う点では、大病院か、或いは近くのクリニックが良いと思います・・大病院ならば1時間以内に結果が出ます・・近くのクリニックなら、3日後には結果をもらえますね・・ 
 
 
CKD保存期は食事が重要になってきますが、メニューを考え、食材を選び、調理するのは患者であり、医師は介入できません。 また入院施設のないクリニックには通常管理栄養士はいません)・・つまり患者自身が独学で栄養学を学び、メニュを作るしかないのです・・早期のIgA腎症や急性以外の慢性腎臓病は基本的に治らないし、どんなに頑張っても腎臓が再生されることは今のところないので、現状維持を目標としなければなりません・・ 保存期の治療に理解のある病院(例えば24h蓄尿検査、保存期の本格的な栄養指導などに熱心な病院)や医師に巡り会えた人は幸せです。
 
 CKDとは、透析と言う終着点へゆっくりと落ちていく、下りの長い長いエスカレーターのようなものです・・がんばってエスカレーターを登っていかないと、いつの間に透析へと堕ちてしまいます・・
 
 9-3  健康診断に望むこと  
 
腎臓病の治療はいかに早期に始めるかが鍵です。 最近驚いたのですが、40才健診では、せっかく血液検査をするのに血清クレアチニン値は調べないのですね!?
 
 肝機能やコレステロールは調べるのに、何故腎機能は調べないのでしょうか? 40才健診で尿蛋白は一応検査紙で見るようですが、間質性腎炎や腎硬化症などでは尿蛋白は殆ど出ないこともあり、尿蛋白検査だけではCKDの初期では発見できない可能性があるのではないでしょうか。まるで初期の患者発見を故意に遅らせているかのような印象を受けます・・
 
 40才で腎機能の低下に気づき、保存期の生活指導を受け、食事制限の仕方を教わり、暴飲暴食を避け、重労働を避けるなど、働き方の改善をすれば、CKDの悪化速度を緩め、未来の透析の可能性をかなり減らせる、或いは回避が期待出来るのではないでしょうか・・
 
 現実的には保健所や公立病院の機能を拡大して、「慢性腎臓病・保存期科」を置き、近医と連帯して治療と指導を行うことを義務化するとか対策が望まれます・・
 
 9-4  早朝高血圧 
 
 早朝血圧測定で、起床後1時間以内の血圧、とするのは困惑する表現だと思います・・
降圧剤を服用していない人は、一般に就寝中は血圧は若干下がり、起床後には一時的に少し血圧が上がるものだと思います。起床直後に測った高めの血圧で「朝の血圧が高いですね・・さあ降圧薬を飲みましょう・毎月来院して下さい」となってはたまりません・・。
 
もう少し、素人にも分かるように、丁寧な早朝血圧の測り方をマニュアル化して欲しいと思います。
私は、「起床後1時間以内」の中央値の「起床30分後」と決めて血圧を測っています。私の場合、起床30分後ならば、朝の血圧は理想血圧に安定します。起床直後に測ったら、私は血圧が高過ぎ、ということになって、降圧剤の追加をしなければなりません・・
(降圧剤をしっかり飲めば、朝起床直後の血圧もポンっと上がることはないようですが・)
 
ついでに、病院での血圧の測り方ですが・・最近は待合室に血圧計が置かれていることが多くなりました・・病院に着いてすぐ測るのではなく、数分ソファーに座ってから、自分で血圧を測って、出てきた紙を看護師さんに見せる・・この方法で、白衣高血圧(英: white-coat hypertension)による降圧剤の誤用がかなり防げるようになったのではないでしょうか。 無駄な医療費を生まないために、すべての病院で、患者自身で血圧を測る方法を取り入れるべきと思います。(勿論、自宅で血圧を早朝と寝る前に測って1ヶ月分のデータを医師に見てもらうのが一番良い方法です)
 
 10 ・・失敗だった試み,実験など 
 
 10-1   糖質制限で失敗 
 以前、知り合いの医師の薦めで糖質制限を始めました。糖質を極端に制限すると、今まで主として糖質からエネルギーを得ていた身体は危機的な状態を察し、危機を乗り切るため糖質以外から、主として脂質からエネルギーを得るよう大きな体質改善をします。その結果新陳代謝が良くなり、血流も良くなり、従って腎臓も元気になる・・という筈だったのですが・・
 
 当初、糖質を1日45gに制限、蛋白質100g、脂質は125g、カロリー1700kcal前後の食生活をしました。確かに糖質制限で代謝が活発になり、身体的変化としては、身体が柔軟になり、身体を曲げて手の平が楽に床に届くようになりました。弱かった胃が丈夫になり,いつ物を食べても胃もたれすることがなくなり、かって一年中世話になった腹巻きが不要となりました。爪も良く伸び、新陳代謝が活発化したことを感じました。あたかも草食動物が肉食動物に変身したかの様でした。
 
 そこまでは良かったのですが、糖質制限を始めてからは血中尿素窒素の値は腎不全の目安になる50mg/dlにも上昇していました(基準値9〜21mg/dl)。しかし 非常事態宣言をしている身体は確かに新陳代謝が格段にパワーアップし、一見、血清Cr.値の悪化は止まったかのようでした。 糖質制限は9ヶ月間実施したのですが、6ヶ月目以降からCr.値は徐々に僅かではありましたが悪化していきました。身体が糖質制限に耐える状態ではなかったのでしょう・・たまりかねてセカンドオピニオンを受けた、著名な腎臓病保存期専門医からの糖質制限中止の強い警告で糖質制限は終わりとなりました。
糖質制限で得たことは、体質改善により胃が丈夫になった,と言うことだけでしたが、腹巻きがいらなくなったということは、唯一良かった事だと思っています。糖質制限でむやみにタンパク質を多に摂ることはやはり腎臓の負担を強いるものだと思いしらされました。
 
 
 
*グラフは糖質制限中の蛋白質摂取量と血清尿素窒素、血清Cr.値の関係を調べたものです。
尿素窒素は蛋白質摂取量に良く追従していますが、Cr.値は殆ど影響受けていません・・むしろ逆相関(-0.35)になっています。 但しこれは約1年間の短期的な相関です。 超高たんぱく質摂取を何年も続けていたら、Cr.も影響を受けずにはいられなかったでしょう・・
 
*24時間蓄尿から計算される、食事の塩分摂取量と蛋白質摂取量の精度について・・・
24時間蓄尿を始めた頃は、自分のメニュ上の塩分、蛋白質の量と、蓄尿結果から計算される摂取量を比べてみると、蛋白質量はぴったり合うのですが、塩分がなかなか合いませんでした。その原因を調べた結果、下記のような事がありました。
 
原因・・検査日の5日前に親族で会席を食べた時の塩分の影響が残っていた(この影響が一番大きいです)・・CKD患者は塩分(Na)の腎臓からの排出が悪いため、10日間ぐらい排出されずに残るそうです・・・(つまり検査日前10日間は謹慎だと言うことですね)・・
 
 外食で塩分を普通に摂ると,その影響(血中)Na濃度の上昇)は1週間〜10日程度続きます。従って少なくとも検査日1週間前からは用心して、計算がきちんとできている定番メニュー以外の食事をなるべく摂らないようにした方が良いと思います。ただ、検査日の前だけ厳格な食事時制限をすると言うことは、まったく自分の為にならないですね・・
 
でも、海外の医学情報でも、一週間食事制限が出来た人は、ご褒美として週末には食べたかった普通食を食べても良いし、それは腎機能にとって問題になるほどの影響はないし、むしろ活力が生まれて長生きする、というデータがあるそうです。日本でも週に一度、普通のものを食べる、ということに寛大になってきました。ただし、これは普段きちんと食事制限を守れている人の場合の話です。
 
(食事を美味しく食べる工夫)https://jinentai.com/ckd/livelihoods/28
 
(ごほうび・腎臓病食)https://jinentai.com/ckd/meal_menus
 
 
 10-2  超低蛋白質制限で失敗   
  腎臓学会が「ガイドライン」に対して募集した2009年の『パブリックコメント』集に、「蛋白質制限が緩すぎて意味がない」、という批判が臨床医から数多く寄せられています。ネット上で偶然見つけましたが、なかなか厳しい現場の声です。その中で私は『蛋白質制限を0.6〜0.8g/kg/day』ではCKDの進行を止める効果がないことも、0.3〜0.5g/kg/dayで初めて効果が出ることも多くの論文で証明されている、なぜそのことを書かないのか、何か意図があるのか・・と言った臨床医の意見に驚きました。
 蛋白質制限は20g/日でなければ効果が出ない、と言う主張は幾つかのサイトで知っていましたが、正面から学会を批判した勇気には心打たれました。確かに0.3〜0.5g/kg/dayというのは標準体重55kgの人で1日16.5〜27.5gとなり、かなり少なく思える蛋白質量ですが、低蛋白食が普及した現在では実行は少しも難しい事ではありません。学会側は低蛋白食が普及していないという前提でガイドラインを作っているかのようです。
 
そこで、私も自己責任で、1日の蛋白質量0.4g/kgIBW(IBW:Ideal Body Weight=標準体重)を試したところ・・・・13日目に結膜下出血・・15日目に歯のインプラント部分の歯肉炎、更にインプラント周辺の歯茎全体に炎症が発症し、緊急の処置を受けることになりました。たまたま偶然の出来事だったかも知れませんが、私の想像ですが、多分、超低蛋白による栄養障害を原因とする歯周感染症ではないかと思っています。
 
その反省から、栄養の勉強を始め、0.6g/kg標準体重未満の超低たんぱく制限を実行する場合は、9種類の必須アミノ酸量を、多すぎず、少なすぎず、最適な量にコントロールする必要があると言うことを知りました。 8-14-1 必須アミノ酸を取り入れた食事はその反省から、実行しました。
 
*腎臓学会ガイドラインに対するパブリックコメント(2009年)
  https://www.jsn.or.jp/ckd/pdf/CKDpubcome2.doc
 
 10-3  BCAAサプリメントで失敗 
 必須アミノ酸の計算を取り入れてメニュを作る場合、動物性蛋白質を沢山摂れば、必須アミノ酸は不足することなくメニュが作れますが、いたずらに動物性蛋白質を沢山摂っても、必須アミノ酸バランスが悪いと、体内において蛋白質の再合成として利用できず、単に糖質や脂質と同じくカロリーとなって消費することになります。ただカロリーになるのなら良いのですが、糖質や脂質と違って必須アミノ酸は熱量として使われる場合、アンモニアを生成し、肝臓で→尿素と変わり、尿素は腎臓から排出しなければならず腎臓に負担を掛けます。従って、メニューは必須アミノ酸のバランスを考えて組み立てなければなりません。
 低たんぱく質ご飯を利用している人の場合、たんぱく質の摂取量を減らしていくと最初に不足するものは多くの場合「バリン」だと思います。その他にもロイシン、も不足しがちですが、ロイシンはコーンフレーク、イソロイシンやリジンは魚や殆ど全ての動物性蛋白質には豊富にあります。
 
 問題はバリンだけが動物性蛋白質に少ないのです。バリンが多いものというと、大根、卵白、ナッツ類(ピスタッチオなど)ですが、それほど沢山入っている訳ではありません。
 
 そこで目を付けたのが、アスリートが飲むBCAAです。BCAAとはバリン、ロイシン、イソロイシンが1:2:1の割合で含まれる物質です。水に溶かして飲むと素早く身体に吸収され、痛んだ筋肉を修復し、増強する、というものです。これを利用すると、不足したバリンを補っても、同時に増えるのはロイシンとイソロイシンだけで、他のフェニルアラニンなどの摂取過剰傾向のある必須アミノ酸を増やしません。従って無駄な必須アミノ酸の過剰摂取が防げます。
 
このBCAAを1ヶ月ほど摂取したところ、またまた歯肉炎を発症しました。他にも、不整脈のような感じも出て、軽い動悸がしたりして、なにやら怖くなりました。
 
BCAAを詳しく調べると、口から飲んだ後、腸まで行かないうちに、直ぐ血中に吸収され、血中濃度は摂取30分後には最大になり・・そして2時間後位には殆どカロリーとなって消費され、燃えカスは肝臓経由で尿素になって腎臓から排出されるとありました・・・
 
 2時間後と言えば、普通に食べた肉や穀物のたんぱく質がボチボチ腸から吸収を始めようとしている頃ではないでしょうか・・腸でたんぱく質がアミノ酸に変わり、血中に吸収され、さあ、BCAAサプリと合体して身体を作ろうとするときに、肝心のBCAAは殆ど消えてしまっているのでは、BCAA不足となり、細胞でのたんぱく質が合成できず、尿素窒素が増える・・と言う最悪な状態になっているのではないでしょうか・・私の不調は、たまたま偶然だったのかも知れませんが、以上のような過程を考えると、自然の食べ物と栄養剤を一緒に摂るのは吸収時間の不一致という点で無理がある・・と思うようになり、ガックリ・・失意の内にやめました・・・
 
結局、今は自然の食物からのみ栄養を摂るようにしています。その結果、活用できない必須アミノ酸の量はBCAA利用の時より表の上では増えていますが、実質的には無駄となる必須アミノ酸は減り、腎臓への負担も軽減したと思っています。また、私自身の消化効率が低い可能性も考え、また食材の必須アミノ酸含有量のバラツキなども考え、推奨される必須アミノ酸量より50%多い量を摂取するように食事内容を変更しています。 その結果、アミノ酸組成による蛋白質は33gで0.6g/kg標準体重で、一般のたんぱく質に換算すると、約0.7/kg標準体重になっています。(現在は推奨量の40%増で実施中)
 
*アミノ酸『神話』に騙される日本人  https://www.sentaku.co.jp/articles/view/14278
*メーカーによる解説  https://www.otsuka.co.jp/a-v/products/take_point.html
 
 10-4  運動し過ぎて失敗 
「運動で腎臓病が良くなる」・・と言う刺激的な表題の本を読んで1日1万歩のウォーキングを開始。1週間後に古傷の変形性膝関節症が再発・・どうも、原因は歩幅を広くしたこと、速度を上げたこと・・つまり無理をしたことのようです・・整形外科でヒアルロン酸注射を受けました。関節内注射は昔と違って針が細くなったのでしょうか・・痛く無くなりましたね・・腕の採血程度の痛みでした^^
 その後も天気の良い日には歩きますが、歩幅広く手を振って・・というウォーキングではなく、歩幅は普通で散歩程度の4000歩程度と決めて歩いてます。過ぎたるは及ばざるが如し・・です。
 
 
 11  私と腎臓病 
 
 私の母は私が小学5年の時に腎不全から来る尿毒症により48才の若さで他界しました。生前母は減塩醤油を使ったり蛋白制限をしていました。毎朝トイレから出るとカップに取った尿に試薬を入れ蛋白による白濁の様子を見ていました。つまり、現在のCKDの保存期療法とほぼ同じ事をやっていたのです。にもかかわらず、というべきか、そうやってもやっぱりというべきか、腎臓病は進行し、頭痛や吐き気に苦しんだ末に尿毒症で亡くなりました。母が苦しんで苦しんで死に至るまでの一部始終を幼い私は見ていました。
 
 私も母の腎臓病を引きついでか、或いは単に働きすぎたのか、2011年に尿蛋白+2、Cr.1.22で、腎臓病の初期ということが分かり、医師は生検を勧めてくれましたが、当時仕事が忙しく検査入院のために仕事を休む事が出来ず受けませんでしたが、病気の発覚から3年後に、主治医に「私の腎臓病はどういう種類なんでしょうか?」と聞いたところ、高血圧があり尿蛋白が少ないので多分腎硬化症でしょうと言われました。その後、慢性腎臓病関連の本を読みあさり、自己流で食事制限を取り入れてみましたが、CKD関連の本を読む内に,腎硬化症には現在でも有効な治療法がない、と言うことを知りました。
 
 現在では1968年にフランス人研究者が発見したIgA腎症だけが、近年、1983年に岡山大、札幌医大、広前大から扁桃摘出の有効性が報告されたことに端を発し、堀田修医師らにより開発された「扁桃摘出とステロイド剤の大量療法(扁摘パルス療法)」により慢性腎臓病の中で、IgA腎症患者数だけが毎年大きく減少しています・・現在この治療法は日本だけしか行われていないらしいですが、やがて世界的に広まり効果が高く評価されれば臨床的にはノーベル賞級の治療法だと思っています・・何しろ、進行性の不治の病と言われる腎臓病のうちの一つ「IgA腎症」に治癒例が統計的に明確に出てきたのですから・・。
 
*透析者数の推移・・下記サイトの12ページ目をご覧下さい。驚くべき事実が分かります。 リンクしない場合は、グーグルにURLを貼り付けるとダウンロードに時間はかかりますがpdfを見ることができると思います。12ページに表があります。
 
(IgA腎症の劇的な減少)
https://docs.jsdt.or.jp/overview/pdf2017/2016all.pdf
 
(今、明らかにされた扁桃とIgA 腎症を結びつけるエビデンス)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/stomatopharyngology/26/3/26_239/_pdf
 
*しかしIgA腎症以外の慢性腎臓病は依然として研究が進んでいないように思えます。「透析」という技術だけが日本では世界一のレベルに発達し、「透析の費用は全額国が負担するのだし、もう死ぬことはなくなったんだから、いいじゃないか」という印象を受けます。
 
 大昔から、慢性腎臓病はどんな治療や食事の改善を頑張っても決して良くなることはない、しかしその努力をしなければ確実に悪化する・・・
 
 つまり現在できる腎臓病の治療は、腎臓病という病気の原因を取り除くための治療(原因療法)ではなく、「症状の緩和、現状維持」を目的とする治療・・となっているのでしょう・・それでももし、老衰で死ぬまで現状維持ができるならば問題は解決したも同然です・・
  
 人工透析には莫大な税金が年々うなぎ登りに投入されるという重大な問題もありますが、透析を受ける人自身の生活の質も大きく悪化します。血液透析の場合、週3回、1回4時間以上必要で、透析の病院通いや透析後の急な脱水から起こる低血圧の順応時間を加えたら、「透析の日は殆ど何も出来ない、やる気が起きない」と透析を受けている友人から聞かされたことがあります・・・つまり多くの方にとって透析開始後は残りの人生の半分を失うにも等しく、拘束された生活になってしまうと思うのです・・
 
 医師が独創的な研究をし、それを治験にまで持って行くことは大変なことと思います。学会のガイドラインから逸れた治療をして失敗したら患者から訴えられるかも知れません。 しかし私は何もせずに降圧剤などを飲むだけで、ただただ透析を待つ(昔なら死を待つ)のではなく、思いつくことを色々自分の身体で試してみたいと思っています。 
 患者でなければ出来ないような試みの中に、何か保存期の療法としてほんの少しでも効果的なことがあるかも知れないという奇跡とも思える希望を持ちたいのです。
 
12  私のCKDの推移  
 
次ページのグラフは2011年1月から現在(2020年6月)迄の1/Cr.の記録です。   
2017年6月からアレルギーを抑える薬を飲み始めた頃から、やや横ばいになって来た感じがします・・
 
13 連絡先 (印刷物実費配布)                            
 
〒880-0841 宮崎県宮崎市吉村町別府原甲1716-27 矢澤金太郎 
(メール)k-yazawa*miyazaki-catv.ne.jp 
(*を@に変えてください)
 電話(スマホ)080-4313-1719
 
*「白黒コピー」をご希望の方には実費にて郵送いたします。
(費用:1冊の場合)
  白黒プリント代  94枚×3円≒280円
  定形外郵便 (1部380g)  370円
               合計650円
 
(メールか電話でお申し込みいただくか、代金を切手で上記住所に郵送してお申し込み下さい・ 振り込みをご希望の際はメールでお知らせ下さい。)
 
*取りに来られる場合は1部280円です。
場所は宮崎市の日向学院高校の近くです。
*JR宮崎駅東口、或いは中央公園駐車場でお渡しもできます。(申し込み頂いてから最新情報をプリントしますので事前に御予約ください)
 
 
(医学的エビデンスのない内容が含まれていますので、文章、画像共に無断転載をご遠慮ください)